08/10/21(火) 晴れ
[Sana'a→Hodeidah:Yemen]
※レート:1米ドル=200イエメンレアル、1ユーロ=270イエメンレアル
・窮屈な乗り合いタクシー
・昼食休憩
・眠い
・蒸し暑い紅海沿岸
ジーパンの破れたところをちまちまと修理していたら日が変わり、夜明けが近くなった。大きくは3カ所の破れ目を縫い、さらに袖が破れて着なくなった長袖のシャツの袖を切り取り、破れたところがまた口を開かないようつぎはぎする。たったそれだけのことに数時間使うとは、自分でもあきれる。
5時頃から1時間ちょっと寝る。
7時前に起き、またズボンの修理の続き。もう1泊しようかという考えが頭をよぎるが、早く移動しなければという意識の方が強く、10時頃荷支度をして宿を出る。同宿の日本人と出口のところで会い、もうサナアを離れるのかと言われながら見送られる。
今朝も涼しい。
歩いてバーバルヤマン(イエメン門)近くの乗り合いタクシー乗り場に行く。昨日、下見していたのでなんなく乗り場に到着。
乗り合いタクシーはプジョーのライトバン。運転席も含め、全部で3列あり、客は助手席に2人、真ん中の列に4人、最後部に3人。ちょうどもう少しで満席になる車があり、そこに行くと乗るよう促され、一度は荷物もトランクに積んだのだが、なぜかその後、別の車に移るよう言われる。そっちの車はまだ一人も客はない。こっちの方が窓際の席に座れるからいいかと思ってのんびりしていたら、また呼ばれてさっきの車に乗るよう言われる。
ぼくが最後だったので、開いていたのは最高部の真ん中の席。両サイドにおじさんが座り、なかなか窮屈。運賃は昨日聞いたときは1200リアル(約600円)と言っていたのに、荷物があるからなどと難癖をつけられ1500リアル(約750円)払うはめになる。どうせ外国人料金なのだろう。やれやれ。
10時20分、準備ができた車は走り出す。速度メーターなどは動いていないが、車自体はちゃんと走る。
サナア市内は渋滞でなかなか進まない。そのうち徹夜の影響で眠くなり、寝てしまう。が、11時頃、検問についたところで起こされ、パスポートとパーミットを提示。
その後、また寝ていて気づいたら車は止まっていた。なんだか故障したようでフロントを開けてなにやら修理している。ぼくはそのまま寝る。
13時頃、走っていた車は食堂の前で止まる。昼飯らしい。なかなか大きな食堂でテーブルと椅子が50人ぶんほどあるほかに、屋内には床に座って食べられるようなスペースもあった。適当に他の人が食べているものを指さし注文。グツグツいいながらサルタが出てくる。味はよかったが、なぜか料金が800リアル(約400円)もした。おかしい。
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昼飯休憩は30分ほど。右となりに座っていたおじさんは食堂近くで売られていたカートをまとめ買いしていた。
車に乗るとその右隣に座っているおじさんが英語で話しかけてきて、カートを噛まないかと薦めてくる。うまいもんじゃないので、断るがけっこう強引でなかなかひかないので、少しだけもらう。葉っぱを噛むのだが、青臭い味がするだけでうまくない。聞くところによると、イエメン人がしているように頬が膨れるくらいの量をけっこう長い時間噛んでいれば覚醒作用があるらしいのだが、そこまで我慢できない。噛んだはしから口の中の不快感で機嫌が悪くなる。
車は順調に走っているように見えたのだが、なんだかまたおかしくなったようで、30分足らずでまた止まる。ここぞとばかりにぼくは車から降り、口の中のぐちゃぐちゃになった葉っぱを吐き出す。車に戻るとまた薦められたが、断る。
修理が終わった後、また走り出したもののやっぱり1時間ほど走るとまた止まる。ちょうど集落のある地域で商店などが沿道に並んでいた。エンジン系統がおかしいらしい。運転手のおじさんがあれこれ修理しているのを見ていたら、わかるかというようなことを乗客の一人が聞いてくる。もちろんわからない。
そこで30分ほど修理に費やす。
車は山岳地帯にかかっていて、道路の片方は崖になっている。切り立った岩山が多いが、畑がきちんと作られている。
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サナアからホデイダに向かう途中にあるマナハというところは段々畑の絶景が見られるというようなことがガイドブックにあり、それを楽しみにしていたのだが睡魔には勝てず。車に乗っている間は寝てばかり。
だんだんと高度が下がっているようで、気圧の変化に敏感なぼくの耳は次第に痛みだす。
16時過ぎ、ホデイダの入り口まで来たのか検問がある。ここでもパスポートとパーを提示。見せただけで質問等はなし。警察(軍人?)は書類を確認するとすぐに返してくれる。
道路が立派になり、片道3車線や5車線の道になる。が、そのわりには交通量は少ない。もちろん路面はきちんと舗装されている。
紅海はまだ見えないが、もわもわっとした蒸し暑さが車内に漂う。左隣のおじさんは頭にまいているターバン(?)で汗を拭っている。車の中にいるにしても、これはかなり蒸し暑い。
広いとおりになったことで車はさらに飛ばす。おそらく時速100kmくらい。信号もほとんどないから早い。乗客はそれぞれ降りるポイントを運転手に伝え、一人二人と降りていく。やっとゆったり座れるようになる。
16時半、幹線道路から左にちょっと入り、さらに右に細い道を入ったところで車は停車。リュックを屋根から自分で降ろす。運転手に宿が集まっているという広場はどこかと聞いたが、言葉がうまく通じず。ガイドブックの地図を見せてもアルファベットを読めないから通じない。
しょうがないので、適当に歩いて探すことに。交通量の多い通りに出る。沿道には商店などがずらっと並んでいるからこれがメインストリートであろうことは推測がつくのだが、広場がどっちなのかがわからない。
歩道でパンを売っていたおじさんに聞くと話が通じ、あっちだと教えてくれる。そっちの方に向けて歩いていたら、こぎれいな格好をした30代くらいの男が、「Hello! Welcome to Yemen」と英語で話しかけてくる。そしてどこから来たのかと聞いてくる。日本からだというと、おーっと笑顔を見せる。最後にぼくの名前を聞いてきて、それで「Good Bye」と言って去ろうとする。なんだなんだ、何人かを知りたかっただけか?などと思いながら、これはチャンスと英語で改めて広場の位置を訪ねる。すると彼もこの道をまっすぐ行ったところにあるというので、それを信じて歩く。
通り沿いには銀行や両替屋が数軒、服屋、靴屋、蜂蜜菓子屋、香水屋、アイスクリーム屋、レストランなどいろいろな店が並んでいる。が、まだ涼しくなっていないからか、人通りは少ない。
背中はすでに汗びっしょり。ジプチ並みだね。風がないぶんもっと暑く感じる。20~30分ほど歩くと確かに広場に到着。ホテルの看板が見える。
広場に面してホテルが5軒ほど軒を連ねていたので、近い順に値段を聞いていく。1軒目は3000リアル(約1500円)、2軒目2500リアル(約1250円)、3軒目2000リアル(約1000円)。ここで面倒になったし、予算内の宿賃になったので3軒目の宿に泊まることにする。フロントは英語は通じず。掃除係らしいおじいさんが部屋を案内してくれる。6畳ほどの広さにツインくらいの大きなベッドが1つ。テレビ、扇風機、エアコン、トイレ、シャワー、バスタオル付き。暗く古めかしい部屋だったがカビ臭くはなかった。
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驚いたのが、エアコン。外枠がはずされているのか機械が剥き出しで、かつ焼け焦げたように真っ黒。案内してくれたおじいさんはエアコンをつけてくれたのだが、逆に空気が悪くなるように思えたし、部屋自体はジプチのように蒸し暑くはなかったのですぐに消す。
荷物をおいてフロントで1泊分の宿代を払い、外に出る。まずはさっき気になったアイス屋へ。
アイス屋の店内にはメッカの巨大モスクを象ったらしい絵のようなものやコーランの一部なのだろうアラビア文字で何やら書かれた額縁などが壁に飾られていた。どちらも金ぴか。
入り口を入ってすぐのところに4人掛け程度のテーブルが3つあり、奥は一本の通路の両脇がカーテンで仕切られているだけ。てっきりそのカーテンの中は物置か何かと思っていたが、中から小さいが複数の女性の声が聞こえる。どうやらカーテンで仕切られたスペースは、女性専用または女性が顔を見せていい相手と使うためのスペースのようだった。
さて、肝心のアイスだが、メニュー(英語も併記されていた)にマンゴーとストロベリーとなんとかベリーとあったものを頼むが、出てきたのはアイス用の皿にソフトクリームが乗って、それに数種類のソースがかかっているもの。どうもマンゴーとかなんとかはこのソースの種類を差していたらしい。てっきりマンゴーアイスが出てくるかと思っていたのにがっかり。ちなみにこのアイス屋のメニューは150~250リアル。
それからこの次に行くタイズ行きのバスを探しに行く。ガイドブックによればホテルも面している広場近くにバス乗り場があるらしい。
時刻は17時を過ぎ、だんだんと涼しくなってきた。バス会社に向けて歩いていたとき、途中通りがかったオープンカフェで一服していた若者(男)たちは、ぼくを見ると次々と口伝てで友達に声をかけ、こちらを見る。完全に見せ物状態。髪や髭が長いのも一因か。
バス会社近くに来たとき、もう1軒アイス屋を発見。こっちはまったくこじゃれておらず、一見はただの食料品店的。中に入って「アイスクリーム」と言うと、冷凍庫の中から濃い黄色のアイスを救い出し、コップに詰めてくれる。こっちは紛れもないマンゴーアイス。値段は120リアル(約60円)。味はまぁまぁ。
そうしてやっとバス会社にたどり着き、タイズ行きのバスについて訪ねる。窓口の若い男性は英語を解したので楽だった。タイズ行きは午前と午後があるらしく、明日の午後の便にしてその場でチケットを買う。お値段1000リアル(約500円)。ガイドブックによれば600リアル程度のはずなのだが、ガソリン価格高騰のせいか、それとも外国人料金なのかわからず。窓口には運賃らしきものを書いた紙が貼られているのだが、数字も含めすべてアラビア文字のためわからない。
とりあえずは明日の予定が決まった。今日はすでに日が暮れてしまったので、晩飯とする。サナア同様、アフリカではよくあった屋台的な料理屋がないのでレストランに行く。
レストランのスタッフは英語がわからなかったが、英語のメニューはあった。けっこう高いのでどれにしようか悩んでいると客の一人が英語で話しかけてきて、あれこれと手伝ってくれる。
そのおじさんはぼくにどこから来たのかと聞き、日本人だとわかると周りの人にもアラビア語でヤパニーヤだと教えていた。
比較的安いものということで羊肉の炒め物を注文。味は良かったが小皿にちょろっとと少なかった。これで500リアル(約250円)。アフリカだったらこれだけ出せばウッというくらいの量が出てくるんだけどな。
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その後、宿近くのネット屋に行く。なかなか盛況で20席ほどある店内はほぼ埋まっている。基本的に男が多いが1割くらいは女性も使っている。そこそこ早い。1時間60リアル(約30円)。
それから水を買いに商店街を歩く。サナアでは1.5リットルの水が売っていたのに、ここでは750mlのものばかり。10軒くらい回っても750mlしかなかったので、それを買う。日が暮れ涼しくなったことで、通りに人が出ている。金がメインの貴金属品店や女性洋服店も客がけっこう入っている。歩道では時計売りのおじさんや雑誌売りのおじさんたちが端の方に商品を並べて商売している。他にも猫車を改造した荷車でイエメン特有の甘いお菓子を売っている人や駄菓子屋のようにしてチョコやビスケットなどの西洋お菓子をばら売りで売っている人、ゆがいたジャガイモやゆで卵を売っている人、メロンやすいか、パパイヤ、ぶどう、りんご、みかんなどの果物を売っている人などが道ばたで商売している。いわゆる大きなスーパーマーケットはない模様。
商店街をふらふらしてから宿に帰宅。サナアではお湯のシャワーでないと寒く感じたが、ここは水で十分。部屋も扇風機をつければ十分涼しい。テレビを付けてみると音楽に合わせて若い女の人が踊る(といっても素人なのか日本の盆踊り的。格好は洋装)という番組やニュース番組、トーク番組などが流れていた。もちろんすべてアラビア語。コンセントは1つしかなかったので、カメラの充電をするためにテレビは消し、あとは読みもの、書きものをする。
Fin
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