2009年10月23日金曜日

[diary]モカへ

モカへ

08/10/24(金) 曇り、雨
[Taiz←→Mokha:Yemen]
※レート:1米ドル=200イエメンレアル、1ユーロ=270イエメンレアル

5時過ぎに起床。昨日の様子ではモカ行きの乗り合いタクシーはいつ出るかわからなかったので、少しでも早く行って早く帰って来ようと思い、6時前に宿を出る。

歩いていたらちょうど4番のバス(軽ワゴン)が来る。昨日の下見で4番のミニバスがモカ行きのタクシー乗り場に行くのがわかっていたのでそれに乗る。休日の金曜日の早朝とうことでミニバスは走っていないんじゃないかと思っていたが、案外走っていた。客もそこそこいる。この時間なのに食堂はもう開いていて、そこでチャイを飲んでいる人たちも車窓から見える。

バスに乗ったはいいが、どうも昨日乗った時に見た景色と違う。方角の目安になる高台にある宮殿も見えない。20分ほど乗って、路上市場につく。そこで降りてみるが、明らかに昨日とは違う場所。別のミニバスに乗って中心部に戻る。

中心部でバスを乗り換える。ここでわかったが、どうも番号ではなく、色を間違っていたようだった。町を走っているミニバスにはモスクを象(かたど)った背景にアラビア数字が書かれたシールがフロントに張られているのだが、数字の他にモスクの色も路線の違いを表しているようだった。さっき乗ったミニバスは青のモスクの4番だったが、モカ行きのタクシー乗り場に行くのは赤のモスクの4番だった。

今度は間違いなく赤の4番に乗る。15分ほどで乗り場に到着。結局宿を出てから1時間近くかかってしまった。

乗り場周辺はちょっとした市場になっていて、道路脇のスペースに露店が並んでいる。三輪に改造された猫車を使った移動式の露店も多数。果物ではバナナやスイカ(長いものと丸いものあり)、パパイヤ、リンゴ、みかん、ぶどうが目立つ。野菜はニラ、ネギ、キャベツ、じゃがいも、かぼちゃ、人参(小さい)、大根(小さい)など。また、キュウリを売っている露店もあり。その他、砂糖に色を付けて固めたすごく甘そうなアラビア菓子、ゆで卵売り、じゃがいもサンド屋などもあり。もちろん、カートも売っている。

モカ行きの乗り合いタクシーはすぐに見つかったのだが、昨日同様客がいない。1人もいない。タクシーの運転手のおじさん(白髪、白髭)がここで待てと言うので、一応座席に手荷物を置き、席を確保した上で近くの食堂で朝飯にする。焼きたての薄く平べったく丸い(直径50cmほど)パン1枚にミルク入りチャイ1杯。チャイは甘い。しょうがの味はなし。それぞれ30リアル(約15円)。

アラビア語の本などを見ながら待つ。今朝は曇っており、やや湿気ている。もしかしたら雨が降るかもしれない。

朝食後、車にもたれかかってまた本を読む。するとそこへアバヤ(ブルカ)を来た女性が3人(親子?姉妹?)やってきて、アラビア語で何やら言いながら手のひらを差しだしてくる。カネをくれということらしい。が、あいにくなことにさっきの朝食でコインを使ってしまったため細かいものがなかった。そのため身振り手振りでないことを表すのだが、なかなかしつこく数分の間、相手をすることになった。エチオピアと違ってお札は最低でも25円(エチオピアの場合は1ブル札=約10円があった)もするので、ちょっとそれは喜捨するには大きい。しばらく我慢比べで結局あきらめてもらう。

しかし、今度はひょろひょろの白髪、白髭のおじいさんがやってきて、ぼくの腕をポンポンと叩いてやはりカネをせがんでくる。これもないと無視していたのだが、このおじいさんの方がしつこく、5分以上たってもそばを離れない。結局、ぼくの方が折れ、ゆで卵売りの少年が来たところでそれを1個買い(30リアル=約15円)、その卵と10リアルを喜捨する。おじいさんはにこりともせず、またありがとうとも言わずに受け取ったらそそくさと去って行ってしまった。う~ん、びみょ~。

待つこと1時間。8時になった。客はまだ1人も増えていない。これはまだまだ出るのは先だなと思っていたところへ、運転手のおじさんがやってきて、「ノーパーソン」と手を振り、こっちに来いという仕草をする。

おじさんに着いていく。反対側の車線には別の方面行きの乗り合いタクシーがあって、どうもそっちに相乗りするよう運転手が話をつけたよう。こっちの車には既に5~6人客がいて、もう少しで満席というところだった。運賃を聞くと1000リアル(約500円)と言う。昨日聞いたときはモカまで500リアルと言っていたのに話が違う。なので500じゃないのかと聞くが1000というので、じゃあ乗らないと車から離れようとすると引き留められる。500で良いと言い出したので乗り込むが、乗り込んでから700だと言い出す。よくあるパターン。

ぼくとおっさんたちのやりとりを見ていたらしい別の乗客が500だろと抗議してくれるが、700から下がらず、その客も700はまぁ良い値段だというようなことを言うので、それで手を打つ。

結局、車は助手席に2人、後部の前列に4人、後部の後列に3人乗せて発車。8時半前だった。

15分も走ると検問ポイントに到着。ライフル銃を持っている警察?軍人?と顔が合わないようにと隠れ気味に座っていたのだが、ちゃんと車の窓から中をのぞき込まれたため、すぐに発見され、パスポートとパーミットを見せるよう言われる。見せると何も言わずに返してくれる。ただ扱いが雑でパーミットの紙は丈夫な紙でもないのに、渡したときの形にちゃんと折り畳まずに適当にくしゃくしゃと握って返してくる。それらは窓に近い乗客を経由してぼくのところに戻ってきたのだが、その経由した乗客の人は、パーミットを元のようにちゃんと折り畳んでからぼくに手渡した。ありがたい心遣い。警察も見習え!

その後は、順調に走る。車線も引かれている舗装道路を車はかなりのスピードで走る。速度メーターが壊れているからわからないが、おそらく時速100kmは出ている。快調な走りのおかげか眠くなり、うとうととまどろみ始める。移動の車の中で寝るのはもはや習慣、いや反射になってしまった感がある。

休日の金曜日であるにもかかわらず、途中通った町では平日と変わらないような市が開かれていた。人出も多い。

また途中には炭焼きをやっている人たちの姿も見え、道ばたには薪炭が積み上げられ売られていた。

標高が下がっていくほどに荒涼とした景色になる。半土漠で畑にも放牧にも使われていないらしい土地が両サイドに広がる。相変わらず空は曇っている。

検問がもう1度あり、やはりここでもパスポートとパーミットを見せる。

9時45分、モカに到着。タイズからは2時間足らず。思ったより近かった。

モカの町はとても小さかった。ここで暮らしているのは、おそらくせいぜい数千人くらいだろう。屋根もない廃墟ばかりが目立つ。道路も舗装されている道路の方が少ない。あたりはずっと先まで平たく、コーヒーが植えられていそうな山も見えない。
From yemen2


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海の方に行ってみる。砂浜にはボートが何隻も係留されていて、右の方には魚市場らしい建物が見えた。そちらに行ってみる。
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砂浜には珊瑚や魚の頭、しっぽ、ペットボトルなどのゴミなどが落ちていてとてもきれいとは言えない状態。けれど海の方は、空が曇っているにもかかわらずエメラルドグリーンの色をしている。男の子たちが海の中ではしゃぎまわっているのが見える。

魚市場に行ってみたが、競りはすでに終わったようで、床に水をまき、掃除をしているところだった。建物の周りには男たちが30人ほどいて、めいめいおしゃべりしたりなんたりしている。行くとみなの視線がこちらに集まるのを感じる。

建物の中に入ってみるとわずかに魚がいた。床に並べられていたのは小型の鮫。鰭(ひれ)だけ切り取られた状態で置かれている。全部で10匹(頭)ほど。細かな牙を見せたまま寝ころんでいる。

近くにいたおじさんに写真を撮って良いかと訪ねるとOKが出たので鮫の写真を撮る。そしたらそのおじさんは袋の中から鰭(ひれ)を取り出して見せる。ここでようやくこれがフカヒレで中国に持って行かれるのかとわかる。アラビア語での会話のためまったくと言っていいほどわからなかったが、どうも中国に行くことは間違いないよう。
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その後、反対側の浜にも行くが、めぼしいものはなく、ボートと水遊びしている男の子を見ただけ。ジプチからの船が泊まるらしい港も遠くに見えたが、そこまでは行く気がせず。

廃墟街に戻り、タクシーを降りた場所にあった市場に行く。バスケットコート2面程度の小さな市場で食料雑貨屋や八百屋などが並んでいる。魚も売られているが、まわりは蠅がすごい。

コーヒーの姿を探すが、食料雑貨屋にも見あたらなかった。どうやらモカコーヒーを見るには自分で車をチャーターしてコーヒー農園まで行かないと見られないようだ。

写真を撮りながら歩いていると通りすがりのバイクに乗ったあんちゃんが写真を撮ってくれと寄ってくる。そんな感じでモカ市民数名の写真を撮る。

結局1時間ほどで飽きてしまい、また歩ける範囲では歩いてしまったので、またタクシーに乗って帰ることにする。それにしてもここまで過去の面影がないとは。と言ってももう100年以上も前の話だからしょうがないけど。

11時過ぎ、また乗り合いタクシーに乗ってタイズに戻る。今度は500リアル(約250円)。交渉も必要なし。

空は一段と暗くなってきていて、もう夕方ではないかと思えるほど。走り出して30分ほどで雨がぱらつき出す。だんだんと雨の勢いが強くなるが、運転手はなぜかワイパーを動かさない。もしや動かさないのではなく、動かないのではと思っていたら、その通りだった。

いよいよ雨は強くなり、雷が鳴り、稲光が空に走る。フロントガラスは滝のようになり、前が見えなくなる。それでも運転手は車を止めない。さすがに不安になったのか、座席に深く腰掛けていた隣の客は起き上がり、なにやら運転手に行っている。車線がわずかに見えるからまだ道路のどのあたりを走っているかわかるが、車線がなければ本当に危ない。

ヘッドライトをつけた車とすれ違う。なかなか危険だ。そんな乗客の不安を察知してか、車は突然空回りするようなエンジン音を発した後で、止まる。えらい!運転手より車の方が状況判断がしっかりできているようだ。運転手は両手を天に向け、肩をすくめてみせる。しばらく道路脇で停車。運転手は何度かエンジンをかけようとするが、かからない。

良かったと思い、しばらく雨が弱まるのを待つ。30分ほど待っただろうか、やや雨の勢いが弱ったところで運転手がエンジンをかける。1度目はかからず4度目くらいでかかった。

再びワイパーが動かないまま車は走り出す。沿道を見ると、モカに行くときには水が流れている気配などまったくなかったところに即席の川ができている。濁った水が勢いよく流れている。山にも大地にも緑がないから、降った雨が一気に流れ出ているのだろう。

雨はその後は強くなることなく、タイズに近づくに連れ、あがっていった。

13時前にタイズに到着。小雨はまだパラツいている。ここでも大雨が降ったらしく、細い水が道の端を勢いよく流れている。しかし、商店などは通常営業。露店もシートなどで雨よけをしながら商売を続けている。

宿に戻るまでに靴はびしょびしょ。空は相変わらずどんよりしているので、午後に行こうかと思っていたイッブに行くのはやめ、宿で休憩後、ネット屋などをまわるなどして過ごす。

なお、宿の近くで名探偵コナンを発見。こんなところで出会うとは。
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Fin

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