2009年2月2日月曜日

[雑記]日本人と現地人の狭間で

1.はじめに
旅も終わりが近づいてきて、中南米にいるころに書こうかと思いながら今日まで延ばしてきたことがあるので、それを書くことにする。

2.きっかけは日本人
ぼくの見た目、要は顔がいくらか日本人離れしているらしいということは、今回の旅行でも何度も思い知らされた。それもたいていは日本人によって。

メキシコのカンクンの日本人宿(文字通り日本人旅行者しか泊まっていなかった)に泊まっていたときのこと。宿からまちへと向かっている途中、一人の日本人女性とすれ違った。宿のすぐ近くですれ違ったことや彼女の外見や服装からぼくの方はすぐに彼女を日本人だと判断した。

すれ違ったときはまだ面識がなかったので、特に挨拶なども交わすことなく、ただすれ違っただけだったが、問題はその後に起こる。

夕方になって宿に戻ってみると、案の定、彼女はいた。他に旅行者がたくさんいたこともあり、そのときもぼくは「どうもどうも」と言う程度で、特に彼女と言葉を交わすようなことはしなかったのだが、夕食時だったかに機会があり、少し話をすることとなった。

そのとき彼女から聞いたのだが、ぼくが宿に戻って来たときに、彼女はぼくを見て「えっ?なんでこの人がここにいるの?」と思ったらしい。なぜか? 彼女は外でぼくとすれ違ったときに、彼はメキシカンだと一発で判断していたから。

これ以前にも一度日本で外国人に間違われたことはあった。インドネシアに夏に1か月ほどいて帰国し、当時通っていた大学の事務室に行ったとき事(こと)は起こった。「すみませーん」と流暢な日本語で事務員に声をかけたにもかかわらず、彼女の第一声は「留学生の方ですか?」だった。これが外国人に間違われた初めての経験。まぁ、1ヶ月ほど赤道直下にいたから日焼けもしていたのでしょう。

ともあれ、メキシコ以後も日本人に日本人に見られなかったことが数度あった。その中の1つがペルーのナスカでのこと。

その日、ナスカで地上絵を見るために飛行場の待合いスペースで自分の番が来るのを待っていた。ぼく以外にも観光客がいたのだが、それがあいにく日本人のツアー客。

飛行機を待っている間ぼくはツアー客の日本人たち(6人ほど)のすぐ近くにいたのだが、特に話しかけることはせず黙って座っていた。自分の順番が来て、飛行機のスタッフから名前を呼ばれたとき、ツアー客の一人が「日本人だったんですか?!」と驚いたように話しかけてきた。ツアーのガイドをしていた日本人も「日本人だったんですねぇ」と感心するような物言いでつぶやいていた。

さすがに途中であった日本人旅行者(男)のように日本人から「日本語が上手ですね」と言われるようなことはなかったが、上記のようなことは特に中南米にいるときには時折あった。

2.現地の人からは・・・
上記のような話を旅行中に会った人にしてみると、たまにこう言う人がいる。「いいじゃないですか、現地の人に見られればそれだけ安全だし、ぼられることもないし」。たしかにそういう面はあるかもしれない。しかし、それは現地の人に現地の人だと思われる、という条件をクリアしなければいけない。ぼくの場合、その条件をクリアできていなかった。

基本はチーノ(中国人)、コレア(韓国人)、ハポン(日本人)と言われ、時にフィリピーノかと聞かれる程度。中南米のネイティブやメスティソなどと呼ばれる人はモンゴロイド系のため日本の友達によく似た人もたまにいたりして、ぼくの方は「近いなぁ」という近親感を持っていたが、地元の人は確実に見分けていた。

要するに、ぼくは日本人からは現地の人と見られ、同時に現地の人からは異国人と見られていた。よって、現地の人に見られたから得したとかということもない。

そういうことがあったからか、南米のある国で日本人ばかりが泊まっている日本人宿に着いたとき、そこに並ぶ顔にこちらが違和感を覚えたこともあった。”なんかこの人たちぼくと違う”ってな感じで。

一方で、これははっきりと覚えているけど、アフリカのジプチのジプチシティでネット屋に行ったとき、そこにフィリピン人の男たちが大勢(と言っても10人ほどだが、店内が狭いため印象としては大勢だった)いて、彼らの顔を見たとき”あっ、仲間じゃん”と思ったこともあった。もちろん相手はこちらをフィリピン人とは見ていないので話しかけてくることもなかったし、こちらに視線を向けることもなかったけど。

ちなみにウズベキスタンで会った台湾人女性は、ぼくがあちこちでチーノ(スペイン語で中国人)だとかシヌワー(フランス語で中国人)だとか言われたという話をすると、あなたは中国人には見えないとはっきりと言った。

3.日本人的な顔ってどんな顔?
旅行中は日本人とは違う顔立ちの人たちばかり見ているからか、最近は日本人の顔が以前よりもはっきり見えるようになったように思う。前はもっとぼやけていた。

ありきたりに言えば、日本人の顔っていろいろだなと思うようになった。

そこで不思議に思うのが、日本人はどうやって日本人を見分けているのだろうかということ。少なくともぼくの顔の系統は、日本人的な顔立ちとして一般的に(?)認識されている顔の系統からは外れている。おそらく九州生まれの一部の人は、ぼくと同様外れている。アイヌや沖縄の人も外れているだろう。しかし在日コリアンは見た目ではおそらく日本人と判断されている。

もちろんどの顔が日本人でどの顔がそうでないかを判断する機会は日本では基本的にないと思うので(と書きつつ、ぼく自身が「日本で外国人に間違われたんだけど・・・」とツッコミを入れないといけない)、これは外国で日本人同士が出会ったときを想定しての話にすぎない。

なお、ぼくは純粋な日本人顔を追求したいとか、日本人顔なるものがあって、それを基準にいろんな顔の系統を分類してみたいとかそういうことに関心があるのではなくて、一般的に(?)どういうふうな顔が日本人的な顔として認識されているのか、またその識別基準を自分を含めみんながどうやって身につけたのかといったことに興味がある。身の回りにいる人が基準になっているのかもしれないし、テレビや雑誌などメディアを通してよく見る系統の顔立ちの人が基準になっているのかもしれない。

最後に何度も「日本人」という言葉を使っているが、ここでは日本列島に住んでいる人で、他の人から東アジア人(国でいうと中国・台湾人、韓国・朝鮮人、日本人)と見られるような外見をしている人という程度の意味合いでこの言葉を使っているということを補足しておく。

2009年1月23日から24日にかけての深夜から明朝にかけて記。
ウズベキスタンのブハラにて。

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