2008/11/29(土) 晴れ
[Beirut:Lebanon→Aleppo:Syria]
6時起床。同室の中国系アメリカ人らしき女の子の靴音で目が覚める。
荷造りをして部屋を出て階段を下る。しかし、宿が入っているビルの1階の出口まで行ったら出入り口が施錠されていてドアが開かない。泊まった部屋があった階(日本式で言うと4階)の2つ下の階にあるホテルの受付のドアも鍵がかかっていて、ホテルのスタッフに入り口を開けろとも言えない。受付のドアの横には8時半に開くからそれまで呼び出さないように(Don't Disturbと書かれていた)とある。それにしてもホテルのクセして何がDon't Disturbだ!それはこっちのセリフじゃ。客の出発の邪魔すんな!と言いたくなるわけですよ。まったくレバノンに来て以降禄なことがない。
というわけで張り紙のDon't Disturbは完全に無視して呼び出しベルを鳴らし、ドアをゴンゴン叩く。するとカチャとドアが開く。顔を出したのはその階の部屋に泊まっている別の客。その人がフロントの人間を呼びだし、ようやくホテルから出ることができる。
歩いて近くのガラージュへ。シリアに行く車は乗り合いタクシーや大型ワゴン、バスなどがあり、乗り場に近づくとおじさんたちが「ダマスクス?」などと尋ねてくる。ホムスに行きたいと言うと奥の方からおじさんがやってきて、車に案内される。乗り合いタクシータイプの車。トランクに荷物を積み、念のため運賃を確認したら1000シリアポンド(約2000円)だと言う。昨日聞いた話ではアレッポまで700シリアポンドで行けるとのことだったので、この車は却下。別の車を探す。
ガイドブックによればホムスまで500シリアポンド程度で行けるらしく、またホムスからアレッポは100シリアポンド程度のようだったので、ホムスまで行ってアレッポ行きに乗り換えようと思っていた。が、ある人はアレッポ行きのバスは午後からしかないと言う。
なので、行き先を変更し、アレッポにする。適当に人に聞いてみると、奥の方の乗り場がそれらしい。奥の方まで歩いていくと確かにアレッポ行きがあった。大型バスがあり、これだと安いかと思ってチケット売場に行って値段を聞く。するとチケット売場のおじさんは、ビザを持っているかと尋ねてきたので、「ラー(持っていない)」と言うと、別の会社に行けという素振りをする。
レバノンからシリアの入国については、ヨルダンからシリアに行くときのように時間がかかったりするということは聞いていなかったから楽観視していたのだが、どうも違うっぽい。
別のバスのところに行く。そしてビザを持っていないんだけどと言うと、そこにいたバス会社の社員らしい2~3人の男は軽く相談し、運賃は800シリアポンド。ビザで時間がかかっても待つというようなことを言う。しかし、それにしても800は予算オーバーだったので、じゃあやめると言うと700シリアポンドに下がる。2ドル分なのでわりと大きい。あと早い時間帯にアレッポに着きたかったこともあり、これで決める。
ぼくがバスに乗り込むと乗客は5人ほどなのに、バスは発車。7時20分。
地中海を左手に見ながらバスは走る。きゅうりかトマトを栽培しているらしいビニールハウスが沿道に見え、またたわわに実ったみかん畑もたくさん見える。
From lebanon |
検問が2カ所で敷かれており、1カ所は戦車付き。すべての車をチェックするわけではないので、通行はわりとスムーズ。
From lebanon |
昨日のように渋滞もなかったため8時40分にはトリポリに到着。そこで客が入れ替わる。
20分ほど停車の後、また出発。停車している間、何人かの客は近くにいたバナナの露店で幹ごと(房ごと)バナナを買っていた。シリアでもレバノンのバナナは売られていたからここで買った方が安いということか?
乗客はだいぶ増え20人ほどになるが、それでも車内はがらがら。
走り出して30分ほど、なぜかある商店の前にバスは停まる。乗客の何人かはそこで両替をしているようだった。
再出発後、1時間足らずでシリア国境近くに到着。国境へと続く細い道には大型トラックの行列ができていて、動く気配なし。
運転手はこれは動かないと判断したようで、狭い道でUターンして来た道を戻る。
海沿いの分岐点まで戻り、今度は海に沿った道を行く。浜辺にはときおり、パレスチナ難民なのだろうか、テント暮らしをしている人たちの姿を見る。
15分ほどで、さっきよりも海側にある国境に到着。こっちもトラックの行列ができていたが、バスはその後ろに並ぼうとする気配すら見せずに反対車線に入り、並んでいるトラックを一気に追い越す。そうしてすんなりとレバノンのイミグレ前に到着。バスの添乗員のおじさんは乗客のIDを集め、ぼくとふたりでイミグレの建物内に行く。
ぼくの出国手続きはすんなり終わり、残りの人の手続きを待っていたら添乗員のおじさんが一緒に来るよう言う。他の客はとりあえず置きっぱなしにして先にシリア側のイミグレに行き、おじさんに促されるまま出国カードを書き、隣の銀行でトランジットビザ代8米ドルを払ってその領収書をもらい、またパスポートコントロールに行って、今度はスタンプをもらう。
パスポートコントロールの他に何をやっているのかわからない係官がいて、彼ぼくのパスポート情報を紙切れに書き写し、さらにシリアでの滞在地、ホテル名などを聞いてくる。なんでパスポートコントロールと別にこんなことをしているのかは不明。
バスの添乗員はぼくに付きっきりで同時に他の乗客のIDなどもあっちに持っていき、こっちに持っていきしていた。そうして1時間足らずで国境を突破。添乗員のおじさんはすべての手続きを終えてバスに戻るとき、何をしているのかわからない係官に50シリアポンド(約100円)を渡していた。ポイっと渡していたから賄賂なのだろう。
シリアに入るとなんだかほっとする。緑豊かな畑が両脇に見え、またときどきやはりパレスチナ難民らしき人たちのテントも見える。
From syria 2 |
車内では女性シンガーのミュージックビデオが上映され、乗客はぷかぷかとタバコを吸っている。イエメン以降、車の中でもタバコを吸うというのがわりと一般的なためタバコ嫌いにはつらい。特に中東は喫煙率が高いように感じる。
13時頃、バスはどこかのバスターミナルに到着。乗客がみな降りていくので、ぼくも降りてみる。添乗員のおじさんは何人かの乗客を別のバスに案内していたので、これは乗り換えかと思い、そのおじさんに声をかける。乗り換えが必要ならそうとなぜ事前に説明しないかな。
おじさんはターミナル内にあるあるバス会社の窓口に連れていき、そこでチケットを発券。最初に700シリアポンドをまとめて払っているので、追加料金のようなものはない。
そうしてから別のバスを案内される。大型のバスに乗り込み待つ。しばらく眠りこけていたのだが、目が覚めてもバスは発車していなかった。自分らは国境で時間がかかっても待つから余計に金を払え、みたいなことを言っていたのに、客を1時間以上待たせても何もないというのはなんなんだ!などと考えてみる。
14時過ぎ頃、ようやくバスは発車。今度は満席。予定では今頃にはもうアレッポに着いてやるべきことをあれこれとやっている予定だったのだが・・・。
どうやら停まっていた場所はホムスだったよう。これだったらやはりホムスまでのバスにして、早く出発するバスやセルビス(乗り合いタクシー)に乗った方が早く着いた。アレッポまでは90km程度。まだまだ遠い。
アレッポに着いたのは日が傾き始めた16時頃だった。アレッポからハマに行くときに使ったターミナルに着くのだろうと思っていたらぜんぜん違うところで、しかもけっこう郊外にあった。
やれやれと思いながらバスを降りると、ひんやりとした空気にぶるっとする。レバノンは半袖でもなんとかいけるくらい暖かかったのに、やはりちょっと内陸に入ると寒い。
タクシーの運転手数人が声をかけてくるが、適当に断り、緑色の市内バスが停まっているところに向かう。
32番のバスは確か中心街を走っていたので、運転手に「City Center?」と尋ねるとアラビア語でなにやら応える。指さしている方向が中心街だったので、まぁ大丈夫かと思い乗り込む。
他の客が乗ってきたときに運賃を払っていたので、ぼくも払おうかと運転手にいくらだと尋ねると、彼は手で制止してまぁまぁ座っておけというような仕草をする。後で払うことになるのかと思い、そのまま椅子に座り出発を待つ。
10分も待つことなく、バスは発車。沿道から次々と客が乗り込んでくる。バス停で停まるときもあれば、適当な道ばたで手を挙げている人がいるとそこでも止まる。あっと言う間に車内は満員。通路も出入り口も人でいっぱい。客が数人降りて出口付近が少し空いても奥に詰めないため、入り口付近は混雑しっぱなし。ドアの開閉に支障が出るほどなのに、誰も何も言わない。日本でなら運転手がアナウンスするのだろうが、それもない。入り口付近に立っていたおじさんは奥の方を見て、不満そうな表情で隣の人になにやら言っているようなのだが、奥に詰めるように声をあげたりはしなかった。
そうこうしているうちにバスは中心街に入る。結局、運賃は払わず仕舞い。運転手に「シュクラン(ありがとう)」と言うとにこっとしてうなづいていたから、運転手のおごりということのよう。こうしたことができるのも市内バスは会社化されているからだろう。
自動車のパーツ屋が並ぶ通りを歩き、前回泊まった宿に向かう。歩きながら、やっぱり街としてはトリポリよりもベイルートよりもアレッポの方がずっと魅力的だ、と思う。何より暗くなってからも商店街に活気があるのがいい。
宿にチェックインして、部屋に荷物を置く。それからまずは少なくなったシリアポンドを入手するために両替屋に行く。
トルコ行きのバスチケット代約50米ドルぶんと今晩の食事や買い物ぶんを両替。両替は2度する。というのも、1度目にした両替の時は、出国税550シリアポンド(約1200円)を計算に入れてなかったため追加で両替する。
すっかり暗くなっていたのでもう19時くらいになったかと思うくらいだったが、時計を見るとまだ17時半。女性向けや子ども向けの”洋服”屋が並ぶ通りはアバヤを来た女性客がいっぱい。どの洋服屋もこじんまりとした店構えのところが多く、そのぶん店舗数が多い。おそらくこの通り近辺だけで100店舗ほどはありそう。
From syria 2 |
女性3人組など女性だけで買い物をしている人たちが多い。子ども連れも多く、中には5~6人の子どもを連れて歩いている女性もいる。
From syria 2 |
歩いていると若い男や少年が「Hello!」とか「Welcome」、「ジャッキーチェン?」などと声をかけてくる。中にはわざわざぼくの顔を拝むためぼくを追い越し振り返り、しばらく見続ける輩もあり。女性たちもぼくを発見すると、お互い教えあってこちらを振り向く。が、女性が何か声をかけてくることはない。
週末の土曜ということでか、他の通りも人通りが多く、とてもにぎやか。その様子を写真に撮ってまわりたかったのだが、あいにくカメラの充電が切れ始める。なので、一度宿に戻る。
途中、飯屋で食事。ナスと挽き肉のトマト煮とインゲンのトマト煮。これに付け合わせのパン(平たい円形のパン)と生唐辛子、生の赤カブ、赤カブのピクルス、そして生のミントが数本つく。ナスの方は酸味が強かった。計100シリアポンド(約200円)。
From syria 2 |
宿に戻ってカメラの電池を充電。その間、情報ノートをちらりと見ようとしたら日本人旅行客と遭遇。宿の有料パソコンでインターネットをしようとしたところ見たいサイトが見れないらしい。画面を見ると閲覧が許可されていないというようなメッセージが出ている。この人のサイトもぼくの場合と同じく、どうもシリア国内では規制にひっかかって見ることができないよう。
30分ほど充電した後、また宿を出る。繁華街をふらつく。それから買い物。石鹸を買う。この間、今晩泊まっている宿に置き忘れて行ったこともあり、改めて買う。安いものは30シリアポンド(約70円)/kgというのもあるし、高いのは600シリアポンド(約1300円)/kgするものもある。一応、どこかが格付けして星いくつという規格もあるようだが、星が付いていないものでも香りの良いものはある。
そんなこんなしているうちに20時を過ぎたので、宿に戻って荷造り。日本に荷物を送ろうと段ボールを商店から買ってきたので(10シリアポンド)、それに荷物を詰め、リュックの中も詰め直す。
そんであとは読み物、書き物をして寝る。
Fin
0 件のコメント:
コメントを投稿