2008年6月30日月曜日

リオグランデからプエルトマドリンへ その1

08/05/28

携帯のアラームで目覚める。6時前。同室の人を起こさぬよう懐中電灯を取り出し、荷造りをして部屋を出る。

宿の玄関が開いていなかったので、明かりがついている受付らしきガラス張りの部屋の人に聞いて開けてもらう。外はもちろん暗い。が、幹線道路沿いだから外灯のおかげでずいぶん明るくは感じる。時間は6時40分ごろ。

人通りはまったくない。宿のすぐ近くにバス停があったが、そこでただ待っているのももったいないので、ターミナル方面に歩いていく。中央分離帯の電光温度計の表示はマイナス2度。まぁまぁ冷える。

10分ほど歩くとバス停でバスを待っている女の人がいたので、ぼくもそこでバスを待つことにする。

15分ほど待った頃にバスが来る。ターミナルまで行くバスか定かでなかったし、運転手にも行き先を聞かずに乗ったため、どこに行くかよくわからなかったが、昨日ターミナル近くでみかけた路線バスのようだったので、乗ってみた。車内はがらがら。おかげで座席に座ることができる。

バスは予想していたルートとは違った。まっすぐ行くだろうと思っていた通りを左に曲がり(後で思えばこのとき降りれば良かった)、さらに細かく左右の角を曲がりながら走る。

乗客は少しずつ増え、工場が集まっているらしい地帯でどさっとおりる。住宅街に入るとまた少しずつ乗客が増える。特に小中高校生らが多くなる。暗いまちを縫うように走り、1時間後には泊まっていた宿の前に戻った。どうもこのルートで一巡らしい。

1周のルートがわかったので、さっき逃した場所で降りようと思っていたら、さっきは左に曲がった角を右に曲がる。え~と思ったが、この頃には車内は満員ですぐに飛び降りることができず、またこの人らがどこに行くのかも気になって乗り続けることに。

まったく通ったことのない通りを走り、学校前で子どもたちがごそっと降りた。

そして車内には誰もいなくなり、一人だけになる。終点でまたバスを乗り換えればいいかと思い、そのまま乗り続け、アパートが建ち並ぶ地帯に入り込んだところで降ろされる。同じ系統のバスがあるが、どうもしばらく出そうにない。あたりは人気はなく、アパートも古めかしいものばかりで落書きが目立つ。

幸いタクシーが停まっていたので、運転手に行きたいところを言うと、この車は予約客がいて乗せることができないという。その代わり無線でタクシーを呼んでくれる。素直に歩いていれば、今頃ターミナルに着いていただろうに余計な出費が増えてしまった。

30分くらい待つことになるかな、と覚悟していたところ、タクシーが通りがかる。呼び寄せたタクシーかどうかはわからなかったが、とりあえず乗る。

運転手は30代位の若いあんちゃんで、いろいろ話しかけてくる。アパート地帯から乗ったからだろう、あんちゃんは友達の家にでも泊まったのかと聞いてくる。わざわざ本当のことをしゃべる必要もなかろうし、またそれを説明できるほどスペイン語ができるわけではないので、そのとおりだということにする。

どれくらいいたのか、どこから来たのか、どこに行くのだといったことを聞いてくるので、適当に答える。

話ながら走ること15分ほどでターミナルに到着。タクシーのメーターは8ペソだったので、10ペソ札を渡すとグラシアスと言ってつりをくれることなく、笑顔で去っていった。

時間は8時。ちょうど日が昇ってきてまちの端の方から光が射しはじめる。8時半にターミナルに来るよう言われていたので、時間には間に合った。

チケットを買ったバス会社の窓口に行くとバスは9時だという。それまでターミナル内にあるベンチで待つことにする。

ターミナルにはレストランと売店が併設されており、客は少ないものの、建物内は明るい。トイレもきれいでかつ無料で使えるのが良い。

売店をのぞくと英語初心者向けの英語・スペイン語併記の薄い物語本があったので買ってみる。1冊5ペソ(約180円)。2冊買う。それを読みながら待つ。

9時過ぎに何も停まっていなかったターミナルにバス2台が入ってくる。1台はウシュアイアからのバスで、1台はリオガジェゴスに行くバス。ウシュアイアからやってきた旅行者の中には、ウシュアイアのまちで見たことある人もいる。一昨日早起きして5時過ぎ発のバスに乗っていれば、昨日の宿代は浮いたのにと今更思う。

9時15分、ほぼ予定通りにバスは出る。車内が暖かいためさっさと眠り込んでしまう。

ウシュアイアに行くときに通った同じ道をバスは走る。景色はだだぴっろい放牧地が見えるばかり。

昼前に再びチリへ入国。質問も何もなくすんなり通過。

国境を越えても広大な草地の風景は変わらず。ときおり羊や牛、リャマに似たグアナコという動物もいる。

13時18分、道が途切れる。マゼラン海峡(スペイン語ではEstrecho de Magallanes:エストレチョ デ マガリャネス)に到着。渡し船が接岸するのをしばらく待って、バスのまま乗船。前回乗ったときよりも風が強く、多少波もある。『ラテン・アメリカを知る事典』によれば大西洋と太平洋をつなぐこの海峡は約600kmもあるらしい。マゼランがここを”発見”したのは1520年。およそ500年前だ。よくもまぁわざわざスペインからこんなところまで来たものだ。

海峡を渡る間はバスから降りて、船の縁の甲板にあがり吹き付ける風を受けながら新鮮な空気を吸う。といきたいところだったが、他の客がタバコを吸っていてその臭いにいらつく。

20分ほどで対岸に到着。陸地に上がればまた同じ景色。

14時20分、チリ側の国境に到着。出国手続きの担当官は前にここを通ったときと同じ人。日本語で”コンニチハ”、”サヨナラ”と言ってくる。手続きはすんなり終了。

しばらく国境地帯をバスで走り、今度はアルゼンチン側の国境に到着。みなバスを降り、入国手続きをする。これもすんなり終わる。

再び草原の中を走る。寝る。

15時半すぎ、住宅などの建物が多くなり、道幅も広くなる。

15時47分、リオ・ガジェゴスのターミナル着。思いのほかターミナルは大きい。バス会社の窓口が20ほど並んでいる。チケットに書いてあったバス会社の窓口に行くとバスは夜19時らしい。まだ3時間もある。まちに行こうかとも思ったが、荷物を預ける代金が10ペソ(約400円)ほどと高かったため、おとなしく待合スペースで待つことにする。

暇なのでターミナル内のアルゼンチンの売店を眺める。日本と違うのは駄菓子屋のように1個単位でお菓子などが売られているところ。しかもチョコレート菓子が多い。値段を聞いてみると1個だいたい50円。高い。

待合いスペースには100人ぶんほどのベンチがあるが、ほぼ満席。屋根からはテレビがぶら下がっている。

近くにでかいスーパーのような建物が見えたので、暇つぶしに行ってみる。幹線道路沿いの道を歩いていくと途中の小さな広場でサッカーをしている4人くらいの子を発見。アルゼンチンで初だ。

スーパーは行ってみるとまたもやカルフールだった。入ると荷物をチェックする係員がいて、止められる。店内を見て回ろうかと思ったが、荷物を預けたりしないといけないようで面倒なのでさっさと出る。

おとなしくターミナルに戻り、本でも読んで待つ。

19時すぎバスが入ってくる。ターミナル内にアナウンスが流れる。驚いたことに英語のアナウンスもあった。

バスに乗り込み、19時25分ごろ発車。発車すると添乗員のお兄さんが客に自己紹介。すぐにテレビでビデオが流れる。

リッキーマーチンのコンサートビデオや尾崎きよひこに似たメキシコの超有名歌手のビデオ、それからディズニーアニメが立て続けに上映される。

20時半ごろ、晩ご飯。添乗員が膝に乗せるためのトレイを配り、それから飛行機の機内食と同じように弁当を配ってまわる。内容は肉、レタス巻き用ご飯、パン、ゼリー、じゃがいもペースト。肉は温かく量もそこそこある。

食後、寝る。

23時40分、売店の前でバスが停まる。休憩らしい。バスを降りて店内に入る。店内にはアルゼンチンらしく革製品やマテ茶セットなども売られている。

0時05分、バスは発車。座席間のスペースは充分あるからゆったりと眠ることができる。

Fin

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