2008年12月30日火曜日

[diary]シモイオ到着

シモイオ到着

08/09/03(水) 晴れ
[Maputo→Chimoio:Mozanbique]

・夜中のトイレ休憩
・円形の家々
・?に到着
・ジンバブエから来た人
・シモイオ到着
・ピンクパパイヤ
・ファストフードのローカル食
・ネット高い!
・市場

トロトロとバスは走り続けている。車内はまったく静かになり、ぼくもしばらく眠っていた。座席は3人掛けで背もたれは倒れないタイプのものだから、そんなに眠れるわけではない。ケツが痛くてしばしば目が覚める。熟睡できているのは、母親に抱えられた子どもくらいだろう。

眠り込んでいたのにバスが停まったのを機に車内ががたがたとうるさくなる。時計をちらっと見ると夜中の2時前。なんだ? と思って目を覚ましてみると、どうもトイレ休憩らしい。もちろんどこかのパーキングエリアの停まってそこのトイレで•••、ってなわけではなく、草むらで各々が用事を済ますだけ。

しばらくしてまたバスは走り出す。次に目が覚めたときには夜が明けようとしていた。南アフリカでは朝方はまだまだ寒かったのに、意外とこちらは寒くない。

車窓からは右手遠くに山脈が見え、沿道には円形(球形)の土壁の家が集まる集落がときおり見える。

6時半頃、バスはまた停まる。今度はお目覚めのトイレタイムらしい。外は気持ちいいくらいに涼しい。

それぞれ用を済ますと、多くの人は歯を磨き出す。持参している水を使って歯磨き粉を付け、歯ブラシでごしごしやっている。バスの運転手がそろそろ出るぞというような合図をしても、その頃になって車内からパラパラと人が降りて歯を磨き出す。みんな歯磨きに熱心だ。

思ったように出発できず運転手はちょっといらついている様子だったが、少しずつバスを動かすことで脅し、なんとか出発する。

バスのスピードは相変わらず遅い。が、たまに現れる主要な町までの距離を表示した看板から、ぼくの目的地にはだいぶ近づいていることがわかった。昨日はバスがあまりにものろいから、今日も一日バスの中かと思ったりもしたが、やはりそれなりには進んでいた。

窓から外を見ているとなんだか日本に近い風景のように感じる。緑の山並みがわりと近くに見え、道路もアップダウンが多い。川をほとんど見ない点は、日本とだいぶ違う。中南米をまわっているときもそうだったが、こうしてあちこち移動していると、日本はなんと川の多いところなのかと感じる。丸一日車で移動していれば日本であれば(沖縄をのぞき?)、たいてい数本の川を見るだろうが、こちらでは一日に一本も見ないこともある。まぁ、どういうルートを走るのかにも依るだろうけど、印象としてはそのように感じる。

食べ物はだいたいみな持参していて、隣の子連れのおばさんもパンを取り出し、子どもと一緒に食べている。

そんなこんなしながら時間が経ち、10時頃、ようやく目的地点にたどり着く。今日の目的地はシモイオだが、このバスはそこを通らない。ただシモイオにつながる道路との交差点は通るので、そこで降りることにしていた。

道ばたの看板から目的地点が近いことがわかったので、周りの人にシモイオに行きたいのだがと言うと、もうすぐだと教えてくれる。そして、バスが休憩で停まったところがそれだった。ぼくは乗り換え地点は小さなまちだろうと思っていたが、ただの道ばただった。しかし、この交差地点はシモイオだけでなく、モザンビーク第二の都市のベイラにもつながる道とも交差しているため、それぞれのまちとをつなぐワゴンタイプのミニバスの停車場にもなっている。そのため、道ばたでバス待ちをしている人や通りがかるバスの乗客をあてにして物売りに来ている人たちがいるので、ちょっとにぎやか。

荷物をおろし、さてと一息ついていると、バス待ちをしていた一人の黒人の若いにいちゃんが英語で話しかけてくる。彼はこれからマプトに行くと言い、そのバスが何時に来るかわかるかと聞いてくる。わからないと答え、英語ができるので彼にどこの人か尋ねるとジンバブエから来たという。ジンバブエは政情不安とハイパーインフレで危ないというような話もあるが、実際に危ないのかと尋ねると、そんなことはないと言う。

バスから降りたところにはシモイオに行く車はなかった。聞くとシモイオに行くバスにはもう少し先のところから乗れるらしい。てくてく歩く。両脇は草むら。

100mほど歩くと道が交差しているところに出た。左に曲がったところにワゴンが停まっていたので聞くと、これがシモイオに行くらしい。なので、荷物を荷台に積んで背を軽くする。まだ出発しそうにないので、道ばたをぶらぶら。ゆで卵を売っている少年がいたので2個買う。1個5メティカシュ(約20円)はマプトと同じ。

それから日本的なパンを買う。10メティカシュ(約40円)。あと水がなくなっていたので、ジュースを買う。これが西アフリカではほとんど見なかった缶ジュース。炭酸飲料しかないのが不満だったが、しょうがないのでファンタを買う。20メティカシュ(約80円)。西アフリカなどでは道ばたで売っているジュースはほとんどが瓶かペットボトルに入ったジュースで瓶もペットボトルもリユース(ペットボトルは商売している人が適当に中身を入れ替えて使っていた)されているものだったが、モザンビークでは缶ジュースをよく見るようになった。

缶はリユースしにくいためか、ぽいぽいとそこらへんに捨てられている。瓶やペットボトルならカネになるから、あるいは使い道があるからと集めている人(子ども含む)がいるが、缶はそういうふうになっていない模様。リサイクル工場をコカコーラが作れば、缶もお金になるとなり、ペットボトル集めのようにそれで生計を立てられる人が出てくるだろうに、こう簡単に捨てられていてはアルミがもったいない。

30分ほど待っただろうか、ようやく満席になったところで車は発車。12人乗りほどのワゴンで、車体は古い。が、スピードはバスよりも出る。運賃は45メティカシュ(約200円)。

さっきまで乗っていたバスに比べればゆったり座れるせいか、しばらくすると眠くなり、寝てしまう。

目が覚めたときにはまだ目的地に着いていなかった。沿道には集落が見える。燃料にするのだろう、薪をかついで歩いている女性たち(少女含む)の姿を見る。ふとなぜここらの人は荷車を使わないのかと不思議に思う。高くて買えないのか。集落でリヤカーを所有すれば薪運びもずいぶん楽になるように思うのだが。また西アフリカもそうだったが、ここも馬車などを使っている人がほとんどいない。馬がそもそもあまりいないとか馬を飼うのにけっこうカネがかかるとかということがあるためなのか。ともあれ車輪を使った道具をほとんど使っていないように感じる。

道路は起伏はあるものの舗装されているので、走りは快調。1時間ほどした頃、左手に新しめのスーパーが見える。ちょっと行くと線路があり、それを越えるとシモイオの中心部。線路を越えて左に車は曲がり、左手に鉄道駅の駅舎が、右手に市場らしい建物が見えたところで車は停まった。

荷物を受け取り、地図を取り出して、宿の位置を確認。歩く。

バスが停まったあたりには路上にも野菜や果物、お菓子などを売る人たちが集まっている。ちょっと見て周りたい気になるが、荷物を置くことが先とまずは宿を目指す。

線路沿いに150mほど歩き、右に曲がって、また100mほど歩くと目的の宿はあった。ピンクパパイヤという名の通り、外観はピンク。敷地の入り口には鉄柵の門があり、鎖で錠がされている。

中をのぞき込みながら、ハローと声をかける。すると中から若い黒人の男が出て来て、中に入れてくれる。彼はここの宿のスタッフのようで英語を解した。

部屋に案内してもらう。ドミトリーの部屋は一泊8米ドル。木製の2段ベッドが4つあり、ぼくの他に一人先客がいるようだった。部屋は9畳ほどあり、バルコニーにもテーブルと椅子があってのんびりできるようになっている。

荷物を置いて、スタッフの男性にローカル食が食べられる店を聞く。彼は市場にある店がいいと教えてくれる。

歩いてさっきバスが停まったところにある市場を目指す。ピンクパパイヤの周りは住宅街で1軒屋が多い。近辺の道はすべて舗装されている。

10分ほどで市場には到着。一つの大きな建物が市場になっており、中に入ると野菜や果物、肉、工具、服などを売る小さな店がところ狭しと並んでいる。トマトの季節なのか、トマトが大量に売られている。大玉はあまりなく、中玉から小玉のものが多い。バナナやキャベツ、タマネギ、じゃがいも、小さな人参などもあり。

目的の店を発見。こざっぱりしたコンクリート作りの小さな店で客は多い。入り口の看板にはFastfoodと書かれている。

メニューはいくつかしかないようで、周りの人が食べていたものを頼む。ベナンやトーゴ、ガーナなどで食べていたような粉を練ってでかい団子状にしたものとカレースープのようなものが出てくる。団子状のものは、ベナンなどのものとは材料が違うようで、イマイチ味がパットしない。後にトウモロコシの粉が材料であるらしいことがわかる。どちらかと言えば、ぼくはベナンなどで食べているフーフーの方がいい。

カレースープのようなものは、よくあるタイプの味。新味はなかった。値段40メディカシュ(約170円)。

食事後、宿のスタッフに教えてもらったネット屋に行く。この町にはネット屋は数軒あるらしいが、ここが一番いいと教えてくれた。ガラス張りのオフィス風のところで、パソコンが何台も並んでいる。壁に値段表が貼られていたので、見てみると1分1メディカシュの計算になっている。なので1時間は60メディカシュ(約240円)。高い。回線速度はたいして速くもないが、いらつくほど遅くもない。まぁまぁ。

値段が高いこともあるからなのだろう、店内には客は少ない。ワードで文書を作ったりしている若い子が数人いるのは、学生か何かなのだろうか。

そんなことしているうちに夕方近くになる。ここも暗くなって以後は、物盗りなどが現れてちと危険らしいので、暗くなる前に帰らなければならない。

晩飯用にと市場に買い出しに行く。するとまた食堂に目移りし、さっきとは違うもっと小さな食堂で一食くらふ。

それから、道ばたで果物を売っている人からバナナとレモン、椰子の実、トマトを買って帰る。

宿に戻ると昼間いたスタッフは帰ったようで、宿主らしい白人の女性が門を開けてくれる。聞くと彼女はドイツ人で、夫婦でこの宿をやっているらしい。どうりで(?)宿の台所から風呂場から何から何までが珍しいほど丁寧に整頓されているのか、と思う。ちなみに会話は英語。

彼女に椰子の実を見せ、これを割りたいのだがなにか道具はないかと尋ねる。すると鉈(なた)をどこからか持ち出してきて、これでと貸してくれる。椰子の実は外皮ははがされ、堅い中心の殻のみの状態で売られていた。西アフリカにいるときには、毎日のように椰子の実のジュースを飲んでいたが、そのときは椰子売りのにいちゃんたちは、そのままの椰子を陳列していて、注文すると鉈でパンパンパンと飲み口を作って飲ませてくれた。

同じ要領で買ってきた椰子の実も割れるかと思ったが、鉈を振り下ろしてみるとまったくわれない。表皮がないため殻が乾燥して固くなっているのか、それともそもそも西アフリカで飲んでいた椰子とは種類が違うものなのか? 

この実が四角だったら平たいところに置いて叩き割ることもできるが、丸いためそれもできない。左手に椰子を持ち、右手に鉈を持ち、何度か振り下ろすがダメ。とにかく割れる気配がない。逆に鉈の刃が悪くなりそうに思う。

これは無理だなと思い、錐(きり)のようなものがないか、また宿主の女性に尋ねる。するとマイナスドライバーを今度は貸してくれた。これで穴を開けられるないな、と思いつつも、ちょっとずつ錐を使うときのようにある1点を中心にくるくる回していると、なんとか穴が開く。

ただ、この小さな穴から直接飲むのは時間がかかりそうなので、器の上に穴を下にして実を置き、中のジュースが出てくるのを待つ。椰子のみジュースはやはりうまかった。

共用スペースのソファに座って、ガイドブックを読んでいると同じ宿に泊まっている人たちも集まってくる。ビールを片手にやってきたのは白人の女性。聞くとドイツ人らしい。見た目40代くらい。一人旅らしい。ドイツでは子どもの福祉施設で働いているらしく、夏の休みでモザンビークに来たという。休みは1ヶ月あり、今回はモザンビークのみという。アフリカでは他にスーダンやケニア(だったかな?)にも同じような形で旅行に行ったことがあるらしい。

彼女にドイツではアフリカ旅行はポピュラーなものなのかと尋ねてみると、そうではないと言う。日本と同じように、一般的にはアフリカは危険なところと思われていて、あまり旅行には行かないらしい。そう言った後で、彼女は、でも、実際は基本的に安全だけどね、と言う。ちなみに彼女が気に入っているのはスーダンらしい。

そんな話をしていたらカップルらしき白人男女もやってきてソファに座る。彼らは自炊しているようで、スパゲティを盛った皿と生野菜のサラダを手に持ってきた。

アフリカで思うのが、よくガイドブックや外務省の危険情報で、生野菜は食べない方がいいと書かれてあるものの、アフリカで見かけるヨーロッパ人はしばしば生野菜を食っているから、彼ら(彼女ら)は、そういうことを気にしていないのか?ということ。かく言う自分も屋台とかでは生野菜食っているのだけれど。

そのカップル(ということにする)は、イギリスの大学生で女性の方は国際関係論を勉強しているらしい。卒業が近いらしいのだが、その前にと旅行に出て来て今アフリカを北上中らしい。しかし、そのスピードはずいぶんゆっくりしていて、今半年くらい経つが、回ったのは3カ国ほどらしい。1カ所に数週間いることもあるよう。

カップルとドイツ人も英語で会話をしているが、ぼくには彼らの会話は速くてほとんど聞き取れない。

どういう流れだったか忘れたが、そのカップルがモザンビークの別のまちで経験したことを話し出した。海に近い観光地のまちでのことだったらしい。その時、同じ宿に泊まっていた別のイギリス人(以後、A君と呼ぶ)がいて、その彼と3人で市場に飯を食いに行ったという。3人で並んで食べていると、後ろを通りがかった現地の若い男が、突然、A君の荷物をひったくり走って逃げた。

ひったくられた瞬間に気づいたA君はすぐに犯人を追いかけて走り出し、カップルの男の方も一緒に走り出した。その様子を見ていた店の人は、すぐに地元の言葉で大声で何事かを叫ぶと、ひったくって逃げていった男の近くにいた人たちがその声をきっかけに一斉にその犯人を捕まえようと動き出した。

犯人はすぐに捕まえられ、A君の荷物も無事手元に戻った。それは良かったが、今度は捕まえるのを手伝った現地の人が、犯の男を次々と蹴ったりしてぼこぼこにしだした。イギリス人らは荷物が戻ればそれでいいと思っていたので、犯人がぼこぼこにされるのを見て驚いてしまったと言う。

またイギリス人は、犯人をそのまま逃がしてやろうと思っていたのだが、手伝ってくれた人たちが”それじゃダメだ。警察に連れていけ”と言って聞かないため、しょうがなく犯人を連れて警察まで行き、警察とのやりとりなどにしばしの時間を使わざるを得なかったと言う。

などともろもろの話をしているうちに夜中近くなったので、三々五々解散。

あとはベッドで寝る。スワジランドを出て以来、この3日ほどは、寝床はテントにバスだったので、こうして広々と眠れるのは久しぶり。

熟睡

Fin

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