・チケットを売らないチケット売場
・エクアドル出国
・ペルーでパスポートチェック三連発
・草のない山
・海水浴場
・田んぼ、田んぼ、田んぼ
・ピウラで乗り換え
・豪華なバスー指紋採取、ビデオ撮影、アナウンス、夜食
夜中、暑さと虫が這っているような感覚があって何度か起きる。温度計を見ると夜中なのに気温は32度、湿度75%。ベッドから起き、開けていた窓から手を出してみると明らかに外の方が涼しい。
6時頃には起きる。あたりで鶏の鳴く声が聞こえる。
バスは11時発だったが、9時にはターミナルに行く。宿から歩いて10分ほどだが、暑さもありかなり汗をかく。
ターミナルは昨日と同じようにバスがひっきりなしに入ってきては出ていく。ターミナル前の歩道ではココナッツジュースを売っているアフリカ系のおにいちゃんがいて、次々と人がよって来て買って行く。
ターミナルのチケット売場に行ってチケットを買おうとすると11時がどうのと言って、売る気配がない。発車時間近くになったら売るのかなと思い、しばらく待合室で本を読みながら待つ。日が入ってくるので、本を読んでいてもうっすらと汗をかく。
10時過ぎにまたチケット売場に行くと、またなんだかんだと言って売ってくれない。言葉もわからないので、今度はバスの整理をしていたおじさんに聞いてみると11時に来るからと言われただけ。
国際バスだから事前にチケットを買っとかないといけないのだろうなと思っていたが、どうもよくわからない。
11時前、バスがターミナル内に入ってくる。ぼくはバスの近くにいたおじさんにペルーに行きたいと伝え、荷物を預け、バスに乗り込む。
バスは11時過ぎに発車。テコンドーの道具を持っている一団がいて、車内でこちらに話しかけてくる。彼らはペルーに帰るところらしい。車内はほぼ満席。
昨日も通ったバナナ農園に挟まれた片道2車線の幹線道路をバスは走る。
バスに乗ってから料金の徴収がある。代金は6ドル。
バスはバナナ農園や湿地帯の中を走る道路をがんがんとばす。窓が開けられるので風が気持ちいい。
出発してから1時間後の12時過ぎ、検問があり、それからすぐに国境の町Huaquillasに着く。そこでバスの人に降りるよう言われ、テコンドーの一団とともに道の脇にあったイミグレーションに行く。
バスを降りるとバスは発車。どこかへ行ってしまう。荷物を預けているのにどういうことだ、と思ったが、テコンドーの一団(5人ほど)もほとんど手ぶらでバスを降りていたので、バスは先の方で待っているのだろうとも思い、まずは出国手続きをする。
出国手続きは特に質問もなく10秒ほどで終了。入国カードの半券をもらい、バスがどこ行ったかなと道ばたに出て眺める。すると、テコンドー一団のボスらしい男の人が、ここで待っていればいいというようなことを言う。
イミグレの隣には小さな食堂兼カフェみたいなのがあって、テコンドー一団はそこの日陰でバスを待っていた。ぼくは立ったまま、バスが去った方を見つめ、待つ。立っているとタクシーの運転手がどこに行くのだと話しかけてくる。
バスは20分ほどして戻ってくる。バスの中はほとんど空っぽになっている。どうもさっき降りなかった人たちはここよりさらにペルーに近いエクアドルのまちに行く人だったみたい。
バスに乗り込む。もう車内はガラガラなので、二人分の席をぜいたくに使う。
バスは舗装された通りを走る。沿道には立派なサッカー場があり、民家や商店が建ち並んでいる。10分経ってもペルー側に着かないので、もしやさっきのところにペルーの入国手続きをするところがあったのかと思うが、他の人も出国手続きをしただけなので、そうではなさそう。
これまでの国境越えでは、出国と入国の間はせいぜい5分くらいで、しかもその間にはまちというまちはなかった。なので、今回もそんなもんだろうと思っていたのに、サッカー場はあるし、家は多いし、市場みたいなところもあるし、でこれまでの前例が覆されてしまった。
出国手続きから、一つのまちを抜けて走ること30分ほど、13時10分にようやくペルー側に入り、入国審査をするイミグレーション前でバスは止まる。
乗客は皆降り、左側にあったイミグレで入国手続きをする。これも質問もなく、すぐに終わる。
またバスに乗り込み、バスはすぐに走り出す。
ペルーに入って景色は一変。エクアドル側のまちは物があふれていたのに、こちらは堀立て小屋の家が荒涼とした大地に規則正しく並んでいる。難民キャンプかとも思えるような光景。
しばらく行くと両側にコンクリート造りの建物が見え始め、街に入ったことがわかる。Tumbesというまちでここで何人か客が降りる。このまちには三輪バイクタクシーが盛んに走っていた。そう言えば、エクアドルでは見なかったなと気づく。
10分ほど休憩した後、バスは発車。
まちを抜けると見えてきたのは田んぼだった。まだ青々している田んぼもあれば、黄金色になって稲穂が垂れている田んぼもある。道路の両脇が一面田んぼ。なかなかの壮観。
やがてバスは海沿いに道に出る。太平洋を右に見ながら舗装された道路をビンビンとばす。この辺りは海水浴場のメッカなのか、次々と海水浴場が現れる。
ペルーに入ってから1時間後の14時20分、海沿いのまちでバスは止まる。何かと思い、外に乗り出してみると警官がいた。
バスの添乗員のおじさんが何やら警察と話し、荷物入れのドアを開けて中を見せている。窓からその様子を見ていたら、まだ20代前半にもなっていないのではと思われる若い警官と目が合う。アッと思ったら案の定、その若い警官は年輩の警官に何やら耳打ちし、その警官がこちらを見て、そしてバスに乗り込んでくる。
その警官は一直線にぼくのところに来る。あのガキいらんこと言いよってと思いながら、待つ。そして、ぼくのところに来て、パスポートチェック。スタンプを確認するとすぐに返してくれた。
荷物のチェックの方では、何かの苗がひっかかった。持ち主の男性はバスを降り、警官に何やら抗議をしている。20分ほどバスはそこで停車。
再度発車したときには、苗の持ち主の男性はいなかった。どうも面倒なことになったよう。
右手に海を見ながらバスは走る。左手の陸地は草もない茶色の低い山や丘が続く。ときおり橋を渡るが、水はない。
1時間ほど走ったら、またバスは止まる。今度は立派な検査用の建物の前で停まる。
乗客はみな自分の手荷物を持って降ろされる。荷台のドアを開け、警官が客の荷物をチェックする。建物の中で、手荷物のチェックもあったが、ぼくはどこから来たかと聞かれ、Japon(ハポン)と答えたら中身のチェックはなかった。
トイレ休憩と軽食を売っていたので、そこで菓子パンと水を買う。これまでと変わったのが、この水。水の味とかではなく、サイズがペルーは違う。買ったペットボトルの水は625mlだった。
15分ほどそこでチェックがある。入国の時には荷物のチェックはしないのに、なんでこんなところでやるのかが謎だ。
またバスに乗り込み、再発車。が、1時間もたたないうちにまたバスは止まる。窓から前の方を見ていて、警察がいるとわかったので、ぼくはカーテンを閉め、外から見られないようにする。これですんなり通ってくれればと思ったが、警官はバスが停車したら即乗り込んできた。
そしてぼくを見るとつかつかと近くまで来て、パスポートを見せろと言う。他の客はそんなチェックをしているふうじゃないのに、なぜぼくだけと思いつつ、パスポートを見せる。そしたら、なぜか外に出ろというようなことを言う。
それで手荷物を持ってバスを降りようとしたら、運転手がどこに行くんだと聞いてくる。いや、どこにと言われてもと思いながら、わからないと答える。
バスを降りると別の警官がぼくを見て、パスポートを見せろと言ってくる。ぼくのパスポートはさっきの年輩の警官が持ったまま。それを仕草で伝えると、今度は荷物の中身を見せろと言って、ごそごそ調べる。
年輩の警官がバスから降りてきて何やら言うがよくわからない。バスの添乗員のおじさんがいろいろ説明らしきことをする。どうも年輩の警官は、パスポートに入国スタンプがないと思ったらしく、聞かれてぼくがそのページを開いて見せると、それで事は済んだ。
まったくちゃんと見ろよな。それに入国審査の人ももっと分かりやすいところにスタンプ押せよなと思いながらバスに乗り込む。ペルーの入国スタンプは、それまで使っていたページから数ページとばしたところに押されていた。前のページから順に押してくれれば、こんなことなかったろうに、まったく。
ぼくが乗り込むとバスはすぐに発車。これまでの遅れを取り戻すかのように、がんがんとばす。
やがて道は海から離れる。ミニグランドキャニオンのようなところも通る。
17時半、内陸の方へ向かう道が右と左とに分かれるポイントに来る。バスは左にルートを取り、しばらくすると田んぼやバナナ農園が広がる地域に入る。
田んぼの畦には椰子が植えられており、夕日に映えるそれらの姿がなかなかよろしい。
日が暮れた18時過ぎ、車が増え、沿道にコンクリートの建物が多くなる。どうもピウラに入ったよう。
街に入ると渋滞のためスピードが落ちる。一方通行の道をぐるぐる回って18時30分過ぎにCIFAのターミナルに到着。ここは会社ごとにターミナルが別れているから、すぐに次に乗り換えることができない。
ここで一泊することも考えていたが、リマでブラジルのビザを取るためにも早くリマに行きたかった。しかし、外は暗くなっていて、時間も19時に近い。歩いてターミナルを探しても、バス自体があるかどうかがわからない。
どうしたものかと思いながらバスから降り、リュックを背負う。するとターミナル内にいた30代後半くらいの男がタクシーが必要かと話しかけてくる。首からは身分証明証をぶら下げている。
ぼくはリマに行きたいんだけどと言うと、19時半発のバスがあるからそこまで乗せていくという。値段を聞くと5米ドル。地図を見る限りではどの会社のターミナルもそう遠くはない。だから5ドルはしないだろうと思い、3米ドルでと言うと、渋そうにOKと言う。
タクシーに乗ると、ペルーの通貨であるソルを持っているかと聞かれる。エクアドル・ペルーの国境では両替商の人がいなかったから、まだソルは持っていなかった。でも、米ドルでなんとかなるだろうと思っていた。
持っていないと答えると運転手は、バス会社はソルしか受け取らないと言う。そして、両替所に寄るから両替しろと言う。確かにペルーではそういうことがあるような話は聞いたが、レートは悪くなるだろうが、米ドル押し切れないことはないだろうと思った。なので、両替所に行く必要はないと言うが、身分証をつかんでこちらに見せながら自分は嘘を言っていないというようなことを言う。
この調子では断っても無駄だなと思い、両替所に行くことを了承する。タクシーは両替所が並ぶ通りに入り、そこに車を止める。ぼくはタクシーが勝手にどっか行かないか気にしながら両替をする。レートは1ドル=2.75ソーレス。後にそれほど悪くないレートだったことを知る。
両替をしてすぐにタクシーに戻る。
そして、18時45分ほどにバスターミナルに着く。レートからすれば3ドルは10ソーレスでもお釣りが出るくらいなので、10ソーレスでいいかと運転手に聞くと5米ドルだと言い出す。またもや出ました、タクシー運転手お得意のあと出しジャンケン。3米ドルだろと確認するが、運転手は両替所に寄ったから5米ドルという。そんなの関係ないだろうとぼくは思うも、ハイハイ5ドルほしいのね、と5米ドル渡す。
荷物をとって、ターミナルの窓口に行く。窓口の女性にリマに行きたいと言うと、いつと聞かれる。今からと言うと、パスポートを求められ、そのコピーを見せるとパソコンで名前などを入力し、チケットを発券してくれる。運賃は60ソーレス(約3000円)。エクアドルと比べると倍近くあがったような気がする。リマまでは14時間くらいだからエクアドルであれば20ドルしないはずだ。
まあ、それでもうまく乗り継ぎができたので、安心する。バスは19時発。あと15分ほどある。
ターミナルの前にはバナナチップを売っているおばさんなどがいた。今日はまともに飯を食っていないので、バナナチップでも買うかと思ったが、袋があまりにでかい(日本のポテトチップのでかいサイズの2倍くらいある)のでやめる。
ターミナル周辺に屋台はないかをちょろっと歩くとハンバーガー屋があったので、そこのを買うことにする。値段を聞くと1個1ソーレス(約40円)と言うので、2個買う。
ターミナルに戻ると乗車が始まっていた。つかつかとバスの方に向かっていると、脇で何やら並んでいた列で待つように言われる。
何をしているのかと思ったら、そこで乗客名簿とチケットの突き合わせをし、さらに指にインクを付けて、乗客一覧の自分の名前の上に押印(?)していた。
その横ではおじさんが、セニョーラとか言いながらビデオカメラを回している。団体客の人かと思っていたが、ぼくの時もセニョールと声をかけてきてカメラを見るように言う。そのおじさんはビデオを持ったまま、バスに乗ることはなく、指紋のチェックなどをしていたターミナルの女性とバスを見送っていたので、どうもバス会社の人だったらしい。ここまでするとは、ペルーはどんなところなんだ。
バスが発車すると制服を着た添乗員の若い女性が、マイクを持って乗客に何やらアナウンスをする。スペイン語なので何を言っているのかわからないが、そもそもこんなことがあること自体に驚く。相当いいバスに乗った模様。
ぼくはハンバーガーをアッという間に平らげる。車内の電気は落とされているので、その暗さもあり早々に寝てしまう。
かなり寝入っていたのだが、バスのスピードが落ち、何かアナウンスが流れているのを感じ、目が覚める。
バスは門をくぐり、建物の横で停車。そこで乗客は続々と降りていく。ぼくもそれに合わせて降りる。
時計を見ると22時20分。こんな時間にトイレ休憩かよと思いながら、みなが入っていく建物に入る。するとそこにはホテルの食堂のようになっていて、そこで乗客の人たちが座って同じ物を食べている。
こんな時間にみんな食欲あるなと思いながら、空いていた席に座る。テレビではサッカーの試合のニュースが流れている。
席に座ってしばらくするとかしこまったウェイターが注文もしていないのにお茶を運んでくる。おお、これはサービスかと思い飲んでると、今度は同じテーブルのおばさんが食っていたものと同じ料理が運ばれてきた。
ウェイターに食べていいのかと仕草で確認するとうなづく。なので頂く。鶏肉のカレーのような料理でうまい。う~ん、まさか夜食がついているとはまったく予想していなかった。窓口の女の人もそんなこと一言も言ってなかったし。ハンバーガーは買わなくて良かったなと今頃思う。それにどうせなら、もうちょっと早い時間にしてくれた方がいいなとも。
30分ほどここで休憩し、またバスは走り出す。飯を食った建物はいったい何だったのかと後方を見ると、やはりホテルの一角で、ぼくらが使った入り口は日本で言うと従業員用の裏門みたいなところだったよう。
バスに乗ると満腹になったこともあり、さっさと寝てしまう。
Fin
machala-li |
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