2008年5月3日土曜日

クエンカからマチャラへ

2008.4.19(土)

・太平洋側へ
・バナナのまち

今日も5時台に目が覚める。廊下に出てみると宿の表口は完全に閉まったまま。

6時頃になると通路の方から音がしたので、リュックを背負ってチェックアウト。外は曇っている。気温はそれほど低くなく、涼しい程度。

宿の目の前のバスターミナルに行き、マチャラ行きのバスを出しているバス会社のオフィスに行く。ちょうど6時15分発のバスがあった。運賃4.5米ドルを窓口で払い、チケットをもらう。そして、入場料みたいなものを0.1米ドル払って乗り場に入る。

バスは大型の普通の長距離バス。メキシコのように特にきれいでもないし、汚くもない。

バスは6時18分に発車。時間どおり。しばらくすると車内にはサルサが流れ出す。

バスは幹線道路に出て、昨日も通った道を走る。途中、反対車線から来た黄色いタクシーがUターンするのか、こちらの車線に入る格好で車線をまたいで停まって、盛んにクラクションをならす。

バスはそのタクシーの前を通り過ぎるが、すぐにタクシーはバスの左横に来て、追い越しバスの前に車線変更をして、停まる。それに合わせてバスも止まる。何やってんのかなと思っていたら、タクシーから降りてきた女の人がバスに乗り込んできた。どうもこのバスに乗るためにタクシーで追っかけて来たよう。車内はほぼ満席状態。

Terminal Surの前でバスはまた停まり、客を乗せる。ターミナルの周りにはすでに屋台が出ており、そこで飲んだり食べたりしている人が見える。屋台にはあの白い飲み物"Morocho"の文字も見える。

バスの中には宗教関係なのか、薄っぺらの雑誌を持った年輩の女性と男性が乗り込んできて、なにやらスペイン語で乗客に話しかけ、その雑誌を配ってまわる。ぼくにも差し出されたが、スペイン語はわからないからと受け取らなかった。他の人は概ね受け取っていたようだった。

バスはまちを外れると坂道を上り始める。この辺りも畑や牧場が多い。そして水路が美しい。

2時間もすると雲はない青空になる。バスが走る道は山道。左手に見える山には緑がない。人が住んでいる気配もない。

しばらくして、山に緑が見え始めると、畑や民家なども見え始める。ときおり見えるトウキビ畑のトウキビは、軸が紫ではなく緑。あの紫色の軸のトウキビは高地でしか育たないのだろうか。

沿道にはたまに集落が現れる。バスは下り坂に入り、高度が下がるほどに徐々に気温が上がり始める。向かう方面の空の色もアンデスの空の色とは違って、より明るく見える。

バナナ畑も見え始め、家々の庭先や道に面した小屋には、バナナの房がひもなどでつるされているのが見える。バナナは赤茶けたものから緑、黄色いものまでいろいろ。

ときおり土砂崩れの跡もあり、道に流れ出た土砂をどかしたばかりというようなところもあった。

朝のままの格好ではだんだん暑くなる。沿道に見える人たちもみな半袖姿。温度計を見ると28度くらいまで上がっている。集落を通る度に乗客の乗り降りがある。

9時過ぎ、太平洋側に出るための最後の坂を登ったらしく、一瞬、遠くに海が見えた気がした。空の色との境がはっきりしなかったから、しっかりとは見えなかったが、たぶん海だった。

バスは下ると、すぐに平地に出る。また一段と暑い。気温は30度になっていた。

だんだんとコンクリートの建物が増え、まちに入ったことがわかる。Pasajeというまちのよう。途中の集落から乗ってきた人たちが、ごそっとここで降りる。

通りには、カカオの仲買らしい店が目立つ。シャッターは閉まっているが、Cacaoの文字とその絵がかかれてあり、さらにスペイン語で”買う”という言葉が書かれている。

そのまちを抜けると、両脇にはバナナ農園が現れる。奥行きがどれくらいあるかわからないが、サッカー場ならかるく20面はとれそうな広さ。時間を計ってみたらバスは10分近くバナナ畑の脇を走っていたので、一片が数kmはある。道路の路肩からジャンプすればバナナに手が届くほど、近くまで植えられており、大きく実(?)がついている房には青色の薄手の袋がかけられている。

途中、バナナ農園が途切れたところには、高級マンションらしい地区があって、入り口にはゲートがあり、警備員もいた。そのすぐ近くにはこれもできたばかりらしいきれいなショッピングモールがあった。朝が早いからか、客はほとんどいない。

バスは、さっきのまちを出てから20分もしないうちにマチャラに入る。まちの入り口となるロータリーには、グアテマラのバナナ港プエルトバリオスにあったものと同じような、右肩にバナナの房をかかたバナナ労働者の像が立っていた。

すぐにバスはまちの中に入っていく。道幅は広いが、人通りがあまりないので、閑散としたイメージを受ける。

バスは10時前に、この会社のターミナルに到着。タクシーの客引きとかはほとんどいなかったので、荷物を受け取り、ロンプラの地図で位置を確認。幸いバカでかい看板を揚げているホテルが近くにあり、それが目印となったのですぐに現在地がわかる。

ロンプラ南米版には、ここの情報はあまりなく宿も10米ドル以上のしか載っていなかった。なので、ちこっと歩いて宿を探す。だいたい市場近くにも安い宿があることがわかってきたので、市場の方に向かう。

ここも路上に露店があふれるように並んでおり、そちらの方に歩いていって最初に見つけたHostalにまずは入ろうとした。が、看板はあるのだが、入り口が開かない。受付は2階らしく、1階の歩道に面した鉄格子の扉をガタガタやるが開きそうにない。なんだかなぁ、と思っていたら、近くで見ていたおじさんが、あっちあっちと通りを挟んで向かい側を指す。

看板が高い位置にあって気づかなかったが、そちらにもHostalはあった。どうも、今、ガタガタしたところは閉館したよう。

そちらの宿に行く。やはり2階が受付になっているようで、階段をあがる。上がっていくと電話ボックスのような窓口が開るが、誰もいない。

左手には扉の開いた部屋があり、その中にいるおじさんと一瞬目があった。おじさんは起き出してきて、何やら火の名前を呼ぶ。

すると若いにいちゃんが階段をかけ上がってきた。停まりたい旨を伝え、代金を聞くと3米ドルと言う。う~ん、素晴らしい!

そこで宿は即決。3階の部屋を案内される。3階の屋上に出る手前の部屋で10畳ほどあり、ベッドが一つに扇風機が付いている。テレビなどはない。室内にシャワーとトイレもあり、タオル、せっけん付き。すばらしい。

荷物を起き、半袖に着替えてまちに出る。

まずは明日乗るバスのターミナル探し。その前にのどが渇いたので路上の屋台で売っていたAgua de coco(椰子の水)を飲む。ジャマイカのように椰子の実1個単位で売っているのかと思ったら、屋台のおじさんはプラスチックの1リットルくらいの計量カップを取り出し、そこにすでにためていた椰子の水をプラスチックのコップに入れて渡す。

だから180ccくらいか。これで0.5米ドル。ジャマイカでは々くらいの値段で実1個だったのに、量を比較すればこちらの方は4分の1程度しかない。なんてお上品なんだと思いながら、あっと言う間に飲み干し、お金を払う。そして、ついでにバス乗り場も聞く。

”シーファー”というところがペルー行きのバスを出しているというので、道順を教えてもらい、そこに行く。きれいに歩道が整備された通りにCIFAのターミナルはあり、盛んにバスが出入りしていた。チケット売場でペルー行きのバスの発車時刻と料金を聞く。対応はそっっけない。

バスは朝の11時発というので、今日はゆっくりまちを見てまわることにする。

ターミナルからの戻り、来た道とは違う道を歩くと広場に出た。広場の周辺には立派な建物が多いが、週末ということでか開いている店はほとんどない。ロンプラによればここはエクアドル第4の都市らしく、確かに広場付近は立派だ。

面白いのが、地元の銀行のマークで、このマークもバナナの房をかたどったものになっている。この地の経済のよほどの部分をバナナが占めているようだ。

また広場には気温と日時を電光表示する看板があって、それを見たら気温は36度だった。暑いわけだ。だが、蒸し暑くはない。

朝も昼もまだ食べていなかったので、市場界隈に行く。市場の建物は今日はやっていないようで、入り口の扉は閉ざされていた。が、その周りの路上に軒を連ねた露店がなかなかいい。クエンカの路上市は、整然としていたが、ここは雑然としている。道の両脇に露店が並び、真ん中の通りも屋台をひいてジュースを売る人や荷台にパイナップルを乗せて売り歩く車などが通る。だから、まっすぐさっさとは歩けない。こちらはまた一段とハイチっぽい。

人通りは多く、マシンガンを持った警官がバイクに二人乗りしてパトロールしている姿も見える。アフリカ系の人もクエンカやキトよりも目に付く。

肉や魚、貝、チーズ、あらゆる野菜や果物が売られており、あちこちから値段などを言って客を呼び止めようとするう声が聞こえ、活気がある。

食事ができる屋台は少なく、見たところ10軒ほどしかなかった。そのうちの一軒で食事。キャッサバなどが入ったスープを食べる。0.5米ドル。

それからもう1軒食堂に入る。ここではスープとジャガイモのペーストで作った白いソースに豚肉(?)のソテー、ジュースがついて2.25米ドル。腹一杯。じゃがいもで作った白いペースト状のソースがなかなか良かった。

この路上市場以外には店はほとんど相手おらず、また人気もなかったので、バスに乗ってぶらぶらすることにする。

さっきも通った広場に戻り、その脇を通るバスに乗る。フロントガラスに書かれた行き先がPto.Bolivarとあったので、これは港の方に行くバスだと思い、乗り込む。ここも運賃は0.25米ドル。

バスの中にはアイス売りの少年やおじさんが乗り込んできて、乗客にアイスをすすめる。5~6人がアイスを買い求める。

バスは中心部から離れ太平洋側に向かって走る。道路は片道2車線の広い道路。もちろん舗装されている。

10分も走った頃、右手に警備のいかめしい一帯が見える。看板などの文字を見ると、どうもここが貿易港の入り口のよう。

それから5分ほどすると、右から交差する道路の奥に海が見える。そして、正面にはBienvenido a Puert Bolivarという文字の入った市場の建物が見える。市場は閉まっている。

バスはそこを右に曲がり、海辺の道に出る。ぼくはそこでバスを降りる。

ここは地元の観光地のようで、海沿いの通りには20軒くらいレストランが並び、さかんに客引きをしている。遊びに来ている人もそこそこいて、繁盛している店はそうした客でいっぱいになっている。

ぼくは水分補給代わりにスイカの切り身を買う。0.3米ドル。

岸壁の向こうの海はきれいではなかった。あまり見ない形をした船が2隻海に浮いている。その向こうにはマングローブの林が見える。

桟橋が見えたのでそちらの方に歩いていく。この通りにはフライドポテトやフライドチキン、違法コピーであろうCD/DVDなどの露店が並ぶ。

桟橋のまわりも物売りの人が多い。ある人はビニール製の凧を売っており、また別の露店は浮き輪など海などで遊ぶ時に使うおもちゃなどを売っている。

桟橋の上には、木製の馬がおかれており、それに子どもを乗せて写真を撮らないかと通りゆく人に声をかけているおじさんが2人いた。おじさんはカメラを首から下げており、サンプルの写真を店ながら、客を捕まえようとしている。

桟橋の先に、20~30人ほど人がたまっていたので、何かと思い行ってみると、そこからボートが出ているようだった。ボート乗り場の手前にチケットを売る小屋があり、そこの張り紙に往復2.4ドルと書かれていた。

どこに行くかよくわからないが、本数も多いようだし、せっかくなので乗ってみることにする。チケットを買ったらすぐに乗船が始まる。なんともタイミングがいい。

シティボーイっぽい4人組の格好付けたあんちゃんたちや小さな子ども連れの親子、カップルなど20人ほどがボートに乗り込む。

いっぱいになったところでボートは出発。エンジンが1つしかないので、グアテマラなどで乗ったボートと比べると圧倒的に遅い。

のんびりと波のない海をマングローブの林の方に向かってボートは進む。途中、漁をしている小さな舟の近くを通る。まだ小学生か中学生くらいの男の子が2人と父親らしき年輩の男の人3人で網をかきあげている。

舟はマングローブの間の自然の水路に入る。両脇にマングローブがあり、ときどきマングローブを守ろうとスペイン語で書いた看板が海上に立っている。

右手に見えていたのは、どうやら島のようで家などがときおり見える。その水路に入ってしばらくすると、エンジンの音が乱れ、プスンプスンと音を立て、止まる。

あれぇー、と思っていたら、どうもガソリンが入っていたポリタンクが空になったようで、運転しておじさんは急いで、別のポリタンクに細いチューブをつっこむ。このチューブがエンジンにガソリンを送り込んでいるようで、別のポリタンクにチューブを移して、再度ひもを引っ張りエンジンをかけるとまたさっきのように動き出した。

それから5分もしないうちにボートがたまっている桟橋に到着。ここが終点のよう。桟橋にいた少年が舟の屋根をつかみ桟橋に引き寄せる。

舟から降り、島に入ろうとすると0.5米ドルを桟橋のところで徴収される。入場料か何かのよう。

桟橋からまっすぐに砂の道が伸びており、水着を着た人たちがうろうろ歩いている。道をまっすぐ歩いていくと、眼前にビーチが現れ、波と遊ぶ人たちが見える。どうもここは海水浴場らしい。

砂浜にはビーチパラソルではなく、キャンプ用の三角テントが立ち並んでおり、外国人の観光客もちらほら見える。波はそれなりに大きいが、水の色は茶色。あまり入りたくない色だ。

それでもキャーキャーと歓声は聞こえ、みんな楽しんでいる。

30分ほどあたりをうろついて、島を離れる。また舟に乗り、戻る。

帰りのボートから見て気づいたが、でかいコンテナ船が泊まっている近くの道路には、倉庫らしき建物があり、そのシャッターにはDoleと大きく書かれていた。

Puerto Bolivarからバスに乗り、マチャラに戻る。

宿に戻る途中、ある家の入り口のところにホセ・マルティやカストロ、ゲバラの写真が入ったポスターがあった。なんだか久しぶりだなとそのポスターを眺める。読むとキューバのドキュメンタリー映画の連続上映に関するポスターだった。

日付を見ると、すでに終わっているよう。そこを離れようとしたら、その家のおじさんらしき人が怪しそうにこちらを見て、ポケットに突っ込んでいた手を見せろと言う。物盗りと思われたらしい。手を見せるとうなづいて、それでおわり。

ポスターについて、これは終わったのかと聞いてみたが、伝わらず、そのかわり?おじさんは勘違いしたようで、ポスターをはがし、持って行けという仕草をしながらくれた。

なかなかうれしいんですけど、これは持ち歩くのはちょっとなぁと思いつつ、受け取り宿に戻る。

宿に戻って洗濯。これだけの暑さなら洗濯物を干すには完璧だ。

そんでさっさと寝る。

Fin

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