・朝のショッピングセンターで厳重注意?
・工事中
・港のアザラシ、ペリカン、猫と犬
・セビチェ、貝、アワビ、ウニ
・来ないバス
7時過ぎに起床。朝方、チェックアウトの時間を確認し、散歩に出る。
昨日は行かなかった海岸側へ。昨日は気づかなかったが、メイン広場のやや南側の海沿いには、Mall Plazaという、どでかいショッピングモールがあった。9時にもなっていないこの時間にはまだ開いていない。ただ、フィットネスクラブはすでに開いているようで、窓ガラスの向こうでランニングマシンに乗って走っている女性が見える。
ぼくは記念にショッピングモールの全景を撮ろうとしたのだが、そこへ駐車場の警備員かと思っていた制服を着た若い男の人が寄ってきて、"No puede tomar fotos"などと言う。外観すら写真に撮れないなんて、どういうことなのかよくわからなかったが、しょうがないのでさっさとショッピングモールの敷地を出る。
その南側はHotel Antofagastaという、おそらくこのまちで一番高そうなホテルがあった。拡張工事なのかリニューアルなのか、ホテルの周りの道は工事中。その隣には建築中のビルがあった。
湾に沿って南に行くと右手に鉄道駅がある。湾に沿った道路は工事中で、あちこちに立ち入り禁止の立て看板がある。
湾には小型の漁船が停泊していて小さなオレンジ色のボートも数艇見える。漁船が運んでくる魚を当てにしてか、ペリカンが岸壁にずらずらと待機している。船が停まっているところが漁港になっているようで、関係者らしい人たちが帰ってくる船があると岸壁に出て迎えている。
その漁港の東側には立派な建物の魚市場があって、湾に面したところはベンチなどが設置され、人々が憩える場所になっている。だが、そのベンチ周辺はごみだらけ。そして、犬と猫が10頭くらいうろうろ。
一人の初老の女性がそこから湾の中をのぞき込んでいた。ぼくもそれにつられてのぞき込んでみると、岸壁のすぐ下にはアザラシらしい生き物が10頭近くたむろしていた。やはり漁船の魚を当てにしてきているのだろう。
魚市場に入ってみる。建物内は清潔に保たれていて、数軒の食堂と数軒の魚屋が軒を連ねていた。まだ準備段階で店頭は寂しい。
また、あとから来ることにしてその脇を通り、海側に出る。人工湾の外側にはテトラポットが並べられ、外洋と湾を隔てる壁の上に、海を眺める中年のおじさん、おばさんが、ペリカンと並んでいた。
ぼくは岸壁の方からまちを見る。そうしているうちに漁船が1艘湾に帰ってきた。船の動きに合わせて海鳥が動く。魚が入っているらしい網を陸にいる人に渡そうとすると、次々と鳥がそれに寄ってくる。人間の方はそれをタオルのようなもので叩いてはねのける。
そんな光景を見ていたら、漁港の方から左手にだらりとしたものを持っておじさんがこちらにやってきた。何を持っているのかと思ってよく見てみると、手にぶら下げていたのは猫の死体だった。それほど年寄りというわけではない。血を流しているわけでもない。ぶらぶら揺れているから、死んでまだ間がたっているわけでもなさそう。
おじさんは、テトラポットの上を歩いていき、2~3度筆をぶらぶらと振って勢いをつけ、猫を波の中に放り投げた。無事、猫は波間に届き、波に合わせて揺られていた。
ぼくは、壁づたいに元の道に戻る。元の道はあるホテルの裏側に出るようになっていて、そのホテルと海の間には不自然な砂場があった。その砂場の端に黒い寒冷紗(漢字が合っているか不明)のような布地で覆われている小さな四角い一角があった。風に飛ばされて何かにひっかかっているのかと思って、見ていたら中でもごもごと動いているのを感じる。
その動いているものに焦点を絞って見ると、中にいたのは人だった。さっきもこの砂場を通ったし、この黒い布地の前を通ったのだが、そのときはまったく気づかなかった。ハッとして、この砂浜のような砂場を眺めてみると、同じようにこの浜に住んでいるらしい家がもう一軒見える。
さらに北に行くと海水浴場らしいところに出て、そこにはきれいなキャンプ用のテントとやはり同じような黒い家が一軒ずつあった。
昨日、ちらっと町中を歩いた感じでは物乞いの人はいなかったが、こうした人はここにもいるよう。
海辺の道に従って北に歩くと、コンベンションセンターかとも思えるどでかい建物にぶつかる。立体駐車場からは車がどんどん出てくる。建物の入り口の方に回ってみると、ここもショッピングセンターだった。名前はLIDER。よく見ているとバスのフロントにある行き先に、この名前も書かれてある。
中に入ってみると1階がスーパーとホームセンターが合体したようなフロアで、2階にはボーリング場にファストフード店数軒、ゲームセンター、映画館があった。
アントファガスタの人口がどれだけあるか知らないが、スーパーの密集度はこれまで回った南米のどの都市よりも高いように感じる。中米では新市街と呼ばれているところには多く見られたが、それも首都での話。チリの商業の中心地らしいが、首都以外でこれだけの商業施設があるとは驚きだった。
腹の調子を立て直すために、朝飯代わりにヨーグルトを買う。ヨーグルトといっても、こっちにはいわゆるプレーンのヨーグルトが売っていない。すべて何かの果物の味がついた甘いもの。思うに、一部の酪農家をのぞき、プレーンのヨーグルトを食べたことがある南米人はほとんどいないのではないか。
その後、このまちの博物館に行く。入場料は無料。小さな博物館で近海にすむ魚などの紹介から、この地に住んでいたインディヘナの人の生活道具などが展示されている。説明はスペイン語のみ。
それから宿近くに戻り、両替屋で両替。そして、複数あるバス会社のうち比較的安かったPullmanというバス会社の窓口でサンティアゴ行きのバスチケットを買う。代金は18000ペソ(約5000円)。ボリビアではあり得ない金額だ。
バスは13時発。宿に戻って荷物をとり、宿代4000ペソ(約900円)をおばあちゃんに払う。カネを受け取るとおばあちゃんは”サヨナラ”となぜか日本語で別れを言う。これまでは一切日本語を知っている素振りも見せなかったのに、なぜ別れの言葉だけ知っているのか?とも思うが、それはやはり『歩き方』に載っているからなのか。
早めにバスターミナルに行き、バスを待つ。待合室は人でいっぱい。
チリのバスは時間にも厳しく、予定時刻通りに出るとガイドブックにあった。また、昨日乗ったバスも確かにそうだった。だから、早めに来て待っていたのだが、時間になってもまったく案内がないし、ターミナルにそれらしきバスも入ってこない。
2度ほど、案内の放送をしている年輩の社員のおじさんにいつ出るのか聞くが、もうちょっとと言うばかり。そのうちあるおじさんが猛烈に抗議を始める。その人もサンティアゴ行きを待っているよう。
予定から遅れること1時間ほど。14時半になって、Santiagoとフロントに書いたバスが入ってきた。ぼくはそれを見つけ、立ち上げると、アナウンス係のおじさんがぼくのところに寄ってチケットを見せろと言う。それで見せると、あのバスに、とバスまで案内してくれる。
リュックを荷台に預け、バスに乗り込む。バスはきれいでなかなかよろし。特筆すべきは脚起きの台(?)が座席と同じ高さまで上がること。なので、ひざは曲げないといけないが、脚を腰と同じ位置に保てるので寝るのが楽。これならエコノミー症候群の心配もない。
14時45分、バスはアントファガスタのターミナルを出る。車内はがらがら。
アントファガスタのまちを南に行く。建築中のマンションらしいビルがぼこぼこと海沿いの通りに見える。きれいに整備されたミニサッカー場やテニスコート、郊外にはウォータースライダーのある屋外プールも見えた。
アントファガスタのまちは、あちこちで工事をしていたので、もし次に来たなら、また印象が違うまちになっているかもしれない。
バスは30分もしないうちに、海沿いを離れ、ひとつ内陸の道を通る。両サイドとも土漠で、赤茶けた山が見えるばかり。沿道にはちぎれ飛んだタイヤが、次々と現れる。
18時をすぎるとあたりは暗くなり、何も見えなくなる。車内では例によって映画が上映される。車内には枕もブランケットも用意されていて、必要とあらば使えるようになっている。だが、エアコンもちょうどいい具合に調節されていたので、ぼくは特に使う必要を感じることもなく、快適に眠れる。
Fin
antofagast |
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