2008.03.31
夜明けとともに起きる。扇風機も何もなかったが十分に涼しい。
エルサルバドルに行くバスの予約をしていなかったので、8時前に宿を出て、今日のバスのチケットを買いに行く。ターミナルの受付はすでに開いていて、窓口でチケットを頼む。パスポートの提示を求められ、パスポートを渡し、199ケツァール(約3000円)を払い、チケットを購入。受付のおじさんに、1時にここに来てと言われる。
チケット代を払ったことで、ケツァールがほとんどなくなったので、両替しに行く。ただ銀行は9時にならないと開かない。ハガキを出す用事があったので、郵便局近くに銀行があるだろうと思い、ふらふら歩きながら探す。銀行はなかったものの両替商のおじさんが、いて”ドーラレス、ドーラレス”と声をかけてくる。
銀行が開くのを待つのも面倒なので、おじさんにレートを聞くと、1米ドル=7.5ケツァールと銀行と変わらない。ならばと思い、20米ドルぶんだけ両替することにする。150ケツァールがぼくの手元に来るはずなのに、おじさんから渡されたカネは140ケツァール。おいおい、計算が間違っているぞ。もしかして手数料ってことかい? と思いながら、それだったら銀行で替えた方がいいと両替はなしにしたいと身振りで知らせる。するとわかったと言って、145ケツァールぶんを渡される。
まぁ、おじさんの生活もあるだろうし、5ケツァール(約100円)くらいだったらいいかと、それで手をうつ。
郵便局でハガキを出し、帰りはメインストリートを通る。日中は路上にある屋台は夜の間は撤収されているようで、通りでは屋台の骨組みをどっかから持ってきて組み立てている。
夜には撤収しているということは、それだけ盗難のおそれがあるということだろう。としたら、屋台の骨組みや商品を保管する場所はどこにあるのか。あとメキシコでもそうだが、路上の使用権(つまりはショバ代)などはどうなっているのか、気になる。
メインストリート沿いに昨日教えてもらったグアテマラで一番有名なフライドチキンのファーストフード店Pollo Campero(ポージョ:ヨ カンペロ)があったので試しにそこで朝飯を食うことにする。
入り口には銃を持った警備員がいて、入り口まで行くとドアを開けてくれる。中は日本にあるファーストフード店と同じようにきれいで、店員たちは店の制服を着ている。
席に座ると店員が、メニューを持ってくる。メニューを見るとどれも高い。一番安くて25ケツァール程度(約400円)。店内の張り紙の中には15ケツァールのもあったが、これはまぁまぁ安い。
ぼくは鶏の唐揚げを食べなくてはと思い、安かったセット物を頼む。鶏の唐揚げのハンバーガーとフライドポテト、ジュースがついて32.25ケツァール(約600円)。
すぐにジュースが出てくる。オレンジジュースを頼んだが、これが炭酸ものだった。飲むのに苦労する。
10分ほど待って、ハンバーガーなどがまとめて出てくる。まずはフライドポテトを食うと、これがまずい。じゃがいもの味がうすい。道ばたの屋台で買ったものの方が圧倒的にうまい。
鶏の方はケンタッキーなどと変わらない感じ。明らかにブロイラーという歯ごたえで、ぼくの好みではない。結論としてはあまり食べても得るものはない。
だが、地元の金持ちの人等なのか100人ほど入る店内は半分近く埋まっている。サラリーマンふうの人もいるし、子ども連れの人もいる。やはりこうしたところで食べられるのはある種のステータスなのか。
ちなみに昨日、聞いた話ではこの会社を経営している人たちはすごい大金持ちで、この店によってケンタッキーをグアテマラ国内から排除した(進出させなかった?)らしい。よって、グアテマラ国内にはケンタッキーはないという。
それからまた宿に戻って荷造り。宿のチェックアウトの時間が13時だったので、のんびりできたのが良かった。
12時頃、宿を出てバスターミナルに向かう。人通りの多いところなので、わりと安心して歩ける。
無事、ターミナルに着き、受付窓口前の椅子に座って待つ。
13時。来いと言われていた時間になったが、何もアナウンスがない。不思議に思い、チケットを買うときに対応してくれた窓口のおじさんにまだか聞くと、おじさんは”ポキート(もうちょっと)”と言う。
なので、本でも読みながら待つ。
そして、出発予定の13時半になる。なんのアナウンスもない。また、受付のおじさんに聞くと、やはり”ポキート”と言う。
乗り合いバスなどならともかく長距離バスの発車時間が遅れることはこれまでなかったので、だんだん怪しく思い出す。そもそも他の会社よりも高いお金とってるんだから、時間ぐらい守れよと思うし、もし遅くなるならなるで知らせろよ、と思うのだが、そういうことについてはまったくなんの配慮もないよう。
14時が過ぎる。ぼくはバスが入ってくる駐車場をのぞきに行く。2階建ての豪華なバスと普通の長距離用のバスなど3台ほど停まっている。
再び窓口に行くと、また”ポキート”と言われ、コーヒーでも飲んでてと待合室の端っこにあったコーヒーポットを指さす。
だいたい1時半発で明るいうちにサンサルバドルに着くバスだったからここを選んだのに、これでは到着時間は19時過ぎが決定だ。サンサルバドルもグアテマラシティに負けず劣らず治安が悪いというのに、暗くなってからの到着じゃ困るんですけど。それに、明るいうちに移動するのは、車窓から見えるものを見たいということがあるのに、これではサンサルバドル近くの様子が見ることができないじゃないか、もぉ~。などと頭の中で一人ごつ。
こんなことになるんだったらタクシーを使ってでもよりメジャーなTICA社のバスを使うべきだった。でも、そちらも13時半発なので今更変更はできない。
いらいらしながら待合室内をうろうろ。ケツァールが多少残っていたので、ターミナル沿いの歩道でお菓子などを売っている屋台で水などを買う。
そして、14時半前。ようやくターミナルの職員のおじさんが、ぼくのところに来て、こっちにと案内してくれる。リュックに識別用のタグを着け、バスの発着場の方に案内される。停まっていたのは1台だけ。一番豪華なバスはどっかに消えてしまっていて、普通のバスしか残っていない。まさか高いカネを払ってるんだから、このバスじゃないだろうと思っていたら、このバスだった。しかもこのバスは14時前にすでに発着所に入っていたのに、なんなんだ。
さらに驚くべきことに乗客はぼくだけ。クーラーががんがんかかっている車内にぼくは一人座り、外を眺める。体格のいい運転手がすぐに乗ってきて、バスは発車。
家具屋街などを抜け、片道3車線の幹線道路を走る。
まさか客が1人だけなんて。もしかして発車を遅らせてぼくがキャンセルするようにたくらんでいたのか。でも、国際バスだからエルサルバドルからこちらに戻るための車両が向こうでは必要だろう。よくわからん。
1時間ほど走った頃、バスはスピードを落とし、道路の脇に止まる。そして、車の切れ目をはかって反対車線に乗り換える。それから反対車線に入ってすぐに道路脇にあったガソリンスタンドに入る。おいおい、ずいぶん出発が遅れたんだからガソリンくらい先に入れとけよなとあきれる。
が、ここに止まったのは給油が目的ではなかった。運転手はバスを止め、ぼくの方を見て”ポキート”と言ってバスを降りる。彼の左の手にはなぜかコップが・・・。
マイカップを持参しているなんていい心がけじゃないかと思うも、出て行ってから運転手はさっぱり帰ってこない。一杯何かを飲むっていったって10分もあれば飲んでしまえるだろう。
もしやこのバスを止めている間に窃盗団が乗り込んできて身ぐるみをはがしていくなんてシナリオができているのか。バスの入り口は開きっぱなしだし、運転席にはキーも付けっぱなしだ。
空は急に蔭ってきて、ポツポツとバスのフロントガラスに雨粒が落ちてくる。そしてザーッと雨が強くなる。これは何か起こるかもしれない。
そんなことを思っていたところへ隣に2階建ての見た目豪華なバスが入ってくる。車体に書かれてある文字を読むと同じ会社のバス。ドアが開いて添乗員の女性が出てくる。そして、客も何人か出てくる。
そうか、そういうことか。つまりはここでこの豪華なバスに乗り換えということか。それならまぁ許してやろうと思っていたら、そのバスから出てきた乗客はこちらに移ってきて、どっかに行ってた運転手も出てきて添乗員の女性と何やらしゃべっている。その添乗員の女性は自分のものらしい荷物をこちらのバスに移し、出発の準備をしている。乗り換えろというようなことも言われない。
おかしいなと思い、乗り込んできた女性の添乗員にこのバスがサンサルバドルに行くバスなのかと、念のために聞くと、何を聞いているのこの人は、というような顔をして、”Si"とそっけなく答える。
ぼくの見込みはまったく外れ、やはりこのバスで行くようだ。雨はすでに上がり、乗客も8人に増え、運転手が運転席に戻り、バスはまた走り出す。すでに時間は16時を過ぎていた。
それにしてもこの会社は嘘ばっかりだ。ターミナルの窓口のおじさんは1時半に出発して6時には着くと言っていたのに、今、また添乗員の女性に聞くと7時だと言う。この後、別の乗客が聞いたら8時と言う。それならそれで、最初からそのような時刻表にしとけよな。
再出発から1時間半後、バスはエルサルバドルとの国境に到着。乗客はみなおり、イミグレの窓口に並ぶ。みんなはすんなりパスしているのに、ぼくはなかなかすっきりいかない。イミグレのおじさんは何度もぼくのパスポートをめくり、何か言っている。添乗員の女の人も、あまりに遅いと思ったのか、横に来てイミグレの職員と何か話している。そして、ぼくにいつグアテマラに入ったかとスペイン語で聞いてくる。
すでに日付の感覚がなくなっているので、ウン、モメント(ちょっと待って)と言って手帳を取り出し、この日だと入国した日を指さす。
数字がすっと出てこなかったが、添乗員の人がイミグレの職員にその日付を伝えてくれる。それでまたぼくのパスポートをめくる。グアテマラに入ったとき、入国スタンプがちゃんと押されたか確認していなかったため、本当にスタンプがないのではないかとやや不安になる。
対応していた職員は、後ろにいた若い職員の人にぼくのパスポートを渡し、ちょっと見てみろというようなことを言う。
若い職員はすぐにスタンプが押されているページを見つけ、ここにあると指摘する。そのページはこの職員も見ていたのに、もしややや年輩だから老眼で見えなかったのか、なんて勝手に想像する。
スタンプの確認ができると、すぐにパスポートは戻ってくる。時間にすれば10分ほどだが、他の客が早いだけに長く感じられる。
荷物の検査などはなく、さっさと国境をわたる。日はだんだんと傾いてきている。
そして18時半頃、完全に外は真っ暗になる。あ~あ、これから着くまでの景色が見られないなんて、なんてもったいないんだと一人でまだいらいらしている。
バスが走る道はずっときれいに舗装されていてゆれることもなかったのだが、暗くなって気づいたのは車道に街灯がないこと。車の光がなければ真っ暗だ。
19時を過ぎるころには、街灯ではなく看板の光が見え出す。エプソンの看板(これは初めて見た)や化粧品の看板、ファストフード店の看板などが見える。さらにショッピングセンターらしき建物も見える。
そして、グアテマラシティを出てから約6時間後の20時前にバスはターミナルに到着。ガイドブックで位置を確認する。
やはりこういうバスだからかタクシーの客引きなどはほとんどいない。もしかしたらと思い、ターミナルの警備員のにいさんに泊まる予定の宿までの行き方を聞くが、わからないと言い、タクシーに乗ったらと言う。地図上では歩いてすぐ行ける距離なので、タクシーの運ちゃんのしつこくない誘いは断って地図を信じて歩く。
意外と人がたくさん歩いていて、雰囲気がいい。少し安心して宿を探して歩くとすんなりと予定の宿を発見。1泊12米ドルとまぁまぁの値段。部屋は昨日の部屋に比べると雲泥の差ですばらしい。
きれいなトイレ、シャワールームがあり、テレビと扇風機付き。さらに洗濯を干すのにありがたいハンガーかけとハンガーまである。部屋で荷物を降ろしているとバスタオルと石鹸も届く。いやいや天国だ。
今、お金を払ってくれと言うので、とりあえず1泊ぶん払う。20米ドル札を渡すとお釣りがないからと言って待つように言われる。
思ったより人通りが多かったので、大丈夫そうと判断し、外に出る。路上には屋台が出ているが、これまでのようなタコス屋はない。多いのはホットドッグ屋で、4軒ほど並んでいる店はどこも人がいっぱい。
ずっと歩いていくと右手に大学が見え、そこから人が次々と出てきている。その向かいにはネット屋さんがあったので、30分ほどする。それで値段は50セント程度。
エルサルバドルは自国の通貨はなく、米ドルが流通しているとあり、どのくらいの物価かと思っていたら、けっこう安かった。ホテルの横にまだやっている食堂があったので、そこでご飯を食べる。バナナを湯がいたものに、一枚のステーキ、それにご飯で料金は2ドルしなかった。これまで行った国は、キューバをのぞけば食堂で飯を食うとたいてい300~400円はしていたので、ここは圧倒的に安い。
ただ、やはり治安は悪いようで、この食堂の入り口には鉄格子のドアが付いており、店員が鍵を開けないと勝手に入れない。ホテルの近くにあった別のレストランも同じ方式。ここまでやっているのははじめて見た(もっとも危ないところでは外を出歩いていないのでわからないが)。
宿に戻り、風呂場で洗濯をして、寝る。
08/04/05 サンホセ、コスタリカよりアップ
4 件のコメント:
それにしても、ひどいバスですね。
言葉がわからなくて、なかなか状況が分からないのも、
不安にさせますね。
私はブラジルで、
目的地の街を素通りされたことがあります。
その時は、戻るためのバス券をバス会社がくれました。
バス最悪じゃねえか。
なめとるな。
っつーか、揚げ物食いすぎでねえか?
メタボにならぬよにの。
アンネのバラ友です。
ハラハラ、ドキドキ、イライラの長時間の
バス移動ですね。
バラ友は昨年の夏、ロンドンのホテルから早朝、ヒースロー空港にタクシーで向かい、パリへの飛行機に乗るときと、パリから成田への乗り換えでちょっと緊張しましたが、
ふうさんの旅は毎日のようにドラマの連続ですね。
生きている実感が伝わりますが、くれぐれも
「危険な場所」には立ち寄らないように、
「予防原則」を重視して、安全で快適な旅を
続けてください。
kaw-kaw さま
国際バスでここまでひどいのは珍しいのではないかと思いますね。グアテマラの国内バスは時間通りだったんですけど...。こういうときはほんとに言葉ができるとできないのとでは、いらいらや不安度がちがいます。
加奈子さまさま
こっちは揚げ物が多くてね、ついつい食うけど、メタボにはなってないよ。たぶん、体重は出発時よりも落ちているはず。ベルトが緩くなってるし。
アンネのバラ友さま
ご忠告ありがとうございます。治安の問題については、知らぬが仏という場合と知らなかったからこそ被害に遭う場合と、知ってて何もしない場合とさまざまありますが、一部のほんとにやばいところ以外は、タイミングや運の要素が強いと思いますね。まぁ、とにかく気をつけます。
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