2008年4月30日水曜日

本:『ビゴーが見た日本人』

清水勲『ビゴーが見た日本人-諷刺画に描かれた明治』講談社学術文庫、2001

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「ビゴーが日本にもたらしたものは、銅板による創作版画を画集によって紹介したこと、フランスで流行していた影絵漫画を紹介したこと、ヨーロッパの挿絵のスタイルやコマ漫画の形式を伝えたこと、そして、時事問題にテーマをとった漫画を雑誌というスタイルで発表していく商法などであった。」

236
外国人相手の猛烈商法ー人力車夫
「異人税の歌」
「人力車をば走らせて 海岸通りへ来た時に
相場の倍の料金を払ったら
喜ぶどころか車夫の奴 幾度も幾度も叫ぶには
「もう十セント」くれて当り前 あんたの顔は白いから
ここで税金かかるのは ちぢれた髪と白い肌
文明開化の話をすれば それにも税金かけられる」

238
外国人相手の猛烈商法ー船頭
「錨を下ろした軍艦の上で 私はセンドーにかけあった
相場の三倍で町まで乗せよ 音楽劇を見に行くために
そのセンドーは首をふり おぼれさせてやると言う
それともうねる波間に放り 町まで泳がせてやると言う
日本はかつてよくいわれた あらゆる料金がやたらに安いと
日本はかつてよくいわれた 保護貿易が鼻であしらわれると
日本はかつてよくいわれた 自由貿易がゆきわたっていると
だが、 あのセンドーを思い出すと そのすべてが疑わしい」

240
外国人相手の猛烈商法ー芝居小屋

「芝居小屋に出かけていくと 入場料はたったの四銭
だが異人には請求される あんたは十銭払いなさい、と
土間も立見もすべて十銭 異人の席があるでもなし
たった三銭の立見席も 異人はすべて十銭になる
これがほんとの保護貿易だ」

ふんどしからズボンへ移行するときの違和感などを描いた絵など、興味深い絵が多い。一番印象に残ったのは引用した外国人相手の商法のこと。キューバでのこととだぶって思える。キューバの人たちも資本主義への鳥羽口で、これまでの感覚を捨て、生活のために、自分を変えていっているところなのだろうか。

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