2008年4月17日木曜日

パナマシティ→ボゴタ→キトへ

2008.4.12(土)

・リュックの重さを勘違いしていたカラクリ
・ボゴタでチョコ
・予想外にでかかったキト

今日はキトへ移動日。安いということでコロンビアのボゴタ経由の飛行機にした。ボゴタ行きの飛行機は12時発予定。3時間前に空港に行ってと言われていたため9時には着かないといけない。

今朝も寝苦しいのは変わらず。6時頃おきる。荷造りをする。昨日、ぼくの上のベッドに入った人の荷物が邪魔で持ち出すのに苦労する。

空港まではタクシーで1時間もかからないから朝飯を食ってからという手もあったが、早く空港に行ってのんびりすることにする。

7時前にチェックアウトする。ホテルの前のVia Arsentina通りにはタクシーの運転手が3人でおしゃべりをしていて、ぼくに気づくと”タクシー?”と声をかけてくる。

いくらか聞くと20米ドルと言う。この間、別の運転手に聞いたときは16~20ドルという話だったので、20米ドルは拒否して15米ドルでどうかと聞く。すると、”ベインテ(20)”と譲ろうとしない。じゃあ、別のタクシーにしようと思い、歩き始めると3人のうちの一人の人が、15でいいと言い出した。なので、15でお願いする。

空港まではバスもあるので、昨日もバスで行くか迷っていたのだが、しばしば満員であることと、バスの通路がせまいことと、渋滞や客を乗せるためにしばしば止まるので遅いという3つのことがあり、やめた。バスだったら0.25ドルで行けるのだが、運が悪いと2時間もかかるというので、ちょっと高いがタクシーにした。一人だとこういうのにカネがかかる。

タクシーは快調にとばす。案の定、土曜日の早朝にも関わらず、空港行きのバスは満員。タクシーはバスを4~5台追い抜いていく。ちょうど正面に太陽が昇ったばかりでまぶしい。

30分足らずで空港に到着。7時30分にもなっていないから、さすがにまだチェックインできない。

2階の食堂でパンを一つ買い(0.65)、昨日買った水とで朝食。9時までそこで過ごす。

9時になったので、1階の出発ロビーに降り、チェックイン準備。すでにカウンター前には客が20人ほど並んでいる。チェックインの列に並ぶ前に、荷物のチェックがある。リュックを手荷物用の小型リュックを開けて見せる。検査官の男性は、小型リュックを持ち上げて重すぎる(重量オーバー)というようなことを言うが、こっちはわからないふりをする。そこで、預ける荷物用のタグをもらい、並んでいる間にそのタグに名前などを書く。

さて、心配は荷物の重さ。チケットを買ったとき、窓口の女性は預ける荷物の上限は30kg、手荷物は10kgと言っていた。そして、それを越えるとペナルティがあるとも。

ただ、これまではそんなことは一度もなかった。しかも、どこのチェックインターの秤も30kg以下を示していた。だから、ぼくは自分の荷物は30kg程度と思っていたのだが、30kgにしては重すぎると思っていた。実際の重さがわかったのは、サンサルバドルのバスターミナルで計ったときのこと。68kgと出て、やっと感覚と数字が一致した。

さっきアメリカン航空だったかのチェックインカウンター近くを歩いたときにはも50kg以上だと50ドルくらいの追加料金が発生するという立て看板があった。だから、それくらいかかるかもしれないとは予想できた。

それでも、手荷物についてはこれまで重さを測ったことはないから大丈夫だろうと、手荷物のリュックに本をだいぶ移し、大きなリュックを軽くしていたのだが、さっきの検査官は重いなんて言う。だから、もしや検査があるかもしれないと思い、10kg以内くらいになるよう、再度本をでかいリュックに移す。

前に並んでいる人たちを見ると、たいていの人がボストンバックを持っていて、確実に30kg越えしていると思える人たちばかり。なので、その人たちをまずは観察。見ていると、チェックインカウンター横の秤に荷物を乗せ、30kgを越えるとやっぱりお金を払ったりしている。

いやいやこれは参った。ぼくのリュックはおそらく上限の重さのダブルスコアだから、けっこうカネをとられるかもしれない。そうなったら本をここで捨てるのかなとも考えた。

自分の番になり、チェックインカウンターの職員にチケットとパスポートを渡す。職員は秤に預ける荷物を載せるよう言う。その声に促され、リュックを乗せようと持ち上げたとき、わかった。なぜぼくの荷物がこれまで30kg以下と表示されていたのかということが。

原因は秤の枠だった。チェックインターの秤は一般的な体重計とは違って、固定された四角い枠に囲まれている。たいていの荷物(キャスターが付いたバッグやスーツケース)は立てた状態で秤に乗せるから荷物は枠にかからない。

それがリュックの場合、そもそも寝転がってしまう構造になっているから寝かした状態で秤に載ることになる。小さいリュックであれば外枠にかかることはないが、幸いなことに、ぼくのリュックの場合、70リットルと大型のためリュックが秤の四角からはみ出て外枠にかかってしまう。

つまり、外枠にかかっている重さが減殺されて、30kg以下と表示されるわけだ。それに気づいたぼくは、できるだけ外枠にかかるように、荷物をおいた。その結果、ここでの表示は26kgだった。おかげで心配していたことは起こらず。

これには、チェックインカウンターの職員が自分で荷物を持つことがないということも一つの要因になっているだろう。たいてい、チェックインカウンターで対応をしているのは女性で、その人は電光掲示される数値をみるだけで、荷物をラインに乗せるのは別の男性職員だったりする。荷物をラインに乗せる人は表示された荷物の重さをいちいち確認することはない。

もし、チェックインカウンターの職員がベルトコンベアーのラインに乗せる体制になっていれば、毎日の仕事の中で、上限の重さの感覚を体で覚えてしまうだろう。そうなれば、表示された数値と自分が持ち上げたときの感覚とが違っているとわかるだろうが、実際はそれぞれがそれぞれの仕事をしているだけなので、それに気づかない。まぁ、ぼくにとってはありがたいばかりだけど。

そうして無事、チェックインを済まし、今度は手荷物検査と出国審査。手荷物検査を待つ列に並ぶ。自分の番がもうすぐまわってくるというときに、ペットボトルの水が残っていた事に気づく。後ろの人に順番を譲り、ぼくは列の脇で残っていた水を飲み干す。のどが渇いているわけでもないのに、500mlくらい残っていたから、ちと苦しくなる。

それから出国審査。たいした質問もなく、すんなり通過。

出発までの間にDuty free shopでカメラの買いもの。市内のショッピングモールには売っていなかったが、ここにはなくしたものと同じものが売っていたので、購入。日本で買った方がかなり安いが、致し方ない。だが、1年間の国際保証付きというのはこれからも旅が続くのでありがたい。

予定通りの時間に搭乗がはじまる。チケットを見るとぼくの座席は15A。Aということは窓際だ。ラッキーと思いながら乗り込むと、ちょうど緊急脱出用の扉のところの席だった。その席だけは他の席よりも前の席との感覚が広く、足をゆったりとのばすことができる。

これまたラッキーと思っていたら、添乗員の男性が、スペイン語で、スペイン語を完璧に話せるか、とぼくに聞いてきた。スペイン語を話せるかということなら、これまで何度も聞かれたし、普通の質問なので何とも思わないが、なぜか彼は”完璧に”という言葉を付けて聞いてきた。

なんでそんなことを聞くのだろうと不思議に思っていたら、何かまたスペイン語で言い出す。そして、後ろの列に座っていた人に、何か話しかけている。どうも、緊急避難口ということで、もしものときに添乗員とコミュニケーションがとれないといけないから、この席にはスペイン語ができる人しか座ってはいけないよう。

幸い席を替わると名乗り出た男性も窓際の席だったので、ぼくは窓際の席にありつける。

機内では軽食が出る。珍しかったのが、干しトマト。なかなか味があっていい。

窓際の席はとれたものの、眼下は雲ばかり。退屈なので本でも読む。

パナマを出てから1時間半足らずでボゴタに到着。コロンビアの空港内にはビールの看板が多かった。ここで1時間ちょっと乗り継ぎの待ち合わせ。

トランジットの人は係員に案内されて、Duty free shop
経由で再度手荷物検査を受けて、待合室に入る。

一度、手荷物検査を受けて待合室の方に行ったが、こちらには店も小さな売店のみでなにもない。せっかくコロンビアにきたのだからDuty free shopだけでも見ようと思い、係員の人に行って待合室から出る。

Duty free shopは、30軒ほどあって、うち2軒は喫茶店で、あとはコーヒーやお菓子を売っている店や布地や服屋、本屋、カメラ屋などがある。コーヒー屋にはコロンビア産のダークチョコレートが売っていたので、3.3ドルと高かったものの買ってみる。

パッケージにはSantanderという文字が筆記体で大きく書かれており、その下にはカカオを収穫する絵がある。そしてそれを縁取るようにCOLOMBIAN SINGLE ORIGINとある。一番下には「National de Chocolates」 「ESTABLISHED 1920」とある。

完全に輸出向け、あるいは観光客向けのようで、パッケージの裏側には英語でこのチョコレートの説明がある。

商品の名前であろうSantanderというのは、コロンビアの東側の地域の名前で、コロンビアでは一番カカオの栽培に適している地域と言われているらしい。その裏面の右上にはコロンビアの地形図があり、その位置もわかるようになっている。

説明は細かく、標高600~900mの地域で、気温は23~28度、平均湿度は75~80%、4~6月と9月~11月の2つの季節には1600~2500ミリの雨が降り、年間の平均日照時間は1600時間、そして微量要素の豊かな土に恵まれている、とある。

SantandarにあるSan Vicente deChucuri,El Carmen,Rionegro,Landazunといった町や村では、2世紀以上もカカオを栽培している。そして、その生産は12000家族以上の中規模または小規模の農家によって支えられているという。

その後、まだまだ説明は続く。チョコレートは、粉薬の包装として使われるような薄い紙で包まれている。アルミ箔が一般的な日本とは違う。このチョコだけなのかもしれないが。そう言えば、アルミホイルというものを旅行中、ほとんど見ていない気がする。一度、メキシコあたりの屋台で使われているのを見たが、それ以外は見ていない。

アルミを作るのには大量の電気が必要で、またその過程では有害な物質が大量に出るというような話を聞いたことがある。アルミホイルの使用量の国際比較などもあったような気がするが、不確か。

キトに向かう便の出発までまだ1時間あったので、珍しく喫茶店で一服する。コーヒーは2米ドル。酒も含めたいていが10ドル以下だった。

もう一度、手荷物検査を受けて、待合室に入る。さっきはほとんど素通りできたのに、今度は入念にかばんの中をチェックされる。チェックしている係員のおじさんは、日本語の本を見つけるとパラパラとめくり、その文字を見て驚いたようで小さく笑う。そして、同僚の人を呼んで、これを見て見ろと笑いながら見せる。

ハイチでハイチ人と話したときに思ったが、ひらがなやカタカナの50音表、それからあれば同じような漢字の表を持ってくれば良かった。それをこうしたおじさんに見せれば、少なくともひらがなとカタカナにどういった文字があるのかが、一目でわかる。それで例えばどの文字が格好良いかなどを聞いてまわるのも面白そう。外国語の会話帳にもそういうのを付ければいいのに、とも思う。

特に何もなく、検査を通過。16時前、搭乗が始まる。今度は通路側。また、機内食(パンとちょっとしたもの)が出る。機内食にはデザートがついていたのだが、これがけっこうきつかった。小さなカップ(50gくらいだったか)に入った固まっていないキャラメルで、完食するには甘すぎる。でも、完食したけど、量は半分でも十分すぎるくらい。

前の席が空いていたので、食事後、席を移動する。パナマからボゴタは、眼下は雲一色で地上が見えることがなかったが、今度は高度が低いこともあるのか、たまに雲の隙間や雲の向こうにうっすらと地上が見える。

曇っているおかげで地上か海かも判別できないような色。だがルートから考えて、また時折濃い緑または青色の間に白い道路と思われる線が見えることから地上だとわかる。
山に木々はあまりなく、頂上周辺まで耕されている。

ボゴタを出てから1時間30分程度で、機体は雲の中を抜け、キトに上陸。まちのすぐ上空を通って着陸したので、まちの作りや車、歩いている人まで見えた。

機体から降りるとひんやりとする。空港内は最近造られたのか、デザインも洗練されていて、ただの四角い箱という感じのハバナなどの空港とは違う。

驚いたのが、入国審査のシステム。入国審査の順番を待つ人は一つの列に並ぶのだが、そのラインの前には小さな電光掲示板があり、そこに審査が終わったボックスの番号が点灯する。それを見て、次の人はそのボックスに行く。

どこの空港もたいていは空いてそうなところを各々見つけ、並ぶというスタイルだが、こんなふうにしているのを見たのは初めて。もっともこんなことしなくても、係員が一言"Passe (パセ)" "Aderante(アデランテ:お入りください)"と声をかければそれで事足りるのですけどね。

審査官の女性は、スペイン語でよくある質問をする。どれくらい滞在するのかとか、この後、どこに戻るのかとか。帰りのチケットの提示はなし。こんなことなら30ドルくらい安かった片道チケットを買っておけばよかったなどと思うが、まぁ、それも時の運のようなものだろうからしょうがない。

一通り質問が終わった後、彼女はパスポートの写真と目の前に立っている人間の顔を照合する。そして、パスポートの写真は何歳のときのものかと聞いてくる。さすがにハバナのあの係官の女性のように、あなたは変わったとは言わなかったが、やっぱりなかなか一致しないよう。

しかし、総じてぼくにしてはスムーズに通る。審査の最後に彼女はにこっとして、”Bienvenido(ビエンベニード:ようこそ)"と言って通してくれた。

荷物をベルトコンベアからピックアップし、税関審査に行く。ここはたいした検査もなく通過。

ちょっとここで戻って税関審査場内にあったツーリストインフォメーションでキトの地図をもらう。パンフの類はたくさんあって、かなり観光に力を入れていることがわかる。また、市内までのタクシー料金とバスでの行き方を聞く。

外に出る。出たところには迎えの人がたくさん。”Bienvenido MARI”と書いた紙を持っている子どもたちもいた。"MARI”が日本人なのかどうかはわからないが、ぼくの他に東洋系の女性が一人いたので、その人もかもしれない。

空港を出るとすぐがタクシー乗り場。ただ、ごちゃごちゃと客引きがいるわけではなく、数人の人がタクシーが必要かと声をかけてくるだけ。Noと言えば、それでおしまい。

女性のタクシーの係りの人がぼくに声をかけてきたが、タクシーは断り、バス乗り場を聞く。すると嫌な顔もせず、駐車場を出た大きい通りを越えたところにあると教えてくれた。

教えてもらったとおりに大通りを渡り、歩道でバス乗り場を探す。ガイドブックを見ていなかったので驚いたが、大通りの真ん中を2車両つなげた大きなバスが走っている。真ん中は専用ラインのようで、これはメキシコシティにあったものと同じスタイル。

バスの乗り場がよくわからなかったので、通りすがりの女性二人に聞く。ものを訪ねるのは女性の方がいい。男は変なやつにあたるときが往々にしてある。

そこを通るからと言うので一緒に歩く。歩いて10mほどでParada(乗り場)と書いている看板下に到着。

5分も待たずに青色の車体のバスが入ってくる。パナマのような派手な小さなバスじゃない。日本で普通に走っているようなバス。車体はHINO自動車のもの。

ここのバスにも客引き担当の人が乗っており、乗車口に立って早口で行き先を叫ぶ。目的の宿がある広場まで生きたいのだがというと、客引きの少年は運転手のおじさんに確認し、乗せてくれる。

車内は満席。しかし、ありがたいことにこのバスは運転手の後ろに、エンジンの真上になるのか楕円形に突起したスペースがある。そこには座れるようにカバーがついており、縁に8人くらい座れるようになっている。つまり、日本のバスと比べると、運転手後ろの座席2列ぶんくらいがなく、前が広く空いているのだ。

車内を見渡したとき、一瞬どこに立とうかと思ったが、客引きの少年に促され、そこに座る。このバス、バックパッカーにとっては非常にありがたい。

外はすでに暗くなっている。沿道にはホテルやレストランが多い。走っている車も多く、しばしばクラクションの音を聞く。

地図で見た距離感とバスに乗っている時間とがだんだん合わないように思えてくる。もう20分は経過しているから到着してもいい頃なのだが、声はかからない。バスは幹線道路から一旦住宅街のような狭い路地に入り、また幹線道路に戻る。隣をトローリーバスが追い越していく。こんな標高の高いところに、電気を食うバスを走らせているなんて想像していなかったので、やや驚く。

空港を出て30分もしたころ、トローリーバスの乗り場もある広場で降りるように言われ、あっちに目的の広場があると少年が指さす。あとで確認したら降ろされたところはPaza la Marinというところだった。さっきまではほとんど路上を歩いている人は見かけなかったのに、ここらは多い。

バスを降りて客引きの少年が指さしていた方向を見ると、あいや、ものすごい坂。チャリでブレーキをかけずに降りてきたら時速50kmは出るだろうというくらい(わかりにくいたとえですね)の急勾配で、チャリはおろか重い荷物を持っていると歩いてでも登るのを一瞬ためらってしまうくらい。

通りはきれいにライトアップされており、正面からは人があるいて降りてくる。通りにはファストフード系の店がちょぼちょぼある。

キトが標高2850mというのは後で知ったが、坂を上り始めて50mもいかないうちに呼吸が乱れてくる。先は長い。

気温は低いものの上着を着ていたおかげで、だんだんと汗がにじみ出てくる。

歩いている人たちは、パナマよりもグアテマラのマヤ系の人々に似ている。そこまで寒いとは思わなかったが、みなコートやジャンバーを着て、手をポケットにつっこんで歩いている。

交差する通りを見てもヨーロッパ調の建物がずらっと並んでおり、ライトアップされた教会のような大きな建物が数棟ある。予想以上に旧市街の規模がでかい。

広場では小さな男の子や女の子が小さなお菓子を詰めた木製の箱を持って、歩いている人たちに買わないか声をかけている。靴磨きの道具を持って歩いている10歳くらいの男の子もみかける。

500mも歩いただろうか、でかい宮殿のような建物が左手に見え、そこに警官がいたので、目的の広場への行き方を聞く。2つ先の角を左に曲がったら着くという。

そこまで来るとほとんど平らになっていたので、呼吸はずいぶん楽になった。やがて広い広場が突然表れ、ここが目的地だとわかる。

正面向かって左の角に目的の宿Hostal Sucreはあった。建物の壁に黒い文字で書かれていたのでそれとわかる。入り口がわからず、一度人に聞いて、宿に入る。

階段を上ると吹き抜けのロビーに出る。建物は古い。若いスタッフが対応してくれる。部屋を準備するから待ってくれと言われ、しばらく待つ。日本人がちらほら。

2階の3号室に案内される。6畳ほどの部屋にベッドが一つ。机と台が1つずつ。椅子はない。窓からは広場が見え、その向こうには明かりの点いた旧市街が広がっているのが見える。

1泊3ドル。今回の旅では最安値だが、なかなかいい。ぼくが学生の時、山形にしばらくいたときに、世界を旅して回っている人に会った。その人は日本で例えば半年なり工場などで働き、カネがたまると旅行に出ているらしかった。

そのときに、その人からキトに数ヶ月滞在していたことがあると聞いたのだが、この宿がその人が滞在していた宿だった。パナマにいるときにキトの宿をネットで探していたところ、その情報を目にし、驚く。当時のぼくはこうした旅に出ることなど、まったくと言っていいほど考えていなかった。それが8年の時を経て、こうしてつながったことが面白い。

聞くとその人が滞在した2000年頃はここは1泊50円程度だったらしい。連れ込み宿の一番上の階を日本人に提供していたらしいが、今はそういう雰囲気もない。

部屋に荷物を置いて、ちょっと飯でも食いにと外に出る。が、さっきは開いていた店もことごとく閉まっていた。時間は20時過ぎ。

人通りもぐっと減って路上でバナナチップなどを売っていた人たちも後かたづけをはじめている。しょうがないので、ぼくは後片づけしているおばさんからポテトチップと水を買う。宿に戻る途中Plaza Grandeを通ると、通りから奥に入る通路があり、そこで食事をしている人たちが見えたので、そこに入ろうとする。

するとそこへ菓子売りの少女と少年が2人、何か買わないかと寄ってくる。女の子の方は小さいが10歳は越えているだろうか、男の子よりもしっかりしている雰囲気。

通路を少し入ったところで立ち止まり、一つずつ適当なものを買うかとものを見る。するとそこへ警備員のおじさんがやってきて、女の子の左肩をつかみながら、強い口調で何やら言い、そのまま寄り切るように通路の外までゆっくりと押し出す。

女の子はおじさんをにらみ、その手をはじく。そして、おじさんに向かって強く文句を言う。そんなことをしたらおじさんがキレて、持っている警棒で女の子を叩いたりするのでは、なんて一瞬思ったが、外まで押し出した後は、口げんかのみだった。女の子が自分の3倍近い体積のあるおじさんに猛然と文句を言っている姿は、強く美しかった、と小説家が書きそうな光景だった。

それぞれから50センターボ(0.5米ドル)のお菓子を買い、その通路を通って中に入る。建物は3階立てで、真ん中が四角く吹き抜けになっており、各階に店が入っている。レストランでは観光客らがにぎやかに酒を飲んでいる。

たいしたものがなかったので、さっさとそこを出て、宿に戻る。こんなに早くに人気がなくなるとは思っていなかったので、意外だった。もっとも宿の周りは治安が悪いとは聞いていたが。さっきまでいた警官も姿が見えなくなる。

オレンジ色の街灯がまちを照らしているが、そこには人が歩いていない。遠くから眺めるためだけの光という感じだ。

宿のベッドには薄い毛布が一枚。窓を閉め、それにくるまって寝るが、夜中ひんやりして目覚める。ここまで寒い夜もこの旅では初めて。

そういえば、これから南半球は冬だ。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ふうさん、アンネのバラ友です。

リュックの重さが68Kgなのに、30Kgで計量された秘密が分かり、面白かったです。これまでは良かったですね。

南半球はこれから冬に向かうとか、
なるほど、そうですね。

寒くなるとのこと、お気をつけて!
 

匿名 さんのコメント...

ようこそキトへ!!

>窓際の席
私はチェックインするとき、「Window side please, not wing side.」と言うことにしています。英語が苦手な私が、唯一ネイティブを笑わせたギャグです。使ってみて下さい。通路側を希望する時は「Stewardess side please.」と言うと良いでしょう。

>カカオの説明
なかなか詳しい説明ですね。「熱帯雨林気候で短い乾期がある」のが最適なので、コロンビアの東部低地は栽培適地になると思います。エクアドル東部低地でも自生しています。
乗り換え時に待合室から出られて良かったですね。私はパナマ空港で、それをしました。時間がなくてトイレとウィンドウショッピング5分くらいしかできませんでしたが・・・。一応、行ったという証拠写真は撮りました。

>キトの交通
南北に長い都市なのですが、南北間の移動は発達しています。専用レーンを走るトロリーバスは市内の動脈の役割を果たし、新市街と旧市街を結びます。2連結バスもありましたね。乗っていないので忘れていました。

>安宿
そんな情報をご存知だったのですね。旧市街は治安が悪い所もあるので、くれぐれもご注意下さい。カメラ引ったくりは領事館の人に「多発している」と聞きました。

>寒い。南半球は冬。
南半球と言っても、南緯0.5度ですよ!キトは!標高が高いから寒いのですよ。私がロベルトの家に行って、おばさんが話すスペイン語で初めて耳で覚えたのが「Tengo frio.」でした。「寒い」という意味です。英語に直訳すると「take cold」みたいな単語なんですが、そういう意味になるそうです。
今後、南半球のサバナ気候地域(ブラジル南部〜パラグアイなど)は乾期になるので移動しやすいかも知れません。イグアスの滝の水量は少ないと思いますが。しかしアルゼンチン等の温帯地域まで南下する場合、冬に差しからかるので寒くなりますね。余計に荷物が重くなりますよ。それに体調も崩し易くなるかも知れません。ご注意を。

ぶらぷらびと さんのコメント...

アンネのバラ友さま

コメントありがとうございます。空港カウンターはバックパッカーにやさしい仕組みになっていることが今回わかりました。今後もこの調子で良ければいいのですが。

寒さはしばらくないでしょうが、アルゼンチンに行くころはけっこう寒くなっていると思いますね。

kaw-kaw さま
窓際をお願いするジョーク、いいっすね。スペイン語で同じようなものがあると良いのですが、まぁ、今度ためしてみます。

履歴書の見本 さんのコメント...

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!