2008年4月14日月曜日

サンホセからシクサオーラへ

2008.4.7(木)

・一風変わったサンホセの市場
・キト行きのチケットを探して
・すばらしきかな観光案内所
・コスタリカ縦断
・閉まっていた国境

今日もお目覚めは6時すぎ。涼しい。目を開け、今日のことについて考える。

昨日の夜、歩き方を見ていたらパナマ国境ではほとんどの場合、パナマ出国用のチケットの提示を求められるとあった。キューバの場合も同じようなことがあったが、大丈夫だった。

ただ、今回はパナマから南米にどうせ行くし、国境でごたごた時間をとられるのも面倒だなと思い、今日、サンホセでエクアドルはキト行きのチケットを買おうかどうかと迷っていた。

宿の近くからカリブ海側へのパナマ国境のまちチャンギノーラに行くバスは午前9時発。10米ドル。それに乗って行こうと思っていたのだが。

昨日、サンホセの市場を見ることもできなかったし、今日はサンホセでチケットを手配したりして、のんびりするかとも思ったが、宿から歩いていけるターミナルからカリブ海側のまちシクサオーラ(Sixaola)に行くバスが日に何本か出ているという情報もあったので、結局、午前中はサンホセで市場を見たり、チケットを探したりして、午後から移動することにした。宿もチェックアウトの時間が2時なので、ちょうどいい。

そんなわけで、とりあえず荷造りだけして、朝飯を食いに宿のすぐ前の市場に行く。さすがに平日とあって、まちの雰囲気は昨日と違う。野菜や肉を積んだ1トン車などが路上に止まり、どんどん店に運び込んでいる。

肉を運んできたトラックの荷台には解体された豚が何にも包まれずに丸ごと天井からぶら下がっており、配達業者の男の人は、それを背に抱えて肉屋まで運んでいる。つまり、豚の前足を片方ずつ手に持って、自分の背中に肉(豚の体が仰向けに万歳している状態。万歳といっても腹が開かれているので、豚らしくはないが)を背負って歩いて、肉屋まで運ぶ。なかなか壮観。たぶん100KG近いと思うのだが、足取りはしっかりしている。

そのほかにも野菜を積んだトラックやパンなどを配達する車が次々と店の前に横付けされていく。

ぼくはすでに客が入っていた店で、食事。適当に頼んだら、白飯と魚のフライという寂しいものだった。他の人が食べているのは、黒豆の豆ゴハンにスクランブルエッグ、薄い肉のステーキなど豪華。

食べている後ろを魚を入れたプラスチックの樽が通っていく。日本では魚はたいてい木箱に運ばれるが、こおではプラスチックで作った樽。パンパンに魚が入っており、車がついてる荷台で運んでいるが、かなり重そう。

ご飯食べ、代金を払う。1500コロン(約400円)。

だいぶ市場内の店も開いてきたので、ぶらぶら見て回る。見ているとどうもこれまで見てきた市場とは何かが違う。違和感がある。なんだこれは?、と思っていたら、これまで見た市場ではなかった値札が、どの店にもあることが、その違和感の原因だとわかる。

土産物系の店にはあまりないのだが、市場内の食堂には壁に料理の値札が張り出され、メニューもプラスチックで写真入りのがあったりする。

肉屋や魚屋などにも値札があり、店の上の方の壁に何が何グラムでいくらというのが書かれてある。

また、魚屋はこれまで見てきた市場では、たいていタイルがあり、そこに魚を陳列する、あるいは箕の上にバナナの葉っぱなどをしき、その上に魚を並べるというスタイルが多かったが、ここはガラスケースがどの店にもあり、その中に陳列されている。

ただ、その陳列の仕方は日本と違って、切り身なら切り身を10段くらい重ねて陳列している。その陳列されている姿もなかなか壮観。

市場の建物自体はだいたい30m四方と小さい。他のまちのようにまわりの通りに露店があふれているということもない。整然とした市場だ。

9時になり、各オフィスが開く頃になったので、航空会社のオフィスを探す。ガイドブックを頼りに目的のCopa Airlineを探すのだが、載ってある住所にそれはなかった。たまたま道端にあったトラベルエージェンシーに入り、パナマからキトに行くチケットについて聞く。ここで出されたのは往復600ドル台のチケット。片道にしても580ドル程度。高い。

ネットで事前に調べたときには片道200~300ドル台があった。だから予算としてはもろもろ込みで400ドル程度を予定していたのだが、かなりオーバーしている。

別のエージェンシーに行く。ここが出してきたのは550米ドル程度のチケット。ただ、パナマからサンホセ経由。こっちの方が安いというが、このルートではちょっと趣がない。また予算オーバー。

航空会社で買った方が安いだろうと思い、ツーリストインフォメーションに行って、そこでCopa Airlineのオフィスの場所を教えてもらう。すぐに教えてくれる。ガイドブックにあったところとはまったく反対の方向だった。

歩いて15分ほど。途中、道端に座り込んでいたアフリカ系のおじさんが英語で明るく”チャイナマン”と話しかけてきてカネをせびる。”チャイナマン”なんてジャマイカ以来。もしかしたらこのおじさんジャマイカから来たのかと思うが、聞かなかった。適当にポケットの小銭を渡す。おじさんは微笑んで”God bless you"と言う。

教えてもらったあたりに着き、ビルの警備員に行きたいところの場所を聞く。するとこのビルの奥だった。

Copa Airlineのオフィスでキト行きのチケットを聞く。ここでも600米ドル越え。しかも片道の値段を聞いたときには出身国を聞かれ、"You have to buy return ticket."と言われる。ネットでCopa Airlineのサイトを見たときはそんな値段はしていなかった。おかしいなと思っていたら、後に燃料サーチャージが80米ドルもかかっていることがわかった。

結局、高すぎるので、ここでは買わずにパナマシティで手配することにする。

宿に戻る。途中、さっきのおじさんの前をまた通る。おじさんはリズムに乗って体を動かしていた。気でもふれたのかと思ったが、近くまで行って、耳にイヤホンをして音楽を聴いているのがわかった。踊るのに夢中でぼくが前を通ったのには気づかなかった。

部屋に戻って荷物を背負い宿を出る。さっきツーリストインフォメーションに行ったときにシクサオーラに行くバスの時刻表を入手していた。それによれば、1日にバスは4本(6時発、10時発、14時発、16時発)あった。

すでに昼なので次は2時。それで行くとシクサオーラには20時15分に到着すると時刻表にはあった。ここまで細かく書いた時刻表を配布しているのも他ではなかった。観光にどれだけ力を入れているかがわかる。

ターミナルは中心部から300~400m北に行ったところにある。宿からは1km近く。やや涼しいとは言え、日が射す中歩くと大汗をかく。

ターミナルはメキシコのカンクン並みに大きくてきれい。観光客の姿も多い。

行き先別にチケットの販売窓口がわかれていて、シクサオーラ行きの窓口は建物の一番奥だった。どうも担当者はお昼休みをしているらしく、窓口は閉まっている。ぼくの他にも窓口前で待っている人が4人ほど。

窓口のガラスには時刻表とそれぞれの行き先までの料金が細かく書かれている。これも他ではなかなかなかったこと。シクサオーラまでは4700コロン(約1100円)。もう少し安いと思ったが、あてが外れた。安さで言うなら朝9時の別の会社の国際バスに乗った方が安かった。

20分もすると窓口が開く。チケットを購入。その後、ターミナル内の椅子で本を呼んだりして過ごす。

バスはほぼ予定時刻に発車。車内には観光客らしきヨーロッパ系の人が8人ほど乗っていた。どうもカリブ海側の観光地、Puerto Viejoに行くよう。

バスは快調に飛ばし、30分もすると山道に入る。木々が生い茂る熱帯雨林地帯。山の方は雲がかかっており、すぐに雨が降り出す。雨は強まったり弱まったりを繰り返す。

日本ではみないような葉の大きな植物などが車窓から見える。鳥の声でも聞こえるかと思ったが、バスのエンジン音ばかりでそれらしき声は聞こえない。片道1車線の道路は舗装されており、揺れなどはない。

1時間もすると完全に山の上。ときおり視界が開けたところにでると、青青とした山並みが続いているのが見える。

バスにはバナナチップやスナック菓子を売る男の子も同乗しており、一定の時間をおいて車内の通路を売り歩く。年の頃は10歳くらいか。ぼくは彼からバナナチップを購入。350コロン(約70円)。量からすると安くはない。

雨がやや弱まったとき、山中でバスは止まる。なぜこんなところで止まるのかと思ったら、その売り子の男の子を降ろすためだった。その地点には、その子の他にも物売りをしているおじさんたちがいて、どうもサンホセ行きのバスを待っているようだった。

バスの中でいろんなものを売る、という光景は、メキシコでもニカラグアでも、他でも見た。見る限りでは、運転手に手数料みたいなのを払うことはなく、手を挙げてバスを止め、勝手に乗って勝手に降りていくというスタイルのようだった。もちろん毎日のことなので、お互いには知った関係だろうが、このバスの運転手と売り子の関係がどうなっているかも気になる。

言葉ができればその場で聞けることなのだが、なかなかそうもいかない。

バスは休憩することなく山の中を走り続ける。

出発から一時間もすると山がちな道を抜け、集落が点在する通りを走る。沿道にはホテルやスーパーなども見える。

また、グアテマラほどではないが広い牧場も見える。さらにバナナ農園が多くなり、もうひとつ、テキーラの原料となっている植物(名前を忘れた)に似たものが植わっている畑もしばしば見るようになる。それからチーズ専門店も数軒見える。

さらに行くと道路と平行して、またときには離れて線路が走っているのが見える。そして、コンテナの集積所が何カ所もある地帯を突き抜ける。コンテナに書かれてある会社名はさまざまだが、その中にはチキータやデルモンテもある。さっきから見えている線路は、バナナの運搬に使われていた線路のよう。

正面の視界が開けてきて、海が近いことがわかってくる。そして、サンホセを出てから2時間50分後、16時50分にカリブ海側のまちPuerto Limonに入り、バスはレストランのところに止まり、休憩。

カリブ海側ということもあり、サンホセでは少なかったアフリカ系の人を多く見る。サンホセではアフリカ系の人は見た範囲では1割もいないという感じだったが、こちらは3~4割くらいの感じ。

休憩所のまわりには近くにスーパーがある他は家家があるだけで、他は何もない。

10分ほどそこで休憩して、またバスは走り出す。走り出してから10分もせずにカリブ海が左手に見える。あいにく曇っているから海の色がわからない。ガイドブックによればかなりきれいらしいが、天候に恵まれなかった。

しばらくしてさしかかった橋の所で、前に座っている乗客が立って左側の窓から外をのぞき込む。何かと思ってぼくも立ち上がり、見てみると、対向車線から来たトレーラーが橋の脇から川に頭から落ち込んでいた。運転席までは見えなかったので、どういう状況になっているかわからなかったが、それほど見通しの悪いところもでもないし、パトカーなども集まってきていなかったので、今し方起こった様子ではなかった。数日前に起きた事故現場がそのままになっているようだった。

車窓から見える家家には、高床式の木造の家が多くなる。ここも雨期には水があがってくるのだろうか。

日はだいぶ傾いていて、18時をすぎると暗くなる。18時過ぎにPuert Viejoに到着。観光客らしいヨーロッパ系の人たちはみなここで降りる。

他の乗客の人もベルを鳴らし、各々降りていく。ちなみにこのバスのベルの鳴らし方は、窓枠の上に沿って、車内にぐるっと張られている一本のひもをひっかくようにひっぱる。ひもは運転席までつながっており、運転席にあるベルが小さくなり、止まるというランプがつく。

こういうスタイルのバスは他の国にもあったが、ぼくは最初、このスタイルのバスに乗ったとき、どうやってみんな自分の織り場所を知らせているのかわからなかった。車内の壁や織り場のステップのところにボタンがあるわけでもない。大声を出して降りると言っているわけでもないのに、と思って見ていたら、そういう仕掛けになっていた。

沿道には街灯はなく、道も舗装されていないところがときおり出てくる。降りていく客の中には懐中電灯を持って降りていく人たちもいる。

店がいくつかあり、家が沿道に集まっていたところも過ぎ、客も2人だけになる。外はまっくら。時間はまだ19時前だが、暗さからするともう夜中になった気がする。運転手は道路の脇を何も持たずにあるいている人やライトもついていない自転車をきちんと見つけながら運転する。

ぼくは運転席のすぐ隣にすわっていたが、人がいることに気づかないこともしばしば。だが、運転手にはちゃんと見えていた。いつものことでわかっているのだろうが、これには感心する。

沿道の家もまばらになってきた頃、運転手がどこまで行くのかと聞いてくる。なんでそんなことを聞いてくるのだろうと不思議に思ったが、パナマに行くというと、マニャーナ(明日)などと言い、どうもイミグレがすでに閉まっているようなことを言う。

時間はまだ7時半にもなっていない。時刻表には20時すぎにシクサオーラに着くとあり、その時間ならまだ国境も開いているだろうと思っていた。というか、パナマだから国境は閉まることはないと思っていた。サンホセから太平洋側の国境を通ってパナマシティに行くバスは夜に国境を通過するようだったから、こっちもそんなもんだろうと思っていたが、どうも違ったらしい。

運転手は道路の左脇にある小さい建物を指さし、何か言う。どうも指さしている建物が、国境に一番近いホテルのよう。運転手は窓からホテル方に向かって叫び、ホテルの人を呼んでいる。名前で呼んでいるようなので、すでに馴染みの関係のよう。

ここで降りろと言うので、ぼくはリュックを背負って、降りる。そして、電気のついている建物の方に行き、泊まれるか聞くと、口ひげをたくわえた小柄なおじさんは"Si"と言って部屋を案内してくれた。料金を聞くと10米ドル。まったく予定が狂ってしまったが致しかたない。部屋には二つベッドがあり、室内にトイレとシャワールームもあった。

なんだか腹が減ったので、表に出て明かりがついている方に行く。が、ことごとく人の家で、店はありそうになかった。宿に戻り、おじさんに食堂はあるか試しに聞いたところ、苦笑いしながら"No"と言った。

台所にはたくさんの野菜と、あとクラッカーなどのスナックがあったので、晩飯がわりにクラッカーとクッキーを買う。250コロン(約60円)。おじさんは、これに”Naranja(ナランハ:夏みかん系の柑橘)"と言って、みかんをつけてくれた。

まだ20時前だったものの、何もすることがないので、部屋でボーとする。冷たいシャワーを浴びて寝る。

08/04/13 キトよりアップ

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