2008年5月3日土曜日

クエンカで一日

2008.4.18(金)

・キトかクエンカか
・これぞ市場
・フイをゲット

昨日までの予定では、今日、ロハに移動しようかと思ってたのだが、せっかくここに来たし、一日は見てみるかと思い、もう1泊することにする。

6時過ぎには目が覚める。テレビは付けてもどのチャンネルも画像が荒れていて、何も見えない。

念のため、もっとやすい宿が近くにないか探す。バスターミナルの正面入り口に面した幹線道路沿いに3軒ほどホテルの看板があったので、そこをまわる。一軒だけ6米ドルという宿があったが、他は10米ドル以上。6米ドルの宿に移る手もあったが、たいして費用の削減にはならないし、小雨がパラツきだしたこともあり昨晩と同じ宿に泊まることにする。

それからバスターミナルに行く。ターミナルには靴磨きのどうぐを持った10歳くらいの男の子ややはり10代半ばと思われる男の子らがすでに客を求めて歩き回っている。

ロハに行くつもりだったが、ロハ経由でもペルー入りするには、ロハで一泊しないと行けないようだったので、それならと太平洋側に行きたくなったので、そちらに行くことにする。目的のまちはMachala(マチャラ)。ガイドブックによれば、世界最大のバナナの輸送基地となっているまちらしい。

エクアドル産のバナナは日本でも頻繁に見るので、どんなところか見たくなり、行ってみることにした。

マチャラ行きのバスを出している会社は少ないようで、ターミナル内の客引きの人に聞いたらある一社の名前を教えてくれる。

その会社の窓口に行くと壁に出発時刻の一覧が書かれていた。それを見ると1時間に1本はあり、時間帯によっては数10分に1本は出ていた。窓口のおばさんに料金と移動時間を聞き、行くことを完全に決める。

それから一旦宿に戻って、宿の人に今晩も泊まることを告げる。それから雨対策のためにポンチョを手提げ鞄に入れ、またターミナルに行く。

ターミナルの正面入り口のところからは町の中心部に行くバスが出ており、そこからバスに乗る。料金はキトと変わらず0.25米ドル。

バスはターミナル前を出て10分程度で石畳の道路に入る。両サイドには一段高い歩道があり、少ないながらも人が歩いている。一方通行の道をバスはガタガタと揺れながら走る。町並みは完全にヨーロッパ調で、同じ色彩で同じ高さの建物が続いている。

適当なところで降り、適当に歩く。歩いていると、教会の建物やイスタンブールのアヤソフィアのように、頭のところに丸い作りものがついた大聖堂が見える。交差点に突き当たる度に、それぞれの道の奥の方を眺めてみると右も左も数100mは石畳の道が続いている。それを見て、想像以上に市街地が広いことを知る。

ともかくも各通りを歩き尽くそうと、できるだけ一筆書きで回れそうなルートを考え、ぷらぷら歩く。時間は9時過ぎだったが、繁華街から離れているのか人影はまばら。

歩いていたら、Igrecia de San Franciscoという教会前の広場に出る。教会の建物はぼろぼろで地震にでもやられたのかと思ってしまうくらい亀裂がひどい。その広場はSan Francisco Marketと呼ばれている小さな市場になっていて、主に民芸品(毛のポンチョやパーカー、布地など)や服、靴屋が並んでいる。

服や靴屋はトタンの屋根をくっつけて正方形状に一つの建物のような形で並んでいる。ここにはそこそこ人がいて、立ち話をしている人や靴を選びに来ている人、民芸品を品定めしているヨーロッパ系の観光客などがいる。

その一角で気になったのが、やはり食い物の屋台。スープ専門の店のようで、その屋台の周りにはスープをすすっている人が10人ほどいて、並んでいる客もいる。こんなに人気がある店が出しているスープとはどんなもんかとちらっとのぞいてみたら、貝や蟹らしき足などが豪勢に突っ込まれた魚介類のスープだった。鶏のスープ屋はいくらでもあるが、こうした魚介類のスープ屋は珍しい。

それを見て、しばらく腹と相談。食器をバケツに溜めた水で洗っているのを見て、腹は無理だと判断する。ベトナムのホーチミンの屋台でも同じようにバケツに溜めた水で食器を洗っていたが、ここでもやはり考えることは同じよう。これまでもそういうところで食べたりしていたので、普通の状態であれば迷わず屋台に入るのだが、今の状態ではちょっと無理、とのことらしい。

あふれていた唾を飲み込み、また歩き出す。

キトと比べるとこじんまりとしていて、そのぶん、なんだか歩きやすい。起伏もほとんどない。ぼくの感覚からすると、キトの方が観光地として洗練されているように思える。ここクエンカの方は、キトほどには洗練されておらず、生活感がまだあるような感じがする。街角で見る警官の数もキトと比べれば圧倒的に少ない。

キトはあまりにきれいすぎて、まるでどこかのテーマパークのようだったが、こちらの方があの角を曲がると何かあるかもしれないという期待を抱かせてくれるように思う。

それから市場を探す。バスが通るGran Colpmbiaという通りは、排気ガスの臭いがひどい。ただ、その道沿いは店も多く、人通りも他より多い。

何人かの人に聞きながら、市場を探す。教えてもらった方向へ行くと、大規模な工事をしているところに出る。中に入れぬよう、まわりにはシートかけられていた。地図を見る限りでは、この工事をしているところが市場のようなのだが、こうことになっているので、それらしきものはない。ただ、反対側に行くための小さな通路が臨時的にできており、そこを通る人が大勢いたので、これは反対側に何かあるかもしれないと思い、人並みに乗ってその通路に入る。

通路では10歳くらいの女の子がゆでた豆を売っていたり、時計などをシートに広げ売っている人たちがいた。

50mほど歩いて、その小さな通路を抜けると、そこに市場はあった。ただこの市場はキトなどのように、建物の中にあるのではなく、通りに沿ってずらっと露店が並ぶスタイル。ちハイチのポルトープランスのスタイルに似ている。

例えていうと、片道1車線の通りの一方の斜線を露店が占拠しているようなかたちになっており、露店の横をバスや車がひっきりなしに走っている。

露店は背中合わせに2列に並んでおり、端から端までは500mはありそう。基本的に野菜と果物を売っている店ばかり。バナナの種類が多い。小さくて長丸いバナナはここで初めて見る。例の柿っぽいトマトや数種類のじゃがいもなど、品ぞろえは豊富。

露店の列は交差点にかかっているところで一部切れており、その切れているところでは小さなお椀に白っぽい汁物を出す店があった。そこの周りには人だかりができており、みんなその汁物を飲んでいる。

ぼくもその人だかりに混じり、何を食っているのか眺める。見ていたら店のおじさんが、チーノと言って、食わないかと料金を言いながら勧めてくる。料金は0.5ドル。また腹と相談するが、これだけ地元の人に人気があるものを食わずして、ここを離れることができるかと半ば強引に食べることにする。

学校給食で言えば、フルーツなどが入れられているような小さなお椀型のカップにそれは盛られる。寸胴の鍋からお玉で一杯そのお椀に入れられ、その上からあのカサカサしたトウキビの粒(日本では見たことがないもので、乾燥されてあるのか煎ってあるのか、水分がなくパサパサしている)がふりかけられる。

汁は濁っていて、中に魚の小さな切り身が入っている。鯖や味のように白い。やや酸味があり、なかなかおいしい。ぼくの隣で食べていた7歳くらいの男の子はお代わりをしていた。他の人も1杯で終わるのではなく、何杯か食べ、最後に代金を払うような習慣になっているよう。

ぼくが食べ終わるとおじさんは、"Mas(マス:もっと)"と言って、頼んでいないのにお代わりをついでくれる。この食べ物の名前を聞くと、隣で食べていたおばちゃんは”Ceviche"と言う。Ceviche(セビチェ)は、メキシコなどほかの国にもあり、固有名と言うよりも酢の物とか炒め物といったような言葉で、生に近い魚の酢の物の料理のことを言う。

これまで何度か食べたが、どれも酢の物という感じで皿に盛りつけられて出てきた。ガイドブックにもそのように紹介されているので、スープ式のCeviche(セビチェ)があるとは知らなかった。

結局、2杯目はおごりだったようで、代金は請求されず、上機嫌で店を後にする。カメラのバッテリーがなくなってきたこともあり、一旦宿に帰る。

腹の様子をみるのも兼ねて昼寝。

2時過ぎにまたバスに乗ってまちなかに向かう。中心部に着く頃になると、小雨だった雨が土砂降りになる。あいにく傘も合羽も持ってきてなかったので、止むまでバスに乗り続けることにする。

地元の人も傘はもって出てなかった人が多かったようで、みんな雨に濡れている。そして、バスに次々と乗り込んでくる。あっと言う間にバスは満員に。

バスは市街地を縦断し、幹線道路に出る。幹線道路沿いにも店や家は切れ目なくある。市街地を出てから10分ほどするとTerminal Surという南のバスターミナルが右手に見える。その周辺は露店も多く、人通りも多い。

そこからさらにバスは南に行く。市街地から離れるほどに幹線道路と交差している道は、だんだんと舗装されていない道になる。窓から見える家家は、連街路の屋根をした立派な一軒家が多く、畑の中にぽつぽつと建っているものもある。

バスはバーニョというところに行く道を通っているらしく、それらしい看板をときおり見る。

市街地を離れて20~30分した頃、バスは坂道の途中で停車。みなここで降りる。

あたりには民家とトウキビなどの畑ばかり。少し歩くと沿道に豚を丸焼きにして売っている露店がある。豚は内臓以外は頭も足も何かも付いており、腹ばいの状態で鞍のような形をした鉄柵に乗せられている。そして、表面から徐々に切り取られていった跡がある。

ぼくはトウキビの畑を見るためにあたりをぶらぶら。ここらのトウキビは軸が紫色。背丈は2~3mあり、高い。トウキビは日本で一般的に見るようなものよりも横幅があり、やや誇張して言えば小さなラグビーボールのような形をしている。粒も一つ一つが大きく、その大きさはおそらく日本のトウキビよりも3倍は大きい。そのぶん粒の数は少ない。

トウキビの写真をパチパチ撮る。ちょうど雨はほとんど止んでしまったので、ぶらぶらするのには問題なかった。

30分ほどふらついて、またバスに乗り、中心部に向かう。途中、ドルをおろせるところでドルをおろしておこうとATMがありそうなショッピングセンターで降りる。

客は非常に多く、入り口から混雑している。荷物を預け、番号札を受け取り、回転バーを押して店内に入る。中は3階建てで、とにかく何でもある。イメージとしてはデパートとホームセンターが合体した感じ。1階に食料品売場ともろもろの工具や土木仕事に使いそうなものが売られており、2~3階は服や靴、子ども向けのおもちゃ、電化製品などがごちゃごちゃと売られている。

ちょうど南京錠がほしかったので、持っていたものよりも一回り大きいものをここで買う。1.54ドル。

レジを通って店を出ようとしたとき、店の人らしいおじさんに声をかけられる。そして、スペイン語でぼくのズボンのポケットを指さしながら、中のものを見せろというようなことを言う。

入口付近にいた人たちの視線が集まる。ポケットには手帳だのボールペンだの、会話帳だのを突っ込んでいたので、それが怪しまれたよう。それらを見せると、ありがとうと言われて、おしまい。

肝心のATMはあったものの、人通りの多い入り口にあり、かつ子どもがまわりで遊んでいたので、ここではパス。

バスに乗る。0.25米ドル。

中心街で降り、また露店が並ぶ市場にいく。

途中、広場に面したところにNice Creamというアイス屋があったので、アイスを食って腹を元に戻そうと店に入る。メニューを見ると一番やすくて0.9米ドル。他は2米ドル以上と高い。

ぼくはメニューの写真を見て、チョコナイスというチョコのソフトクリームを頼む。ここはキングストンと同じシステムで、さきにレジでカネを払い、もらったレシートを持ってガラスケースの方に行き、そこで店員にレシートを渡す。すると注文を確認され、アイスを装ってくれる。

ぼくのレシートを見た店員は、内容を確認し、コーンを取り出す。そして、機械に向かいアイスを盛るのだが、そのアイスはチョコではなくバニラだった。なので、注文と違うと文句を言おうとしたとき、彼女は巻き上げたソフトをガラスケースの中のチョコレートの固まりの中に2~3秒突っ込み取り出した。

ガラスケースの中のそのチョコはチーズフォンデュのように温められて液体状になっていたようで、取り出したソフトは見事にチョコレート色になっていた。

こうなると確かにメニューで見たものと同じ。まさかこんなアイスがあるとは、とやや驚く。

ちなみにここは高級アイス屋らしく、店の入り口には散弾銃のような銃を持ったアフリカ系の警備員がいた。ちなみに、ここではアフリカ系の人は数えるほどしか見ない。

オランダ系らしいアイス屋が別にあり、そこもはしごするが、いずれもキングストンには遠く及ばず。その2軒目にアイス屋にいたら7~8歳くらいの男の子が、気づかぬうちに横に来ていて、カネがほしいと右手を出す。それを見て店員の女性は、強い口調で彼に店から出るようしかりつける。少年は、こちらを見ながらとぼとぼと店を出る。

ぼくがその店を出ると、彼は別の店から出てきたところだった。どうも同じように他の店もまわっているよう。ぼくを見ると近づいてきて、さっきと同じように手を出してくる。ぼくは小さな小銭をジャラジャラと渡す。

彼はそれを受け取ると何も言わずに去る。振り向いて彼の方を見ると、仲間がもう一人いたらしく、彼よりも背が高いその子と別の店の前で合流し、歩きながらコインを数えているようだった。

全体的には物乞いの人はほとんどいないという印象だったのだが、もしかすると彼のような子どもが見えないところにもっといるのかもしれない。

市場に向かう。

さっきは一部を見ただけだったので、今度は端から端まで見てまわる。

すると、西の方の端で何やら小さな獣を焼いている屋台を発見。これはもしやと思って近づいていったら、あのインディヘナの人たちが飼っているという大型のネズミだった。これは大のご馳走らしく、一度Mitad del Mundで食べようと思って忘れたものだった。

その露店は一人のおじさんと二人のおばさんの合計3人で、文字通り切り盛りされていた。ドラム缶を半分に切って作った炭火用のコンロ(?)には串刺しにされたネズミが火にかけられていて、赤茶にてかっている。表面にタレを塗っては火にかけるというのを繰り返し、ある程度焼けたものは、火から外され横に立てかけられている。

そのコンロの横には机があり、そこに巨大なボールがある。布をかけられていたので、最初はそれがなんだかわからなかったが、布地がとられたときに見ると、まだ焼かれていないネズミが、大量に重ねていれらていた。

肌は白っぽく、串を通された口からは小さなギザギザの歯が見える。腹は開かれ、そこから取り出された贓物は、トウキビの皮に似た紐で腹の部分にくくり付けられている。

腹の調子はいまいちだったが、これは食べないと罰が当たると思い、店のおばさんに声をかける。名前を聞くと"フイ(と聞こえた)”と言い、”Muy rico(ムイ リコ:すごくおいしい)”とにこにこしながら言う。

しゃべっている間もおばさんの手は、串を持ち、焼き加減を見ながらくるくるまわしている。

値段を聞くと7米ドルという。これは尋常なく高い。一般に食堂で飯を食べると2~3米ドルなので、およそ3食分にあたる。う~ん、ちと高いなと思いつつ、今後、食べる機会がなかったら後悔するだろうからな、と重い、思い切って1匹注文。

おばさんは横に立てていた串を火にかける。すでに赤茶色に焼けているから、温めるのと最後の仕上げのために、再度焼くよう。写真を撮っていいかと聞くと、何の問題もないというふうにどうぞと手を広げたので、ぼくは焼けるまで写真撮影。

10分ほど待って、おばさんからオッケーの声がかかる。ここで食べるというと、おばさんは串に刺さったままのフイをナイフでバシバシと叩いて6分割程度にしてくれる。そしてそれを皿に盛りつける。

さらに盛りつけてからトウキビも一緒に食べるかというので、うなづくと近くでトウキビを売っていたおばさんに声をかけ、ぼくに1袋やるようなことを言う。

ぼくはそのおばさんのところに行き、トウキビを受け取る。小さなビニール袋に蒸かしたトウキビの粒がぎっちりと詰め込まれている。見た感じだと2本ぶんくらい詰められている感じ。とても食べ切れそうにない量だが、値段は0.5米ドル。やすいなぁ。

ぼくは店の端っこにあったブロックの上に座り、食べる。幸いスプーンを持ち歩いていたので、スプーンでトウキビをビニールからすくってたべ、肉は手で食らう。

タレがきいておりけっこう塩辛い。肉が一番ついてそうなモモ周りから食べるが、たいして肉はなかった。ただ皮はパリパリでなかなか歯ごたえよく、うまい。ぼくは北京ダックは食べたことないが、たぶんあれと同じような感じなのではと思う。

内臓を取られた胴体はほとんど皮と骨だけという感じ。それでも塩辛さが食欲を減退させ、1匹食べきるのはけっこうつらいなと途中で思い始める。幸いさっきトウキビを買ったおばさんの子どもらしい男の子が近くに来て、じっと見つめるので、彼に右足の方の部分をあげる。

これで多少負担は減った。食べている間も何人かの人がフイを買っていった。みんな家で食べるのか、焼いたフイを黒のビニール袋に入れ、持ち帰っていた。

食べているとさっきの子が、肉のお礼らしくゆで卵を一個持ってきた。スペイン語で何やら言って渡してくるので、おばさんの方を見るとこっちを向いて食べてというような仕草をする。ありがたや。ちょうど塩気を薄めたかったので、さっそくゆで卵を頬張り、口の中の塩分濃度を中和する。

ちなみに肉は、鶏肉とほとんど変わらない味。どこかで食べたカエルもこんな味だったように思う。さっぱりしていて、臭みはない。

案の定トウキビまでは胃袋がまわらず、これは持ち帰る。満腹になって7米ドル払い、店を後にする。まぁ、これだけでも1泊延ばした甲斐はあった。

それからぐるりと市場を見てまわる。露店の品ぞろえはどこも充実していて、どこも同じものを売っている。露店を持たない(持てない)人は、通路のところに座り込んで売っている。そういう人たちは、たいていじゃがもだけ、豆だけといった単品の商売。

歩いていたら、ぼくにも声をかえてくる。長期滞在するなら買ってみたいものだが、なかなかそうもいかない。

ここもジャガイモや豆類、トウキビの種類が豊富。ジャガイモは見た目の違いでも10種類近く、豆も大豆のような豆から、空豆、黒豆、赤い豆など数種類あり、トウキビも3種類くらいある。あとバナナも5種類ほどある。

ぼくは明日の朝用にバナナを買う。小さい種類のバナナを指さし、いくらか聞くと1米ドルという。房には 10本ほどついており、これまでの経験からすると、ちょっと高めだなと思ったが、それをもらうことにする。おばさんは黒のビニール袋にその房を入れ、さらにその下にあった房も入れようとする。ぼくはてっきり上に見えてたものだけと思ったが、そうではなかった。

2房はちょっと食べきれないので1房でいいと伝えると、2~3本追加しようとしていた房からもぎ取ろうとする。ぼくはそれもいらないと伝えるが、これで0.5米ドルになるからというようなことを言う。つまり、おばさんはぼくが買おうとしていた量では0.5米ドルにもならないからと、量を増やしているのだった。

ぼくは1米ドル払うつもりだったので、そこまで気にしなくても思うが、無碍にもできずおばさんがもぎ取るのを待って、0.5米ドル払う。

それにしても、と思う。民芸品を売っている人やタクシーなんかは平気でいくらでもふっかけてくるのに、なぜ野菜や果物を売っている人たちは、こんなにも自分の基準に正直なのだろう。たいていが計り売りなのだが、その値段は明示されていない。外国人なら、1~2ドルくらいふっかけたって買うだろうに。

もしかしたら、いくらかふっかけているつもりなのかもしれないが、そう思えないほど安いように思える。地元の人にとって、それが安いのかはわからないが、でも、このバナナだって1人であれば1ドルぶんで毎日3本食べても1週間近く食える。

そんなことを考えながら宿に向かう。時間は4時すぎだが、市場の露店は店じまいを始めている。見ていると、陳列している野菜などに上からシートをかけているだけで、どこかに移動させるような準備はしていない。

店じまいの様子を最後まで見ていないので、はっきりとは言えないが、グアテマラシティの露店と違ってここでは、道ばたに店をおいたままにするようだった。

宿に戻って明日の出発の準備。明日も目覚めたらすぐ出るので、荷造りをして寝る。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ふうさん、アンネのバラ友です。

バナナのお話しは面白かったです。
「1米ドルで二房。房には 10本。
1房でいいと伝えると、2~3本追加
しようとしていた房からもぎ取ろう
とする。それもいらないと伝えるが、
これで0.5米ドルになるからという
ようなことを言う。」おばさんは
買おうとしていた量では0.5米ドル
にもならないからと、量を増やして
いるのだった。

「民芸品を売っている人やタクシーなんかは平気でいくらでもふっかけてくるのに、なぜ野菜や果物を売っている人たちは、こんなにも自分の基準に正直なのだろう。」

この違いは何でしょうね。
今後の類似体験の報告を期待しています。

匿名 さんのコメント...

クエンカ、いくつか見たような光景が思い浮かび、面白く読みました。我々は確か、バスターミナルのすぐ横のホテルに泊まった気がします。1泊目の夜に、私が高山病になったところです。3300mくらいあるはずです。

値段の違いについてですが、他の国でも同じような傾向があると思います。タクシーは「サービス」、民芸品も思い出を買うようなもので「サービス」を売っているようなものです。顧客満足度で価格が決まるわけで、ふっかけてくるというのは自然な経済原則ではないかと思います。交渉すれば良いのだと思います。

かなりスペイン語にも慣れて値切れるようになったみたいですね。スペイン語圏も終盤ですから、いまのうちに値切っておきましょう。

ぶらぷらびと さんのコメント...

アンネのバラ友さま

楽しんでもらえて何よりよりです。また、値段のつけ方、売り方についてはまとめて書きたいと思います。

kaw-kaw さま
ぼくが泊まった宿も正確にはバスターミナルの正面からいうと横にある宿なので、同じ宿に泊まったのかもしれません。

ぼくの感覚から言うと、顧客満足度という考え方をしているとは思えません。もっと別の感覚なり、考え方で値段を決めているように思います。これについてはまた別途書く予定です。