2008年10月20日月曜日

[diary]たけし日本語学校、フェビを食す

たけし日本語学校、フェビを食す

08/08/05(火)
[Cotonou:Benin]

・たけし日本語学校
・キャッサバ揚げ
・フェビを食す

7時前に起床。扇風機のおかげで夜は涼しかった。ベランダに出てみると外はややひんやりしていて、室内よりも涼しい。

気が付くと右腕に蚊に刺されたらしい後が2カ所。昨日、部屋中見て回っても蚊は見あたらなかったし、蚊帳も念のため張って寝たから刺されることはないだろうと思っていたのに。もしかしたらダニか何かかもしれないが、腫れ方が蚊に似ているのが気になる。

午前中はのんびりたまった日記書き。丸1日バスで移動したりするとすぐに日記がたまる。

昼前、調べものがあって近くのネット屋に行く。1時間300CFA(約70円)。

それからバイクタクシーをつかまえ、たけし日本語学校に向かう。建物の名前はジャパンハウスらしいが、2人の運転手に聞いたところ二人とも知らず。ただ、うち一人が地区名を言ったらわかるというようなそぶりだったので、その人のケツに乗る。バイクの数はバマコよりも多く感じる。バマコではスクータータイプのバイクが多かったが、ここではまたがるタイプの、つまりは仮面ライダーなどが乗るようなタイプのバイクが多い。

ぶつかるんじゃないかと思ってしまうほどのバイクの荒波の中をすり抜けながら走ること15分ほど、通りにJapan Houseと書いた看板を発見。左に曲がり未舗装の砂地でぼこぼこしている道を100mほど行くと左手に目的の建物があった。入り口の扉に小さくカタカナと漢字で「ゾマホン」「象真翻」とある。

呼びベルを鳴らしても誰も出てこない。待っていると隣の家の3歳くらいの男の子が”コンニチハ”と声をかけてくる。そこへちょうど中に入ろうという人が来たので、その人と一緒に入る。日本語で見学したいというと、まだ初級者らしかったが、ぼくの意図はわかったようで、奥に先生がいますと日本語で教えてくれる。

その奥に行くと壁のない教室で、ちょうど日本語の授業をしていた。日本人の先生と目が合い、ちょっと待っててと合図される。

入り口付近にある椅子に座ってちょっと一服。教室の手前にあった建物ものぞいてみようと中をのぞくと、中にベニン人の女性が3人ほど、日本人の女性が1人いた。日本人の女性に声をかけると対応してくれ、訪問者ノートに名前を書くよう言われる。それからさっきのぞいた教室を案内してくれ、見学するなら後ろの椅子に座って見学できるがどうかと言われる。

せっかくなので授業を見学。教室は床がコンクリートの打ちっ放しで、屋根と左側の壁はあるものの右側の壁はない。後方と左手の壁にはいろんなものが張られている。たとえば生徒が書いた書道の文字や、ここで日本語を学び、現在日本に留学しているベニン人からの手紙、ビートたけしの写真、ゾマホンと国のお偉いさんかだれかが一緒に写っている写真など。

授業は黒板とチョークを使ってなされており、正面に先生が一人、向かい合って若い男ばかりの生徒が14人ほど。机は日本の学校のように前を向いて整然と並んではいない。生徒の机には基本的にノートと筆記用具があるだけ。中には50音表を広げている人もいるが、教科書らしきものは見えない。

このクラスは3ヶ月前に日本語の学習を始めたらしく、平仮名は読めるらしい。今日は自己紹介などがテーマのようで、「あなたは○○人ですか?」と聞かれたときの対応の仕方などを学んでいる。

授業はすべて日本語。先生である日本人はフランス語を解さない。生徒からの質問も基本的に日本語のみ。だから、生徒が質問しても、質問を的確な日本語で表現できないため、質問の意図がわからないことが多い。ぼくが聞いていても何を聞きたいのかわからなかったし、ある質問においては、ぼくと先生とでは質問の意図を違うふうに理解したりすることもあり。

なるほどそう理解するのかと興味深かったのが、「いいです」と「そうです」の使い分けについて。先生が「あなたはベニン人ですか?」とある生徒に聞くと、彼は「はい、いいです」と答えた。

先生はそれを訂正するのだが、その訂正の仕方が、”「いいです」はダメです、「そうです」はいいです”、といった具合。なぜダメなのかという点には触れない。ぼくはそこが気になるが、生徒の日本語の語彙が十分でないときに、言語論的に細かな説明をしても生徒にしてみればわからないことが余計に増えるだけで、あまり意味がないのかもしれない。だいたい日本人にとっても「そうです」と「いいです」の使い分けがどういう基準によってなされているのかについて、説明するのはけっこう難しいだろう。

この日の授業でやったのは、「あなたは○○ですか?」「はい、そうです」「いいえ、○○です」というやりとりと「この人、その人、あの人、この方、その方、あの方」、「あの人は誰ですか?」、「すみませんお名前は?」といった表現。

授業中何度も繰り返されたのが、普通の言い方と敬語の使い分けについて。たとえば「名前は?」ではなく、「お名前は?」、「ゾマホン」ではなく、「ゾマホンさん」など。先生は、先生から生徒に向かって「名前は?」と言うのはいいが、生徒から先生に向かってそういうのはダメだというふうに、先生と生徒との上下関係(?権力関係?)を使って説明する。ぼくはベニンでも先生と生徒の関係が日本と同じようであれば、その説明でわかるだろうが、もし日本とは違ってより友達感覚に近かったりしたら、この説明の仕方では理解されないのではと思ったりする。

また、日本語を日本人のように話すことの大変さ(これはどんな言語でもそうだろうが)について思う。また、それが本当に必要なのかとも。日本人のように話すためには、まず相手と自分の間の上下関係を知らねばならないし、日本人的な人との距離間のはかり方を知らねばならない。とりあえず敬語さえ覚えておけば、人の気を害するようなことはないだろうから、それを先に覚えるのがてっとり早いようにも思うが、そうなると敬語を使わない会話が理解できないということにもなるから、結局は両方ということになるのか・・・。

また、外国人が敬語を知らなくても外国人だからということで大目に見られることもあるだろうし、ある程度まではそれでもかまわないように思うのだが、”外国人だから”と見られることが嫌な人にとってみれば、そうもいかないかもしれない。

授業時間は90分。最後は、ぼくを使って一人一人自己紹介の練習をして終わる。

授業後、壁に貼られていた山形大学に留学しているというベニン人の手紙を読む。その中に、日本は技術的な面やいろんな面で進んだ国だから、発展途上の私たちの国が日本からいろんなことを学べばもっと国が発展する。そのための言語として日本語は重要な言語だというようなことが書かれていた。

生徒はだいたい仕事の合間などに来ている人が多いようで、授業が終わると早々にみな帰っていった。

授業後、ここで日本語教師をしている人としばらくおしゃべり。その人はアフリカは初めてらしいが、気候について言えば今のところ日本よりもしのぎやすいし、治安もいいからわりと暮らしやすいように感じている模様。

テレビではNHKが流れていて東京の集中豪雨や北京オリンピックまであと3日といった話題を取り上げている。

16時前に学校を後にし、歩いて宿に戻る。途中、キャッサバを道ばたで揚げて売っているおばさんがいたので、100CFA(約30円)ぶん購入。5切れほど。さつまいものような味がしてうまい。こうした揚げ物売りのおばちゃんは道ばたでしばしば見る。さっき食べたのがうまかったので、違うところでまた100CFAぶん買う。

こちらでは屋台で食事をするときも、いくらかと訪ねると、いくらぶん欲しいんだと聞かれる。つまり、買う方が値段を指定して買うスタイルになっている。200CFAぶんくれというと、それだけのぶん盛ってくれる。量はごまかされる可能性はあるが、値段がごまかされないからこのスタイルはなかなかいい。

バイクの排気ガスで白く煙る通りを30分ほど歩いて宿に戻り、一服して晩飯を食いに出る。18時くらいになると日がだいぶ傾いて、ずいぶん涼しくなる。

近くの端の袂にある市場はトタン張りの小さな商店と露店がひしめき合う一大商業地になっている。そこに安い飯屋があるとガイドブックにあったので探す。が、もう少し遅くなってからでないと始まらないのか、あるいは今日の営業は終わったのか、営業していない飯屋も多々あり。

たまたま客が入っていた飯屋を発見し、そこでフェビという料理を食べる。フェビとはオクラのことらしいが、それが料理名になっているよう。ここでも値段を言って盛ってもらう。2個のフーフーと揚げた魚の上にオクラ入りのスープをかけた食べ物。正確にはスープと言うよりは、オクラの粘りで中華料理のあんかけの”あん”のようになっている。スープの具はオクラと何かの葉物だけ。

これを手で食べるのだが、フーフーはすぐ崩れてしまうし、オクラのスープは粘っていてつかめるものじゃないから、うまく食えない。結局、フーフーの固まりをスプーン代わりにして、さらに口をつけ、流し込むようにして食べる。向かいで似たようなものを食べてたおじさんは、指先をすっかりスープにつけて食べていたが、ぼくは腹に自信がないので、そのようにはできず。

味は基本的にカレー味で、ピリッとした辛さがなかなかいい。味はいい。が、手で食べるには食べにくい。

テーブルにはカップに水がくまれ、それを使って最後に手を洗う。別に受け皿用のボールが用意されているので、ボールの上で食べ物を掴んだ右手に水をかけ、手を洗う。

腹が膨れたところで宿に戻る。シャワーを浴びてあとはのんびり。

Fin

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