2008年3月9日日曜日

トレンチタウン、ポートロイヤル

2008.3.7(土)

ジャマイカ最終日。ずっと行くか迷っていたがトレンチタウンに行くことにする。

トレンチタウンはゲットーと呼ばれている地域の1画でボブ・マーリーをはじめレゲエのトップミュージシャンなどが生まれ育ったところ。地球の歩き方には迷い込まないように、などと書かれている「危険地帯」。

昨日も3日前に行ったスパニッシュタウンで白昼に銃による殺人事件があり、そうしたものに偶然遭遇しないかと迷っていた。最初にここで泊まっていた宿の人は、タクシーを使ってトレンチタウンを通ったらしいが、その運転手からこっちの方は写真を撮ったりしたらダメとか、ここからは危ない通りだからと窓とドアを完全に閉めて急いで通りすぎたりしたと聞いていた。

また、その人はジャマイカ人から、日本人がさっき銃を突きつけられていたよと言われたこともあったらしい。

そんなこともあって、どうしようかと思っていたのだが、ホテルの前に止まっていたタクシーのおじさんが話しかけてきた( cheap taxiなんて言ってきたが、最終的には高くついた)のをきっかけにタクシーを使っていくことにした。

カネがなくなっていたので、9時頃両替をしに行く。両替後、アフリカのフランス語圏にそなえて英語・仏語辞典を買う(567ジャマイカドル)。あと記念にパトワ語辞典も買う(190ジャマイカドル)。英語関係の辞書はオックスフォードばかり。両替にはパスポートが必要なので、一度、宿に戻りパスポートをおいてから行くことにする。

11時頃、タクシーに乗ってトレンチタウンに向かう。そのおじさんは日本人の友達がいるといい、DJのパパUGTを知っているかと聞いてくる。もちろん、ぼくは知らない。

CITIグループのビルや銀行のビルがあるニューキングストンを通り、車はトレンチタウンに入る。武装した女性警官2人が、通りに立ってパトロールらしきことをしている。そこを通るときに、運転手はここは"Bad place"だと言う。

宿を出てから30分ちょっとでトレンチタウンにあるCulture Yardに到着。ここはボブ・マーリーの代表曲”No woman No cry"に出てくる”goverment yard"と呼ばれていたところ。

Culture Yardはただ広場だった。リングはないがバスケットコートのラインが引かれており、その他は何があるというわけでもない。広場の入り口の壁は竹を横に並べて作られていた。竹でこうしたものが作られているのを見たのは初めて。ポートアントニオに行く道沿いは竹がぎょうさんあったが、あまり竹を使ったものを見ることはない。

入り口に向かって左側の大きいとおりに面した壁にはボブ・マーリー基金によって、トレンチタウンから生まれたミューシャン等の肖像画が描かれている。

広場の中に入り、写真を撮っていると180cmは越えているラスタの格好をしたおじさん(おじいさんに近い)に、声をかけられる。何を言っているかわからなかったので、近い付いていって聞くと、なんで写真を撮っているのかと言っているのだった。

ボブ・マーリーの歌に出てくるからというと、詳しいツアーをやっているからと広場の向かいにあった建物に案内された。

そこには他にもラスタの格好をした男の人が、3人ほど表におり、タクシーの運転手はその人達と雑談をしていた。入り口近くの建物が受付になっており、そのおじさんに促されるままに入っていく。そして、ツアーの参加名簿を渡され、名前などを書くように言われる。料金を聞くと700ジャマイカドル(約1200円)。高いなと思いつつも、ここのお金はトレンチタウンをよくするために使われているとどっかで読んでいたし、ここまで来たのでツアーを利用することにする。

客はぼくの他にはなし。おじさんがマンツーマンで案内してくれる。受付の建物の裏側に口の字のように小さな建物が並んでおり、まずは左手の部屋に案内する。

そこにはボブ・マーリーが入っていたバンドのウェーラーズのメンバーの写真やトレンチタウン出身のレゲエミュージシャン等がここで小さなコンサートをしたときの写真、またここを訪れたドイツ政府の人の写真などが壁に貼られていた。

次に案内されたのが、ボブ・マーリーが使っていたアコースティックギターが展示されている部屋。ギターはそうとう使い込まれたようで、黒の塗装が擦れて木目が見えている。

次の部屋はボブ・マーリーが曲を作ったりしていた部屋で、彼がよく座っていた椅子などがおかれている。壁にはいろんんな言葉が書かれている。また、壁にかけられた写真を指さし、おじさんはこれは自分だという。ボブ・マーリーの方が6歳年上らしく、当時のおじさんはボブ・マーリーと同じくらい痩せていた。

それから次に案内された部屋がベッドのある部屋で、おじさんはボブ・マーリーの歌を口ずさみ、その歌の歌詞に出て来る"bed"がこのベッドだと言う(なんの歌か忘れた)。

部屋から出ると中庭にあるボブ・マーリー像のところに行き、ちょっと待ってとおじさんに言われる。おじさんはカップに水を入れてきて、像の下に植えられている植物に水をやっている。そして、"Herb"を育てているんだ、と言う。"Herb"と言って指さした植物は他でもない大麻。日本でもよく麻製の財布などに大麻の葉っぱがデザインされているが、ほんとにそのままの形だった。

それから案内された敷地内のグッズショップの入り口の会談したにもやはりハーブがあった。`

店内には毛糸で編んだバッグやセイレ・ハラシエのTシャツ、ラスタが使っているような帽子、ボブ・マーリーの絵が入っているハンカチなどが売られていた。どれもなんだかいまいちなのだが、他に客もいないし、おばさんたちはあれこれすすめてくるから、ここまで来たら買わなければ。

そんで携帯電話を入れる小さな毛糸のバックとボブ・マーリーのハンカチを買う。2つ併せて700ジャマイカドル(約1200円)。高い!ハンカチには大きくMade in Thailandとあるのに。

そこを後にし、その右手向かいにあった建物を見に行く。入り口にはVIN LAWRENCE PARKと書かており、入り口右手の壁には”TRENCH TOWN READING CENTRE”、左手の壁には”KNOWLEDGE IS THE KEY TO SUCCESS”と書かれてある。

タクシーの運転手はすでに車に乗って待っていたので、車に乗り、ダウンタウンのマーケットに行く。途中、トレンチタウンの道ばたでは大勢の人が集まってサッカーをやっていた。わりと人通りはあるので、1人で来ても大丈夫そうに思える。トレンチタウン一帯の多くの家はトタン板をつぎはぎしたような家が多く、確かにアップタウンとはぜんぜん違う。

マーケットまでは車で5分ほど。運転手は最初500ジャマイカドルと言っていたのに、500ジャマイカドルはトレンチタウンまででそこからマーケットまでは300ジャマイカドルだという。おいおい、話が違うぞと思いつつ、言い値で払う。

マーケットは土曜日ということもあってか前回来たときよりも人出が多かった。屋根代わりのブルーシートが風にはためく。その下を歩いていると店の人から”チャイナマン”とか”ミスターチン”とか”ジャパニ”とかと声をかけられ、キャベツを買っていけなどと言われる。

マーケットの野菜はキューバよりも豊富。2種類のジャガイモ、人参、キャベツ、半径40センチはありそうなカボチャ、楕円形のスイカ、レタス、ココナッツ、夏みかんに似た柑橘系の果物、空芯菜に似た葉っぱなどなど。キューバではいっさい見なかった魚も売っている。

ダウンタウンのバスターミナルからPort Royalに行くことにする。Port Royalは空港近くにある1200人の小さなまち。このまちには1656年にイギリス人が入植したが、1692年に大規模な地震があり、まちは壊滅的な被害を受けた。そのときにそこから逃げ出した人たちが移り住み作ったのが今のキングストンらしい。

まずはPort Royal行きのバスを探す。ここのターミナルはハーフウェイツリーのそれと違って広場にバス停があるだけ。行き先を書いた看板があるわけでもないので、人に聞くしかない。適当にバスの添乗員の人に聞く。が、発音が悪く
”Royal”が伝わらない。で、紙に書くと理解してくれ、乗り場を指さしながら98番のバスに乗れと言われる。

乗り場の方へ歩いていく。途中、果物屋さんでパパイヤを買う。量り売りでぼくが買ったのは1個70ジャマイカドル(約120円)。川を剥くかというような仕草をするので、お願いする。鉈(なた)のような包丁で皮をむき、食べやすい大きさに切ってビニール袋に入れてくれる。早速食べるてみたが、これがうまい。

98番のバスを発見。まだ出発まで時間がありそうだったので、近くで売っていたジャークチキンを買う。舞の上に円柱形の肉があったので、内蔵かと思ったがよく見ると鶏の首の部分だった。50ジャマイカドルぶん買う。さすがに首の部分だから肉が少ない。味付けは辛いケチャップのようなもの。

バスはスマートカードが使えるバス。料金は50ジャマイカドル。バスは途中から初日に空港から宿まで行くのに通った道を通る。途中、空港にも停まる。このバスを使えば、37ドルも払わずに500円程度で宿に行けたのかと今更ながら気づく。ガイドブックにはバスは危険だと書いていたが、まったく危険な雰囲気はないし、座席もそこそこ広いので荷物を持っていても大丈夫そう。

空港から10分ほどでPort Royalに到着。キングストンとはまったく雰囲気が違う。さびれた港町という雰囲気。バス停からは店ひとつ見えない。

波の音がする方に行く。低木の生い茂る合間にできている道を通っていくと海岸に出る。水はにごっており、ゴミも多い。地元の人が泳いでいるが、見渡したところ3人ほどだけ。これだけ海が近いなら子どもが遊んでいてもいいようなものだが、子どもの姿はない。

海辺から大きな広場に移動。広場では古い建物の解体が行われていた。壁をハンマーのようなものでぶち壊し、建物の柱とトラックをワイヤーでつなぎ、トラックで引っ張って建物を倒す。周りでは男の子達が、建物の端材とトンカチを使い釘を打ったりして遊んでいる。

それからしばらくまちのなかをふらふら。あるのは住宅ばかりで、食事ができるところが2カ所ほど。キングトン側の岸沿いには釣り屋などがあるが、客はいない。海岸につながれている船の上で釣りをしている地元の子どもたちが数人いる。

魚の唐揚げを売っている屋台があったので、そこで魚を1尾と練り物系の天ぷらを1枚買う。

まちには1時間ほど滞在して、帰る。ダウンタウンでバスを乗り換える際に、またパパイヤを同じ屋台で買う。屋台に行くと屋台のおじさんはうまかっただろというようなことを言う。今回も70ジャマイカドル。

バスに乗ってハーフウェイツリーに向かう。バスターミナルの近くにアイタルフード(ラスタファリアンが好むベジタリアン料理)のレストランがあったので、そこで夕食をたべることにする。2階にあるそのレストランに入るとマリファナのにおいが立ちこめている。店内にいる人もラスタの格好をした人が多い。

近くの店が大音量でレゲエを流している。

150ジャマイカドルの料理を頼むとすぐに発泡スチロールの弁当箱に入って料理が出てきた。

店の外の廊下にある椅子に座って、レゲエを聴きながら、また奥の人が吸っているマリファナの煙が流れてくる中、飯を食う。タバコの副流煙はのどが痛くなることもあって嫌いなのだが、マリファナの副流煙(?)はタバコの煙に感じるような嫌な感じがしない。

午前中に両替した40ドルも予定外の出費(トレンチタウンのツアーと買い物、タクシー代)でほとんどなくなる。

宿に戻り、明日の出発の準備をし、仮眠をする。

おわり

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