2008年3月23日日曜日

『敗れざる者たち』より

2008.3.22(土)カンクンにて
沢木耕太郎『敗れざる者たち』文春文庫、1979

1.クレイになれなかった男
カシアス内藤
59
「以前、ぼくはこんな風にいったことがある。人間には”燃えつきる”人間とそうでない人間の二つのタイプがある、と。
しかし、もっと正確にいわなくてはならぬ。人間は、燃えつきる人間と、そうでない人間と、いつか燃えつきたいと望みつづける人間の、三つのタイプがあるのだ、と。
望みつづけ、望みつづけ、しかし”いつか”はやってこない。内藤にも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも・・・・・・。」

2.三人の三塁手
長島茂雄、難波昭二郎、土屋正孝

3.長距離ランナーの遺書
円谷幸吉

4.イシノヒカル、おまえは走った!

5.さらば 宝石
榎本喜八
The Overreachers=背伸びをした人々、行き過ぎた人々
217
「打つこと以外に何もなかった男が、まさに打つというそのことが崩壊しはじめた時、彼はどうしたらよかったのか。」

6.ドランカー<酔いどれ>
輪島功一
239
「マスクの下には、いつもより少し硬ばっただけの当り前の彼の顔がある。マスクで何かを隠そうとしていたんでは決してない。騙そうとしていたのだ。報道陣や柳済斗ではなく、自分自身を欺こうとしていたのだ。マスクはそのシンボルだった。
俺は調子が悪そうだ。だが、これは人にそう思わせるための演技なのだ。こう躰が動かないのも、調子が悪いせいではない。人を欺いているだけなのだ・・・・・・。
だが、それは自分自身を欺き通すことでもあった。輪島にとって、このファイトの最大のテーマは、どこまで自分自身を欺けるか、つまり自分自身をどこまで信じ切れるかという点にあったのだ。」

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