2008.3.17(月)
プシューと言って起こしてくれた女の人に続いてバスを降りる。ドミニカから来たときは、ハイチに入国するとき以外はずっとバスの中にいたので、今回もそんなもんだろうと思っていたが、違った。
バスを降りて入国するときにも入ったイミグレの建物に入る。15分ほど待っていると、乗客ひとりひとり名前を呼ばれる。名前を呼ばれた人は、順に建物から出ていく。パスポートは、預けたまま。
ぼくも含め10人ほどまだ名前を呼ばれていない人が残ったが、よくわからないが、まとめて出ていいと言われ、みんな出る。
そして、隣の建物の玄関先の方へ移動する。玄関先のスペースには長机とパイプ椅子が並べられ、長机の方には制服を着た審査官が座り、向かい合って乗客が並べられたパイプ椅子に座る。審査官は2人いて、一人は左肩にハイチの国旗をつけており、もう一人は同じ場所にアメリカの国旗をつけている。その後ろを国連のマークをつけた一番偉そうな人がうろうろしている。
積み重ねられたパスポートが長机に届けられ、そこでまた名前を呼ばれ、パスポートと照合する。パスポートはハイチ人と外国人とに分けられて置かれており、それを見ると50人近くいる乗客のうち外国人は10人ほど。ヨーロッパ系の人は年輩(50過ぎ?)の女性ひとり。他はドミニカの人っぽい。
名前を呼ばれたらハイチ側の国境を歩いて越えて停まっていたバスに乗る。バスでドミニカ側の国境まで移動。5~10分ほど。
国境ではいろんなものを積んだトラックや大荷物を持った人たちがドミニカからハイチへ続々と流れていく。ハイチに入るときは気づかなかったが、こうやってハイチに物が流入しているのかと改めて気づく。
ドミニカ側の国境では各自自分の荷物を持ってバスから降りるよう言われる。
荷物検査場では3人の係官が客のカバンのチャックを開け、中まで調べる。空港にあるような検査機はない。
ぼくもリュックと手に持っていたカバン、ウェストバックの中身を調べられる。いい体格をした髪を赤く染めている女性の係官は身体検査の係りのようで、足下から腰の周りまで調べる。これまでは誰も気づかなかったのだが、このおばさんはぼくの腰巻きに気づき、中に何が入っているか聞いてくる。お金が入っているとちらっと中を見せて言うと、あとで建物の外で何かをするような仕草をする。なんのことかと思って、わからないと言っていると、親指と人差し指をすりあわせながら、”ディネロ(お金)”と言う。
基本的にすべてスペイン語なので、よくわからなかったが、どうもぼくが腹巻きに大金を隠して持ち込もうとしていると思ったらしく、それを見逃してやるからカネを出せということのようだった。
わからないと言っていたら、バスの添乗員の女性がぼくを呼びに来て、一緒に来てとイミグレの事務室内に連れて行かれる。空港でするような直接審査官と向き合っての入国審査はなく、荷物のチェックだけしかみな受けていないのだが、なぜかぼくだけ呼ばれ、なんだなんだとやや不安に。
事務室内の椅子に腰をかけ、しばらく待ってと職員に合図される。壁には国境の職員がカネを受け取るのはダメだという意味あいのポスターが貼られている。こんなポスターを貼っているなんて、やっぱりさっきのおばさんのように相当カネを要求する係管がいるよう。
10分近く待って、奥に案内される。白い制服をきた部署のトップらしい人がそこに机をかまえていて、ぼくのパスポートを持っていた。それで、パスポートとぼくを見比べ、日本人かと訪ねられた以外は特に質問はすることなく、紙を取り出し、ここにサインをしてと言われる。
パスポートのサインと照合するらしく、ぼくはその紙にパスポートにしたサインと同じようにサインをして、紙を渡す。じっとそれぞれを眺め見比べる審査官。
時間にすれば20秒ほどか、納得したらしく解放してくれた。パスポートをその場でもらえるのかと思ってたら、バスの添乗員に返すと言われ、預けたままその事務室を出る。
バスに戻ると例の荷物検査場にいたおばさんが入り口で待っていた。座席に座ると、おばさんは車内の荷物をチェックしながら(ふりだけだと思うが)、ぼくの座席まで来る。
あいにくぼくは一番後ろに一人で座っていた。おばさんが近づいてくるにつれ、今だけ適当に隣に人がいるところに座れば良かったと思うが、もう遅い。おばさんはぼくのところにきて、小さな声でカネを出せと言ってくる。まぁ、ここは正攻法でいくしかないなと思い、"No"と言って申告しなければいけない100000ドル(だったと思う)なんて持ってないと言う。
実際にハイチに来たことで手持ちのドルがなくなり、腹巻きには40ドルくらいしかなかった。けっこうしつこく迫ってくるかと思いきや、おばさんはそれを聞いて、クソッという雰囲気を醸し出すものの、あっさり引き上げていった。
結局、国境を抜けるのに1時間以上かかり、またドミニカに入る。ドミニカにはいると例の大統領選のポスターがあちこちに。
ハイチから戻るとどみにかの全体的な豊かさ(経済的)を実感する。韓国と北朝鮮との間の差はもっと大きいのだろうが、それに近いんじゃないかとも思う。
サントドミンゴに着いたのは、夕方4時過ぎ。もっと早く着いて、今日はコロンブス家の博物館みたいなところに行こうかと思っていたが、無理そう。
バスターミナルから30分歩いて泊まっていた宿に戻る。鍵をもらおうとするが、オーナーがいなくて、受付のおじいさんに宿泊代を払えと言われる。前回泊まったときに前払いしているとスペイン語の会話帳をひきつつ、伝えるがまったく理解しない。
10分近くそんなやりとりをしていたところへオーナーがきて、受付のおじいさんと話すとやっと話が通じる。オーナーと握手して、荷物を置いて飯を食いに行く。
例のごとくホテルの前の果物屋さんの屋台でパパイヤを買うが、一口食ってみると悪くなっていた。なので、別の屋台で買い直す。
メインストリートには、観光客がいっぱい。地元の人とチェスをしている若い女性の観光客もいる。
宿に戻ると近くで車を止めていたタクシーの運転手が声をかけてくる。明日空港に行くので、運転手にいくらか聞く。最初800ドミニカペソ(2500円くらい)と言っていたが、600にできないか聞くと、ガソリン代が高いからと700にしかしてくれなかった。まぁ、この物価高だし、ガソリン代も130とか書いてあったし、空港までは40分くらいかかるからいいかと、それで決定。
部屋に戻り、ぼたぼたと水が落ちるシャワーで汗を流し、荷造りをして寝る。
2008.3.21 カンクンからアップ
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